レーキ角の低いF1マシン、今季は苦しい?「我々とメルセデスは約1秒失った」とアストンマーチン
アストンマーチンは、F1が空力規則を改めたことにより、レーキ角のついていないマシンはレーキ角のついたマシンと比べて1周あたり1秒失っていると考えている。
レーシングポイントから名称を新たにして2021年シーズンのF1を戦うアストンマーチン。昨年コンストラクターズランキング4位となった彼らだが、開幕戦バーレーンGPの予選ではランス・ストロールが10番手、セバスチャン・ベッテルが18番手(ペナルティにより最後尾に降格)という苦しい船出となった。
昨年は表彰台を争うポテンシャルもあったアストンマーチンが苦しんでいる理由の中には、今季から空力規則が一部変更されてフロアで稼げるダウンフォースが減少したことも挙げられるだろう。レッドブルやアルファタウリなどマシンにレーキ角(マシンの前傾角度)をつけてフロア全体をディフューザーのようにしてダウンフォースを稼いでいたチームとは違い、メルセデスやアストンマーチンなどレーキ角をつけずにフロアの面積を大きくすることでダウンフォースを確保してきたチームにとっては、フロアの面積が削られたことがかなりの痛手になっているようだ。
予選後、アストンマーチンのチーム代表であるオットマー・サフナウアーは次のように語っている。
「前回バーレーンでレースをした時……4ヵ月ほど前だったが、その時はチェコ(セルジオ・ペレス)のパワーユニットに問題が発生するまで、表彰台を狙える位置にいた」
「今回はそれに近いパフォーマンスを発揮することはできないだろう。パフォーマンスが低下した直接的な原因は2021年に空力規則にある」
「4ヵ月前と今、バーレーンで行なわれたふたつのレースの予選タイムを比較すると、高レーキ思想のマシンは低レーキ思想のマシンよりも約1秒得をしているように見える」
「だからメルセデスと我々が最も(フロア規則変更の)影響を受けているチームなんだ」
サフナウアーはまた、アストンマーチンというブランドをF1に復活させるにあたり、オフの間に多くの努力をしてきたことを考えると、この状況は受け入れ難いものであると語った。
「満足できる状況ではないね」とサフナウアー。
「満足できないというのは、ふたりの素晴らしいドライバーに言っているわけではなく、マシンの設計、製造、運用に関わってくれている500人の素晴らしいスタッフたちに言っているわけでもない。そしてスポンサーやパートナー、ファンに対してでもない」
「そうは言っても、これからのレースで性能不足を少しでも解消できるよう全力で取り組んでいく」
レーキ角のコンセプトは車両デザインの根幹を成すものであるが、サフナウアーはホモロゲーションの規則が厳しいために、アストンマーチンとメルセデスが短期的にできることはないと語る。
「テストと今週末のデータを慎重に分析した結果、2021年の新しい空力規則は低レーキ思想のマシンにかなり大きな影響を与えることが明確となった」
「具体的に言えば、マシン後方部分のフロアの寸法変更が、我々やメルセデスのような低レーキ思想のマシンのパフォーマンスに悪影響を与えている」
「この問題について話しているのは我々だけでない。トト(ウルフ/メルセデスチーム代表)もFIAの記者会見でそのことを話していた」
「我々は高レーキ思想のマシンに変更しようとしてもできないし、メルセデスも同様だ。なぜなら、今年のマシンのサスペンションは既にホモロゲーションを取得しているからだ」
今季の空力規則変更が、特定のチームのパフォーマンスを抑えて格差を是正するために意図的に導入されたものだと感じるかと尋ねられたサフナウアーは、こう答えた。
「私が言っているのは、2021年の空力規則が高レーキ思想のマシンよりも低レーキ思想のマシンにダメージを与えているということだ」
「つまり、メルセデスと我々は影響を受けた一方で、メルセデスやアルファタウリ、マクラーレンやフェラーリといった高レーキ思想のマシンは被害を受けなかったということだ」
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