メルセデスのロビー活動は裏目に出た? レッドブルのヘルムート・マルコ「1チームが問題を抱えているだけ」
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは、ポーパシング対策のためにメルセデスが行なったロビー活動が「裏目に出た」と考えている。
写真:: Mark Sutton / Motorsport Images
2022年のF1で多くのマシンが見舞われているポーパシングについてFIAが介入する姿勢を見せているが、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは、メルセデスが行なったロビー活動が「裏目に出た」と考えているようだ。
メルセデスをはじめ、複数のドライバーがアゼルバイジャンGPの後に今季のマシンが抱えるポーパシングの問題について懸念を表明したことを受け、FIAがその対策に乗り出した。
カナダGPの直前には、FIAが技術指令を通達。これにより、今後どのような対策が必要かを見極めるために、垂直加速度やフロアの摩耗具合を調査すること、さらにフロアのたわみを抑制するため、2本目のステーを装着することを許可することを通達した。
この技術指令を受け、メルセデスはカナダGPの初日に2本目のステーを装着。ただFIAは技術指令を発したのみであり、レギュレーションが変更されていなかったことから、ライバルチームから抗議が提出される可能性があるとして、メルセデスは2日目以降は追加のステーを取り外して走行することになった。
これらのことを受けて巻き起こった論争により、メルセデスの目論みとは違った方向に進んでいるかもしれない。特にレギュレーションを変更するという面では、メルセデスが望むような形に進まない可能性が強くなってきた。
メルセデスのW13は、激しいポーパシングを引き起こしていたものの、最大限のパフォーマンスを発揮するためには、限りなく車高を落として走る必要があることが明らかになってきた。しかしそうなると今度は、マシンの床下を路面に打ち付けてしまう、いわゆるバウンシングを引き起こすことになる。この対策のためには、メルセデスとしてはFIAの介入を求めていたはずだ。
メルセデスとしては、全チームが一律に車高を引き上げるようなレギュレーションになることを期待していたと考えられている。しかし実際には、ポーパシングやバウンシングといった上下動に苦しんでいるチームのみが、車高を上げる方向になりそうだ。
レッドブルは、ポーパシングやバウンシングといったマシンの上下動に関する問題にはほとんど悩まされていないチームだ。同チームのモータースポーツ・アドバイザーを務めるマルコは、今回のことは、メルセデスが行なったロビー活動とは、逆の結果をもたらしたのではないかと示唆する。
「私はその通りだと思う」
マルコはそう語った。
「我々はドイツ語で”der Schuss ging nach hinten los”と言う。つまりメルセデスにとっては裏目に出たのだ」
マルコは、今回の問題は全てのチームが苦しんでいるモノではないため、FIAが介入するべきではないと信じている。
「私はマックス(フェルスタッペン)の意見に完全に同意する。シーズン中にこういう変更をするのは、正しいことではない」
「FIAが我々のマシンのセットアップを行なうわけじゃない。車高を変更するということはセットアップを変更するということを意味する。FIAにそんなことはできない。そして私としての次のポイントは、これは全て、ひとつのチームが問題を抱えている結果であるということだ」
「そのチームは、自分たちの問題を片付けるだけで、他のチームに影響を与えるべきではない」
今週中にはFIAが、各チームのテクニカルディレクターと会い、今回の件においてミーティングを行なう予定である。これによって新たな方向性が見出される可能性がある。
マルコは、マシンのセットアップにFIAがどれだけ関与するつもりなのかを把握するために、詳細を知る必要があると語った。
「まだ明確になっていないパラメータが多すぎると思う」
そうマルコは語る。
「FIAは、別の説明を考え出さなければいけないと思う」
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