【スーパーGT】セナプロ時代のF1並み? 8号車ARTA 無限 NSXが鈴鹿テストで驚異の1分42秒台を記録。「シビれるアタックだった」と大湯
3月初旬に鈴鹿サーキットで行なわれたテストで1分42秒630というタイムを叩き出した8号車ARTA MUGEN NSX-GT。ドライバーの大湯都史樹は、コンディションが噛み合ったこともあり「シビれるアタックができた」と振り返った。
写真:: Masahide Kamio
岡山国際サーキットでの公式テスト開始まであとわずかとなった2023年のスーパーGT。それに先駆けて行なわれているメーカー主催テストでは、驚きのタイムが記録された。
鈴鹿サーキットでのファン感謝デーを前に2日間行なわれたテストの初日で、8号車ARTA MUGEN NSX-GTの大湯都史樹が1分42秒630をマークした。GT500のコースレコードが昨年の鈴鹿戦で19号車WedsSport ADVAN GR Supraの国本雄資が記録した1分44秒112であることを考えても驚異的なタイムだ。
もちろん、冬場のテストは空気密度が高い関係もあり、エンジンパワーやダウンフォースも高まる傾向になるためタイムが出やすいのは確か。特にコーナリング性能の高いNSX-GTにとっては、高い空気密度によりダウンフォース増加の恩恵を大きく受けていると推察される。
ただ他チームのタイムが軒並み1分43秒台だったことを考えても、大湯が記録した1分42秒630というタイムは図抜けており、関係者からは驚きの声があがった。余談にはなるが、これは1980年代のF1日本GPの予選タイムとも遜色ない(もちろん、コースレイアウトも微妙に変わっているため純粋な比較はできないのだが……)。GT500もそんな領域にまで到達しているのだ。
「あの日は空気密度も高く、色々な条件が重なってみんな1分43秒台くらいは出ていましたが、42秒台はヤバかったです(笑)」と振り返る大湯。履いていたタイヤも決してベストなものではなかったというが、“シビれる”アタックができたという。
「テストから常に1番を目指していたので、フルプッシュで走っていました。僕もシビれるくらいのアタックでした」
また最近ではS字の路面が再舗装されているが、その影響もあったのではないかと大湯は語る。曰くS字への進入ではブレーキをかけることはおろかアクセルオフもわずかといい、“ほぼ全開”でS字を駆け抜けたのだ。
現在S字コーナー。再舗装された部分の色が異なることが分かる
Photo by: Masahide Kamio
連日トップタイムを記録した冬のメーカーテストを経て、ホンダ陣営全体として「良い流れ、良い空気感だという感触はあります」と語る大湯。今季からARTAのメンテナンスを担当することとなったMUGEN(M-TEC)の分析力、修正力にも大きな信頼を寄せている。
彼はさらにこう続ける。
「今年はこれまでのテストでも速さを見せられています。逆にトヨタ勢が少し苦しんでいるようにも見えますが、岡山テストや富士テストに向けて調整してくると思います」
「あとはどのチームも、カーボンニュートラル燃料のパフォーマンスを以前の燃料と同じレベルで発揮できるかを課題にしていると思いますが、そこは日産も良いところ(解決策)を見つけているんじゃないかと感じます」
現時点では全車が揃う公式テストも始まっていない段階であり、今季の勢力図を占うのは時期尚早と言える。日産陣営TEAM IMPULのベルトラン・バゲットなども、春先になり気温・路面温度が上がってくればホンダ勢のアドバンテージが小さくなるのではないかと予想しているが、ただ「今年のホンダは例年より速いのは間違いない」といった声が方々から聞こえているのも確かだ。3月の岡山、富士での公式テストも目が離せない。
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