赤き跳ね馬完全復活! フェラーリワンツー、最有力レッドブルはダブルリタイヤ。角田裕毅は堂々8位:F1開幕戦バーレーンGP
F1新時代の幕開けを告げる2022年の開幕戦バーレーンGPの決勝レースが行なわれ、フェラーリがワンツーフィニッシュ。その一方で、レッドブルはダブルリタイヤを喫した。角田裕毅は8位入賞。
写真:: Carl Bingham / Motorsport Images
バーレーン・インターナショナル・サーキットを舞台に、2022年シーズンの開幕戦バーレーンGPの決勝レースが行なわれ、フェラーリのシャルル・ルクレールがポール・トゥ・ウィンを果たした。
今シーズンからテクニカルレギュレーションが大きく変更され、グラウンドエフェクトカーがF1に戻ってきた。ホイールも13インチから18インチへと大径化され、各チームはそれぞれにデザインの大きく異なる渾身のマシンを投入してきた。
土曜日の予選では、今年の勢力図が見えてきた。ポールポジションはルクレールで現王者マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がフロントロウに並んだ。カルロス・サインツJr.(フェラーリ)とセルジオ・ペレス(レッドブル)が3、4番手につけ、2チームががっぷり四つという結果に。
その一方で、メルセデスは苦しんだ。ハースやアルファロメオといった昨年まで苦しいシーズンを過ごしたチームが上位でメルセデスに食らいつくなど、力関係にどんでん返しが起きているのも特筆すべきポイントだろう。
砂漠に日が落ちて、照明がサーキットを照らす中、現地バーレーンは57周で行なわれる決勝レースの時間を迎えた。気温は24度、路面温度は30度まで下がった。
F1新時代、最初のレースがスタートすると抜群の蹴り出しを見せたのは、トップ6では唯一新品のソフトタイヤを履くルクレール。新品のソフトタイヤを温存したフェルスタッペンが2番手でターン1を周った。
3番手にサインツJr.、5番手スタートのルイス・ハミルトン(メルセデス)がペレスを交わし4番手に浮上した。5番手ケビン・マグヌッセン(ハース)以下中団勢は団子状態。角田裕毅が新品のソフトタイヤで4つ順位を上げた一方で、新品のミディアムタイヤを選択したマクラーレン勢はスタートでポジションを下げた。
後方では、ミック・シューマッハー(ハース)がエステバン・オコン(アルピーヌ)に右リヤを当てられスピン。なお、そのオコンには5秒のタイムペナルティが科された。
しかし、マシンが止まるなどのアクシデントもなく各車はオープニングラップを終えた。
10周経過時点で、首位ルクレールと2番手フェルスタッペンの差は3.1秒に開き、3番手サインツJr.まではトップから7.7秒差に開く。そこからハミルトンを抜き、スタートで失った順位を取り戻したペレスが3.1秒後方と、上位勢は一定の間隔を空けて周回を重ねた。
想像以上にタイヤデグラデーションが大きいか、真っ先にハミルトンがピットへ飛び込んだ。12周目に新品のハードタイヤにチェンジ。12番手でコースに復帰した。メルセデスはジョージ・ラッセルにもハードタイヤを投入していた。
フェルスタッペンとサインツJr.は14周終了後にピットインし、新品のソフトタイヤを投入。ルクレールは翌周にピットインし、ユーズドのソフトに切り替えた。
アンダーカットを狙うフェルスタッペンが3秒あったタイム差をアウトラップで詰め、ピットアウトしたルクレールのテールを捉えた。
ここでF1新時代を担う若手ふたりが熾烈なバトルを展開。すでにタイヤが温まっているフェルスタッペンは、翌周のターン1でインに飛び込み前に出るも、ルクレールがターン4で大外刈り。フェルスタッペンは再びホームストレートでDRSを活用し前に出るも、またしてもターン4でルクレールが抜き返して首位に立った。
3度目の正直とばかりに、フェルスタッペンが再びターン1でルクレールのインを狙うもロックアップ。若干フラットスポットを作ったこともあり、ルクレールは2秒以上のギャップを築いた。
レース23周時点では、ルクレールとフェルスタッペンのトップ2台が抜け出し、3番手サインツJr.まで7秒の差が開いた。ミディアムタイヤを履くペレスが4番手からひたひたと迫り、タイヤデグラデーションが大きいサインツJr.は「3ストップも検討してくれ」とチームに無線を飛ばした。
レース28周目には、ハミルトンがハードタイヤからミディアムタイヤに切り替える。前を走るペレスのタイムから、ハードタイヤに比べミディアムタイヤのパフォーマンスが良いと踏んだのだろう。
フェルスタッペンも31周目にミディアムタイヤに切り替え、ルクレールもこれに反応、定石通り翌周にピットインした。フェルスタッペンがアウトラップで攻めすぎないように指示されていたこともあり、ここで2台の差が縮まることはなかったが、その後ゴーサインが下ったフェルスタッペンはアタックを開始。ただルクレールもフェルスタッペンに対応し、ペースを上げる。余力は残されているようで、再び2秒以上のギャップをキープした。その後、ふたりの差は徐々に開いていき、43周目に5秒にまで広がった。
タイヤデグラデーションが厳しいフェルスタッペンは3回目のピットストップ。フェルスタッペンはステアリングが重いとトラブルを訴えたが、信頼性トラブルではないとチームは判断し、レースを続行させた。
その他のマシンも続々と3回目のピットストップに向かう中、46周目にガスリーがターン3の縁石を越えた瞬間にマシンがシャットダウン。コース脇に止めたマシン後方からは火の手が上がり、ガスリーは急いでマシンを降りた。
コースにはセーフティカーが出動し、首位ルクレールはピットイン。ソフトタイヤに切り替えトップのままコースに戻った。
レースは51周目から再開。全車ソフトタイヤでの7周スプリントレースが開始され、ルクレールがひとり抜け出した。フェルスタッペンには3番手サインツJr.が襲いかかり、54周目からはDRSを活用しターン11で先行を許した。
そのフェルスタッペンのマシンにはトラブルが発生。フェルスタッペンはレース中に何度かチームにマシンの不調を訴えていたが、ここで万事休す。力なくピットへマシンを戻した。3番手に上がったペレスにもトラブルが発生し、チームは4番手ハミルトンからポジションを死守するよう「残り2周だ。なんとか粘れ」と鼓舞するも、トラブルが原因で最終ラップのターン1でリヤタイヤがロックし、スピンを喫してしまった。
最有力と謳われたレッドブルがダブルノーポイントと最悪のシーズンスタートを迎えたのと対照的に、ルクレールがトップチェッカー。サインツJr.が2位に続き、フェラーリがワンツーで開幕戦バーレーンGPを制した。
フェラーリは、2019年シンガポールGP以来3年ぶりの勝利。2020年にドン底を味わったマラネロの跳ね馬が、3年の時を経て再び輝き始めた。
3位には、苦しみながらも運を味方につけたハミルトンが転がり込んだ。4位にはメルセデスデビュー戦のラッセルが続いた。
5位には電撃復帰のマグヌッセン。運ではなく、実力で素晴らしい結果を掴み取った。ハースのポイント獲得は2020年のアイフェルGP以来のことだった。
6位にはこちらも大躍進のアルファロメオのボッタス。スタートで順位を大きく下げたものの、ここまで這い上がってみせた。
7位にはオコン。角田が予選16番手から大きくポジションを上げ、8位でチェッカーを受けた。ガスリーがリタイヤを喫する中で、貴重なポイントをチームに持ち帰った。
レース中もボッタスを長きに渡って抑え込む走りを見せるなど、今後に向けてポジティブなレースだったと言えよう。
角田を挟む形でアルピーヌのフェルナンド・アロンソが9位。F1デビュー戦の周冠宇(アルファロメオ)が10位で、F1初ポイントを獲得した。
順位 | ドライバー | 周回数 | タイム | 差 | 前車との差 | 平均速度 | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | シャルル ルクレール | 57 | 1:37'33.584 | 26 | |||
2 | カルロス サインツ Jr. | 57 | 1:37'39.182 | 5.598 | 5.598 | 18 | |
3 | ルイス ハミルトン | 57 | 1:37'43.259 | 9.675 | 4.077 | 15 | |
4 | ジョージ ラッセル | 57 | 1:37'44.795 | 11.211 | 1.536 | 12 | |
5 | ケビン マグヌッセン | 57 | 1:37'48.338 | 14.754 | 3.543 | 10 | |
6 | バルテリ ボッタス | 57 | 1:37'49.703 | 16.119 | 1.365 | 8 | |
7 | エステバン オコン | 57 | 1:37'53.007 | 19.423 | 3.304 | 6 | |
8 | 角田 裕毅 | 57 | 1:37'53.970 | 20.386 | 0.963 | 4 | |
9 | フェルナンド アロンソ | 57 | 1:37'55.974 | 22.390 | 2.004 | 2 | |
10 | チョウ グアンユー | 57 | 1:37'56.648 | 23.064 | 0.674 | 1 | |
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