最後の最後までロッシは”バレンティーノ・ロッシ”……ヤマハ上層部「レースへの姿勢、情熱に感銘を受けた」
ロードレース世界選手権(MotoGP)は、2021年限りでバレンティーノ・ロッシというシリーズの”アイコン”を失った。ヤマハのライダーとして最後のシーズンを戦い抜いた彼を、YZR-M1の開発リーダーはどう見たのだろうか?
写真:: Gold and Goose / Motorsport Images
ロードレース世界選手権、いわゆるMotoGP。世界中で多くのファンに愛されているこのスポーツだが、昨年はバレンティーノ・ロッシが引退するという、大きな節目の年となった。
125cc、250cc、500ccそしてMotoGPクラスと、20年にわたるキャリアを通じて通算9度の世界チャンピオンに輝いた経験を持つMotoGPの”アイコン”と言えるこのレジェンドライダーは、最後のシーズンをヤマハのライダーとして戦った。
ロッシは2020年限りでヤマハファクトリーチームを離れ、2021年はサテライトチームのペトロナス・ヤマハSRTへと移籍。ファクトリーサポートを得て、進退の掛かったシーズンへと臨んだ。
年間18戦を戦ったロッシは、10戦でポイントを獲得。しかしトップ10に食い込めないことも多く、ベストリザルトは8位。引退レースとなったバレンシアGPは10位で終えた。
「まずはMotoGPパドックのみならず、スポーツ界の宝とも言える彼(のキャリア)を、ヤマハのM1で締めくくり、そのサポートができたことは本当に良かったと安堵しています」
ヤマハ発動機MS開発部の鷲見崇宏プロジェクトリーダー(以下鷲見PL)は、2021年を振り返る取材を受けた際にロッシについてそう口を開いた。
鷲見PLはロッシの最終シーズンについては、パフォーマンス上の衰えを鑑みても、現在の非常にタイトな環境で若手に立ち向かっていたと評した。
「最後のレース、担当者のプレッシャーはかなりのモノだったようですが、無事に送り出すことができてホッとしておりました」
「パフォーマンスについては、アスリートとしてのピークは越えてしまっていることは否定できませんし、以前のようなポジションで戦えなくなっていることも事実ですが、今のMotoGPは本当にタイトで、コンマ何秒の差でトップ10に入れないという環境です。今年は若手の台頭も激しく、予選で勢いよく攻める若手に対して、上手く決まらないと決勝もその煽りを受けてしまうというところがありました」
「順位的には振るわないことが多かったんですが、レースの中ではベテランとしての戦い方で若手に立ち向かっていて、彼自身もその時々で楽しんでレースをしていました」
そして鷲見PLは、ロッシが最後の最後まで、ロードレースへの情熱や高いモチベーションを持ち続けていた事にこそ、強い感銘を受けたと語っている。
「(最終戦)バレンシアでは、毎日彼はイベントで引っ張りだこ……ロッシはその喧騒の中にいたわけです」
「ですがふとガレージに行くと、土曜日の晩にいつもと同じようにデータを一緒に見ていて、一生懸命紙に書き込んでいるんです。それを見て”最後のレースだから”というような気持ちではなく、明日のレース、また明日のレースという、そういった姿勢を目の当たりにしました」
「しかもレースが終わった後、あのお祭り騒ぎの中でも『ここをああしていたらもっと上手く走れたな』といったような、今聞くとは思わなかったようなコメントも聞けました」
「結局、彼はレースへの情熱やモチベーションをという面で最後の最後まで深く大きなモノを持って戦っていて、全く衰えていなかったというところは、本当に強い感銘を受けました」
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