登録

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

Motorsport prime

Discover premium content
登録

エディション

日本
分析

信頼性トラブルの続出も覚悟の上! 過激なPU開発に踏み切ったアルピーヌ、2023年はその真価が問われる1年に

F1のパワーユニット開発凍結がスタートした2022年、アルピーヌにパワーユニットを供給するルノーにとっては、最高の1年でもあり、最悪の1年でもあった。

Esteban Ocon, Alpine A522

写真:: Andy Hone / Motorsport Images

 2022年、アルピーヌはコンストラクターズランキング4位を獲得した。その大きな原動力となったルノーのパワーユニット(PU)はパワーが向上していただけでなく、シャシーの空力特性改善に寄与する、コンパクトなモノであった。

 それ以前と比べ、大きなステップアップを果たしたルノーPUだが、その代償は小さくなかった。フェルナンド・アロンソやエステバン・オコンがトラブルによりポイント獲得の機会を失うことが何度もあったのだ。

 シーズン終盤、アストンマーチンへの移籍を決めたアロンソが、どれほど多くのトラブルに見舞われたか、不満を口にするのを憚らないほど苛立っていたことも不思議ではないほどだった。

 メキシコシティGPでのリタイアに心を痛めた彼は「(それまでのトラブルで)マイナス50ポイントくらいだったと思うから、このリタイアでまたそれが8ポイント増えたよ」と語った。

「だから1年でマイナス58ポイントかマイナス60ポイントだ」

関連ニュース:

 時にはルノーが大失敗をしたかのように見える難しい局面もあったが、その真相はむしろ、想定されていたリスクのひとつだったと言えるだろう。

 フェラーリがそうであったように、ルノーも2022年から2025年末までPUの開発が凍結されることが決まっていた中で、それまで抱えていたようなパワー面での不利をなんとか挽回しなければならないと考えたのだ。

 2022年のシーズンが始まってしまえば、技術的な変更が認められるのは信頼性に関する問題があった場合のみ。次世代PUが導入されるまで、パワー面での序列を大きく変えることはできなくなってしまう。

 そのためルノーは、当初は信頼性が低かったとしても、パフォーマンスを引き出すことに全力を注いだ。

 それは、後にアルピーヌが経験するようなトラブルを招くリスクを抱えることを意味するが、長期的な利益を見据えれば、短期的なダメージだとみなすこともできる。

 最終的に信頼性を向上させれば、安全性を重視した低スペックな初期設計のPUよりも、はるかに優れたPUが完成することになる。

サンパウロGP決勝後に出火したエステバン・オコンのマシン

サンパウロGP決勝後に出火したエステバン・オコンのマシン

Photo by: Andy Hone / Motorsport Images

 ルノーのF1エンジンチーフであるブルーノ・ファミンは、保守的とは程遠いアプローチだったと率直に語った。

「我々は実際、かなりのリスクを負った」

 ファミンはそう2022年を振り返った。

「そのリスクとは、できるだけ軽いエンジンを開発しようとしたことと、通常なら行なうはずの完全な検証作業を行なわないというリスクを取ったことだ」

「我々は本当に最後の瞬間までプッシュした。少しギリギリすぎたかもしれない。というのもいくつか問題があったからだ。しかし開発面では、本当に最大限の努力をしたかったのだ」

 ファミンは、このアプローチが2022年に困難な局面を招いたことを認めながらも、それが正しいことであったと断言する。

「問題はあったにせよ、この戦略は正しかったと思う」

「シンガポールでは問題を抱えた。8周の間にふたつの異なる問題が発生するなんて、とても信じられないことだ」

「しかし、その他の問題はすべて、ウォーターポンプや燃料ポンプといった補機類に関わるものだった。この問題は23年には解決できると信じている」

Fernando Alonso, Alpine F1 Team, climbs out of his car after retiring from the race

Fernando Alonso, Alpine F1 Team, climbs out of his car after retiring from the race

Photo by: Carl Bingham / Motorsport Images

 ルノーは2023年に向けてウォーターポンプを改良し、他の補機類にも手を加え、昨年と同じような信頼性の問題を繰り返さないようにしようとしている。つまり信頼性トラブルに対処するため、性能を犠牲にして安全策を講じる必要はないということだ。

「後戻りすることはないと思う」と、ファミンは今年の計画について話す。

「我々はそれについて取り組んでいるし、特に補機類に関してはすでに深く取り組んでいる」

「もうひとつは、検証プロセスを推し進めている。2022年までよりもずっと良い方法で、可能な限りベストな形で運用しようとしているんだ」

「2022年にそれを完全に行なうことができていなかったとして、それは我々がやりたくなかったからではない。むしろ、開発を推し進めることを優先したからだ。だから2023年の目標は、同じレベルの性能を維持し、すべてを信頼できるモノにすることだ」

 ファミンは、PU面でこれ以上パフォーマンスを向上させるのは難しいことを認めつつも、ペースを上げるための手段を検討するのを止めるつもりはないという。

「率直に言って、エンジンの性能を向上させることはできないので、マージンはない」

「我々にできるのは、例えばパッケージングによってクルマのパフォーマンスを上げることだ。吸気ラインを変えたり排気ラインを変えたりして(シャシー開発を行なう)エンストンの同僚が、より良い空気性能を発揮できるようにすることが考えられる」

「また、エネルギーマネジメントにも取り組んでいる。しかしこれもまた非常に限られたモノでしかない。ソフトウェアは1年に1バージョンしか使えないので、とても制限されているんだ」

「たとえごくわずかな差だったとしても進歩するためのアイデアを出すということだ。純粋なパフォーマンスではなく、ドライバビリティや細かい調整、空力面でのゲインなどだ」

 2022年にアルピーヌが出たリスキーな賭けが功を奏したのかどうか……2023年はしっかりと見極めることができるシーズンになるはずだ。

 
関連ニュース:

Be part of Motorsport community

Join the conversation
前の記事 F1・ザ・ルーツ(番外編):これまで蜜月関係を築いたメーカー多数、そして次はアウディと……しぶとい、しぶといザウバーの処世術
次の記事 F1サウジアラビアGP、2027年までジェッダ市街地での開催を継続。新サーキットへの移行は先送りに

Top Comments

コメントはまだありません。 最初のコメントを投稿しませんか?

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

Motorsport prime

Discover premium content
登録

エディション

日本