HOPPY 86 MC、今季途中で参戦休止の可能性……土屋武士監督が現状を語る
スーパーGTのGT300クラスに参戦する#25 HOPPY 86 MCのつちやエンジニアリングだが、今シーズン途中で参戦を休止する可能性があることが分かった。
写真:: Masahide Kamio
2019年もスーパーGTのGT300クラスに参戦している#25 HOPPY 86 MCのつちやエンジニアリングだが、今季途中でチームが参戦を休止する可能性が出てきていることが分かった。気になる現状についてチームを率いる土屋武士監督に訊いた。
『打倒ワークス』『若い職人たちを育てる』『自分たちが成長することが一番重要』と、さまざまなテーマを掲げて参戦してきた土屋武士監督率いるつちやエンジニアリング。2015年に現在の体制でスタートし、今年は松井孝允と佐藤公哉のコンビでGT300クラスに参戦している。
しかし、開幕戦岡山ではスタート直後にクラッシュを喫してしまい、マシンが大きく損傷してしまった。1コーナー内側にあるコンクリート壁にフロントからぶつかってしまったため、ドライバーの怪我の具合やマシンの損傷状況について心配する声が上がったが、ドライブしていた佐藤は無事でマシンも「(第2戦には)全然間に合う」と当初は土屋監督も不安のない表情を見せていた。
開幕戦岡山でクラッシュを喫した#25 HOPPY 86 MC
ただ、実際には決して余裕を持って修復できる状況ではなかった。昨年まで同じマザーシャシーで戦っていたTEAM UPGARAGEが車両を提供し、そこから使えるパーツを移植。さらにチームを支えるスポンサーやサポーター、応援するファンの後押しもあり、何とか第2戦富士のグリッドについたのだ。
しかしこのマシン修復の過程で土屋監督は、自身のFacebookで今季全戦できるだけの予算が集まっていないことを明かし、大きな反響を呼んだ。
このことについて、現状どうなっているのか? 何戦目まで参戦できそうなのか? 第2戦富士のパドックで土屋監督に質問をぶつけてみた。
「正直ちゃんと計算していないから(何戦目まで出られるか)分からないです。でもFacebookで書いた通り、(今季全戦出るのは)全然無理で、遥か彼方の話です」
最初にそうキッパリと話した土屋監督。岡山でのクラッシュが資金難の引き金になったように思われがちだが、実は開幕前から水面下で抱えていた問題だったという。
ただ土屋監督は、あくまで”現在のつちやエンジニアリングを長く生き残らせていくための判断”であって、万が一シーズン途中で参戦休止を余儀なくされても、来年以降に再びグリッドに戻ってくる可能性は十分にあると語った。
「無理をすれば(全戦)出られますよ。でも、来年このチームがなくなっちゃうようなリスクは冒したくないんです。今は本当に良いスタッフが集まってきてくれてるので、この“つちやエンジニアリング”というチームを長く続けるためには、(今季は)途中で止めた方がいいかもしれない……そういう経営者的な判断です」
「例えば私財を投げ打って、カツカツになって何も残らないくらい無理をして『最後までレースに出られました。チャンピオンを獲得しました。でもチームは無くなってしまいました……』というようなことではダメですよね。ただ、そのリスクというのはレース業界ではあることです」
現在は監督兼エンジニア、そして長距離ラウンドでは第3ドライバーも務める土屋監督だが、つちやエンジニアリングを率いるチームオーナーという唯一無二のポジションも担っている。
つちやエンジニアリングは、昔から強力なプライベーターチームとして活躍してきた一方で、無理が祟ってしまい2008年には一度解散するという過去を持っている。それを一番身近なポジションで経験した土屋監督は、二度と同じ過ちを繰り返さないために“一旦参戦を止める”という選択肢を確実に残しているという。
「第一優先は“つちやエンジニアリングを長くやること”です。そのためには……もしかしたら“無理をすれば(全戦)出られる”ということをやっちゃいけないタイミングがあるかもしれないというのが、今年の状況です」
「つちやエンジニアリングは1回解散してるんですよね、2008年いっぱいで。それを繰り返さないためには『全部出られない』という判断をしなければいけないこともあると思います」
そう語った土屋監督。ただ、このような問題はつちやエンジニアリングのような純プライベーターチームには常に付きまとう問題なのだという。
「(岡山でのクラッシュが資金難に影響しているとか)そんなレベルの話じゃないです。数千万円の話なので。でも、レースに最後まで出られないというのは、プライベーターチームなら常について回る問題です」
「例えばクラッシュしたチームとかも最終戦まで出られるかどうかは(実際には)分からないと思うんですよ。ウチの場合は最初からそれが分からないという状況からスタートしています」
「今はどこまでいけるか分からないです。もしかしたらウチに別の仕事がドーンと入ってくるかもしれないし、(新しい)スポンサーがつくかもしれない。支援したいと言ってくださっている方もいます。でも、それによってどこまでいけるかというのは分からないです」
「(こういった問題は)毎年ついて回ることです。今年は特に厳しいというだけで、僕にとってはそんなに大きな問題ではないです」
ただ、開幕戦でのクラッシュからマシンを修復するために、TEAM UPGARAGEからマシン提供を受けたことは、間違いなく大きな力になったと土屋監督は語った。
「そういう意味では、今回アップガレージさんからクルマを提供していただいたことで、1戦でも長く寿命が延びたなというのはあります。そこにはすごく感謝していますし、こうしてレースを戦っている仲間が手を差し伸べてくれたということは、本当にありがたいことですし、これがレースの良さでもあると思います」
第2戦富士ではマシンを提供してくれたTEAM UPGARAGEへの感謝を示すステッカーを貼って参戦した#25 HOPPY 86 MC
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