F1フランスGP決勝:ハミルトン、“貫禄”4連勝。ガスリー、繰り上がりで10位
F1第8戦フランスGPの決勝レースが行われ、ルイス・ハミルトンが今季6勝目を飾った。
写真:: Andy Hone / Motorsport Images
F1第8戦フランスGPの決勝レースが行われ、メルセデスのルイス・ハミルトンが4連勝を果たした。
舞台となるポール・リカール・サーキットは、決勝レースのスタート時刻を迎えた時点で気温は26℃、路面温度55℃と高温のコンディションとなった。
まず、ポールスタートのハミルトンが良いスタートを切り、ホールショットを奪う。スタート後のオーダーはハミルトン、バルテリ・ボッタス(メルセデス)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)と順当に並ぶが、5番手につけたカルロス・サインツJr.(マクラーレン)がフェルスタッペンに対しプレッシャーをかける姿も見られた。また、ピエール・ガスリー(レッドブル)がスタートでポジションをひとつ上げて8番手とした。
大きな混乱はなくオープニングラップを終えると、トップ4台が抜け出す展開に。7番手スタートのセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)はスタートでポジションを上げられず。前を行くランド・ノリス(マクラーレン)をなかなかオーバーテイクできずに周回を重ねてしまうが、5周目のターン8でようやくパスして6番手に浮上した。
ベッテルは7周目にサインツJr.もオーバーテイク。5番手までポジションを回復し、表彰台圏内を目指してひた走る。
8周目にはソフトタイヤでペースの落ちていたアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)が最初にピットイン。ハードタイヤに履き替えてコースへ復帰した。
10周を消化した段階で、先頭を行くハミルトンは2番手のボッタスに対して約2.5秒のギャップを築いた。また、3番手のルクレールと4番手フェルスタッペンの間も2秒ほどのギャップとなった。
ソフトタイヤスタートで厳しい展開が予想されていたガスリーだが、13周目には遂にルノーのダニエル・リカルドに追いつかれてしまう。一度テールトゥノーズに近い距離まで詰められたガスリーは、粘り強く走り、ミディアムタイヤを履くリカルドよりも速いペースを発揮してポジションを守った。
17周目、ガスリーを抜けないと見たか、リカルドがピットイン。ハードタイヤに交換してアンダーカットを狙う。
ソフトタイヤを引っ張ってきたガスリーも、これに反応する形で18周目にピットインし、ハードタイヤに交換。ガスリーはリカルドの前15番手でコース復帰するが、タイヤがまだ暖まっていないこともあってか、ターン8でスピードを乗せたリカルドにオーバーテイクを許してしまった。
そして好調のノリスは19周目にピットイン。12番手でコースへ戻った。サインツJr.も翌周にはピットインして10番手で復帰した。
21周目、フェルスタッペンがピットイン。5番手でコースへ復帰となった。その翌周にはルクレールがピットイン。ルクレールはフェルスタッペンの前でコースへ復帰することに成功した。一方でベッテルには、可能な限りミディアムタイヤで長く走るよう指示がでた。チームメイト間で戦略を変えたようだ。
24周目にはボッタスがピットイン。コース復帰はベッテルに前を行かれて3番手となった。続いてハミルトンもピットイン。余裕を持ってベッテル、ボッタスの前でコースへ復帰した。
見かけ上の2番手につけていたベッテルだが、ハミルトンの後ろで走っている最中、タイヤにフラットスポットを作ってしまったようで、チームへピットインを要請。26周目にタイヤ交換を行い5番手でコースへ戻った。4番手フェルスタッペンとの差は5秒ほどだ。
上位陣がタイヤ交換を済ませたが、トップのハミルトンはファステストラップを更新する走りを連発。2番手のボッタスに10秒以上の差を築き、悠々の一人旅状態となった。
ハードタイヤでスタートしたキミ・ライコネン(アルファロメオ)が33周目にタイヤを交換し、13番手を走るガスリーの前に出た。ライコネンはミディアムタイヤを装着したこともあってか、ガスリーはなかなか差を詰められず、逆に差を広げられてしまう厳しい展開となった。
ガスリーは更に、36周目にピットインしたニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)にも先に出られてしまいポジションを上げられない。
この頃になるとハミルトンとボッタスのタイヤにはブリスターの兆候が現れ始めるが、ペースは維持されており波乱からは程遠い状況だ。
レースは40周を消化したが、ハミルトンが12秒ものギャップを築く独走状態。ハミルトンはタイヤにブリスターの症状が出ているにもかかわらずファステストラップを更新するなど、余裕も伺えた。
残り10周を切ると、ベッテルに“プランF”に変更するとの無線が入る。ファステストラップポイントを狙ったものだと予想されるが、ベッテルは6番手のサインツJr.相手にフリーストップを行えるだけのギャップを築いているためだ。
サインツが6番手、ノリスが7番手と中団チーム最上位を固めていたマクラーレンにトラブル発生。チームは40周を過ぎたころから、ノリスにDRSを使わないように指示していたが、残り7周を切ると、ノリスはステアリングが重いと無線で訴えたのだ。ノリスは、それでも懸命なドライビングを続け、サインツとそれほど見劣りしないペースを続けた。
11番手のガスリーが徐々にセルジオ・ペレス(レーシングポイント)に差を詰められてしまい、残り4周になるとDRS圏内にまで近づかれてしまった。
一方、上位勢ではボッタスのペースが落ち、ルクレールが一気に差を詰めていった。その勢いは1周あたり1.3秒ものペース差だったが、コーナーに設置されていたボラードがコース上に転がってしまい、バーチャルセーフティカーが発動。直ちにマーシャルが撤去し、その周の内にこれは解除された。
残り2周となると、ベッテルがファステストラップポイント狙いのプランFを敢行。新品のソフトタイヤに履き替えてコースに戻った。
一方でルクレールは更にボッタスとのギャップを削り取り、1秒にまで縮めてラストラップに突入した。ルクレールはバックストレートからターン8にかけてプレッシャーをかけるが、抜くことはできなかった。
そして、ハミルトンがトップでチェッカーフラッグを受け取り4連勝。そして今季6勝目を飾った。
一方で2位争いは最後まで見せ場が。最終コーナーでボッタスが姿勢を崩すとルクレールはそれを見逃さずインに入ろうとするが、ボッタスが抑えきって2位を確保し、ルクレールは惜しくも3位となった。
レッドブルのフェルスタッペンは表彰台圏内に近づくことができず、4位となった。またガスリーはスタート時のソフトタイヤが響いたか、11位でチェッカーを受けた。
そしてファステストラップポイント狙いのタイヤ交換を実施したベッテルだが、ラストラップにファステストラップを更新していたハミルトンのタイムをなんとか上回り、無事目論見通りファステストラップポイント1点を獲得した。
トロロッソは終盤にチームメイト同士で順位の入れ替えがあり、ダニール・クビアトが14位、アレクサンダー・アルボンが15位でレースを終えた。
ベスト・オブ・レストは6位に入ったサインツJr.だ。10位フィニッシュとなったチームメイトのノリスも、トラブルが出るまでは7番手を走っていたこともあり、今シーズンのマクラーレンのポテンシャルの高さを見せつけたレースとなった。
ただ、ファイナルラップにはリカルドに追いつかれたノリスがコースオフした場面があり、この件は審議対象に。審議の結果、リカルドに計10秒のタイム加算ペナルティが科され、ガスリーが10位に繰り上がり1ポイントを獲得。リカルドは11位に降着となった。
【リザルト】F1第8戦フランスGP 決勝レース結果
順位 | ドライバー | 周回数 | タイム | 差 | 前車との差 | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ルイス ハミルトン | 53 | 1:24'31.198 | 25 | ||
2 | バルテリ ボッタス | 53 | 1:24'49.254 | 18.056 | 18.056 | 18 |
3 | シャルル ルクレール | 53 | 1:24'50.183 | 18.985 | 0.929 | 15 |
4 | マックス フェルスタッペン | 53 | 1:25'06.103 | 34.905 | 15.920 | 12 |
5 | セバスチャン ベッテル | 53 | 1:25'33.994 | 1'02.796 | 27.891 | 11 |
6 | カルロス サインツ Jr. | 53 | 1:26'06.660 | 1'35.462 | 32.666 | 8 |
7 | キミ ライコネン | 52 | 1:24'39.791 | 1 Lap | 1 Lap | 6 |
8 | ニコ ヒュルケンベルグ | 52 | 1:24'40.351 | 1 Lap | 0.560 | 4 |
9 | ランド ノリス | 52 | 1:24'42.192 | 1 Lap | 1.841 | 2 |
10 | ピエール ガスリー | 52 | 1:24'47.422 | 1 Lap | 5.230 | 1 |
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