【独占取材】F1オランダGP、「フェイク・グラベルトラップ」を試験導入。赤旗中断のリスク軽減目指す
F1オランダGP開催を控えたザントフールトは、レースでの赤旗中断のリスクを軽減すべく、”偽の”グラベルトラップを試験導入した。
写真:: Jon Noble
F1第15戦オランダGPの開催に向け、舞台となるザントフールトは「フェイク・グラベルトラップ」案を試験的に採用した。
motorsport.com独自の写真にもある通り、このフェイク・グラベルトラップはターン12(ハンス・エルンスト・シケインふたつ目)に導入されている。
昨年のグランプリでは、縁石を乗り越えたマシンがコース上に砂利を撒き散らすという問題が発生。実際にサポートイベントでは赤旗が提示されたため、今季の開催に向けて主催側はユニークな案を試みたのだ。
アスファルトのランオフエリアへ変更することは避けたい主催者側は、ターン12の縁石の後ろに幅1メートルの「フェイク・グラベルトラップ」エリアを設け、グラベルを樹脂のようなもので包んだ。そのため見た目はウエットコンディションのグラベルのようだが、実際は完全に固められている。
Zandvoort gravel trap
Photo by: Jon Noble
そのため、マシンがこのターン12で行き場を失い縁石を若干乗り越えても、砂利をコース内に撒き散らすことは少なくなり、レーシングライン上に砂利が散乱し赤旗原因となることも激減するはずだ。
またこの固められたグラベルエリアは、滑らかながらもデコボコしており、グリップは少ない。そのためドライバーは、このエリアを”悪用”してタイムを稼ぐといった手法は採れないだろう。
このフェイク・グラベルトラップのさらに奥側には、本物のグラベルトラップが設置されており、ランオフエリアに大きく飛び出したマシンを減速させることは可能だ。
オランダGPのスポーティングディレクターを務めるヤン・ラマースは、ザントフールトでこのフェイク・グラベルトラップ案が成功すれば、他のサーキットでも採用される可能性があるとの考えを示した。
「コース内に砂利が入ることを避けるべく、最初の1メートルは『グラベルに見えるが、実際はターマックに近い』ように設計された」
ラマースは、8月31日(水)に行なわれたタイトルスポンサーのハイネケンとのプレビューイベントでそう語った。
「マシンにとってはとても滑りやすく、デコボコしているため、実際に活用することはできない。でも少なくとも、コース内に色々なデブリが出ることは避けられるため、他のサーキットにとっても良い開発だ」
Zandvoort gravel trap
Photo by: Jon Noble
オランダGPの大会責任者は当初より、アスファルトのランオフエリアに変更することは望んでおらず、グラベルトラップを残しておくことを熱望していた。
マクラーレンのランド・ノリスも水曜日に、ザントフールトはドライバーのミスが許されないと分かっているからこそチャレンジングなのだと語っている。
「ここで良いことがひとつ。多くのドライバーも好きだと思うんだけど、ここはグラベルとバリアだけ……ランオフエリアがないんだ」
そうノリスは言う。
「同時に僕らは嫌でもある。グラベルに入りたくはないし、バリアに激突することも避けたいけど、リスクを冒すかどうかはドライバー次第でもあるからね。より多くのリスクを背負えば速く走れるし、タイムを稼ぐことができるんだ」
「この要素がサーキットを楽しくしてくれるし、ドライバーの度胸を試すサーキットにしているんだ」
またF1のステファノ・ドメニカリCEOは、グラベルトラップの存在はトラックリミットをより明確にする上で必要なモノであり、スポーツとして残していくべきモノだと考えている。
「ランドが言ったことには同意する」
そうドメニカリは言う。
「スパ(フランコルシャン/ベルギーGP )のターン1で起きたことを思い出してほしい。以前は全面がアスファルトで、最初のコーナーで誰もがアウト側に(幅寄せしに)行っていた。個人的には、あれはあまり好きではない」
「バリアがあるコースでは明確トラックリミットがあり、さもなくばクラッシュしてしまう。グラベルもトラックリミットで、アリかナシかを判断するために議論する必要はない」
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