今季残り3戦、メルセデスのパワー面での優位は最後まで続かない? しかしハミルトン車へのさらなる新エンジン投入の予定はなし
メルセデスは、F1サンパウロGPでルイス・ハミルトンが見せたようなパワーユニットのパワーの優位性は、長くは続かないと考えている。
写真:: Charles Coates / Motorsport Images
F1第19戦サンパウロGPに向けて、メルセデスのルイス・ハミルトンはパワーユニットの内燃エンジン(ICE)を新調した。この効果もあり、ノックアウト予選をトップで通過したハミルトンは、DRSの規定違反でスプリント予選レースを最後尾からスタートすることを強いられるも、驚異の追い上げで5番手フィニッシュ。ICE交換によるペナルティで10番グリッドスタートとなった決勝レースでも、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とのバトルを制して見事優勝した。
ハミルトンがサンパウロGPで見せたストレートスピードの速さは、ライバルであるレッドブルも驚くほどであった。レッドブルは、なぜメルセデスがストレートであれほどの速さを見せることができたのかについて探っており、何か巧妙な手段を見つけたのではないかと疑いを深めている。
フレッシュなICEに交換したことは、ハミルトン車のパワーアップ=ストレートスピード向上に間違いなく寄与しただろう。ただその一方で、今季のメルセデスのICEは寿命による劣化が目立っている。
メルセデスはここ数週間悩まされていた信頼性の問題は解消されたと自信を持っているものの、それでもパワー面のアドバンテージは徐々に失われていくはずだと考えている。
メルセデスのチーム代表であるトト・ウルフは次のように語る。
「どんなエンジンであっても、パフォーマンスの落ち込みは付き物だ」
「つまり、我々がこのエンジンでシーズン終了まで戦ったとしたら、パフォーマンスは確実に落ちるということだ」
そう語ったウルフだが、ハミルトン車に関しては、カタール、サウジアラビア、アブダビの今季残り3レースをパワーユニット交換なしで乗り切ることができると自信を持っている。
「そのことは間違いない」とウルフは言う。
「我々はこのエンジンでシーズンを最後まで戦うつもりだ。信頼性に関してはまだ気になる点もあるが、正しい答えを得られたと思っているし、最後までこのままでいくつもりだ」
またメルセデスのトラックサイド・エンジニアリング・ディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは、このタイミングで新しいICEを投入したことについて、サンパウロGPの舞台であるインテルラゴスでのストレートスピード向上は大きな価値があると考えたからだと述べた。
「交換したのは技術的な理由ではない。つまり故障のリスクがあると考えていたからではない。しかしパワーユニットというものは非常にハードに動いているものなので、信頼性が確実に保証されている訳ではない」
「スプリント予選レースにおいてペナルティを受けるということには利点がある。そこで劣勢を挽回することができるのだ。このコースでは多くのオーバーテイクが期待できると思っていたが、この2日間でまさにそれを証明することができた」
「また、アブダビに着いた時のことを考えて、貯金を作っておきたかったということもある。このようにいくつかの理由があり、白か黒かで判断できることではなかったが、我々は交換にあたって良いサーキットを選んだと思っている」
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