MotoGPコラム|興奮間違いなし!「優勝かそれとも表彰台か」…贅沢な期待をできるようになった日本勢に大注目
MotoGPは9月23日から第16戦日本GPが開幕。日本での開催は2019年の開催が最後となっていたため、実に3年ぶりだ。母国メーカー、母国ライダーの活躍に期待がかかるのが常だが、2022年は特に中小排気量クラスが熱い戦いを見せてくれそうだ。
写真:: Gold and Goose / Motorsport Images
いよいよ今週末は3年ぶりの日本GPだ。新型コロナウイルスの影響により2020年と21年は日本や東南アジアのフライアウェイシリーズが見送られていたが、世界的なパンデミックの感染状況は徐々に改善の兆しを見せ、今回無事に日本でもMotoGPが開催される運びとなった。また、その間には会場の名称が「ツインリンクもてぎ」から「モビリティリゾートもてぎ」へと改められる、という出来事もあった。
今シーズンの日本GPは、MotoGP、Moto2、Moto3のクラスいずれもチャンピオン争いが山場の状況を迎えており、現地でも家庭でもレース観戦は大いに盛り上がることだろう。特にMoto2とMoto3の両クラスでは日本人選手たちが毎戦活躍しているだけに、日本GPの期待と昂奮はいっそう高まりそうだ。
オーストリアGPMoto3クラスでは日本人ライダーがワンツーフィニッシュ
Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images
とはいえ、日本人ライダーたちが当然のように表彰台争いを毎戦繰り広げるのは、考えてみればじつに久しぶりのことだ。ここ数年の中小排気量クラスで日本人選手が大いに存在感を発揮しているのは周知の事実だが、日本では上記の事情により過去2年はレースが開催されなかったので、表彰台を期待できそうな日本GPは久しぶり、という印象がさらに強くなる。
過去を振り返ってみると、日本人選手が日本GPで表彰台に登壇した最後のレースは、2009年の250ccクラスまでさかのぼる。このときは、現IDEMITSU Honda Team Asia監督の青山博一が2位を獲得した。この年の日本GPはシーズン2戦目の4月開催で、日本GPのシーズン初表彰台で弾みをつけた青山は、ライバルたちと毎戦激しい優勝争いを繰り広げ、最終戦でついにタイトルを獲得した。青山の日本GP表彰台といえば、世界への挑戦を始めた2年目の2005年に、当時チームメイトだったダニ・ペドロサも追いつけないほどの独走で優勝を飾り、君が代の流れる表彰式で感極まって泣き濡れる姿もじつに印象的だった。
監督となった青山博一
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青山が2009年に獲得した2位表彰台以降、中排気量クラスでは日本人選手は誰も日本GPのポディウムには登壇していない。だが、今年は小椋藍(IDEMITSU Honda Team Asia)に表彰台の大きな期待がかかる。チャンピオン争いで現在ランキング2番手につける小椋は、今シーズンここまでのレースで2勝を含む6表彰台を獲得している。地元レースのもてぎでは、当然のように優勝を狙ってくるだろうし、チャンピオン争いを考慮して無理をせずに2位や3位で終える、という展開もあり得るだろう。いずれにしても贅沢な予想ではあるのだが、このような贅沢な期待を(かつてのように)あたりまえにできるような時代になった、ということもまた、感慨深い。
最小排気量クラスを振り返ると、125cc時代の2001年鈴鹿で東雅雄が優勝し、0.067秒差で宇井陽一が2位に入ったとき以来、日本人選手は日本のレースでは21年も表彰台を獲得していない。じつは2016年には尾野弘樹が予選でトップタイムを記録し、決勝でも3位のチェッカーフラッグを受けていたのだが、レース後の計量でライダーとマシンの合計重量が規定に400グラム届かなかったため、表彰台は幻に終わってしまった。ライダー自身の過失ではなかっただけに、泣くに泣けない出来事というほかない。
Moto2小椋藍、日本GPも期待大
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今年のMoto3クラスでは、毎戦のようにトップ争いを繰り広げている佐々木歩夢(Sterilgarda Husqvarna Max Racing)や鈴木竜生(Leopard Racing)は、日本GPではいつも以上になおさら気合いの入った走りで優勝を狙ってくるだろう。また、シーズン序盤に表彰台を獲得して以降、歯車が噛み合わない様子の鳥羽海渡(CIP Green Power)も、地元日本のレースは復活の兆しを掴むいいきっかけになるだろうし、最近では予選で上位グリッドを獲得することが多い山中琉聖(MT Helmets-MSI)も初表彰台のチャンスがあるだろう。また、今年がデビューイヤーの古里太陽(Honda Team Asia)も、初ポイント獲得を見据えたレースを期待したい。
さて、最高峰のMotoGPでは、2005年に3位表彰台を獲得した玉田誠が、今のところ最後の日本GP日本人表彰台登壇者だ。また、玉田は2004年のレースでポールポジションスタートから優勝を飾っているが、これ以降どの会場でも日本人選手は優勝をしていない。玉田自身、この話題になるたびに、自分の記録は一刻も早く破ってほしい、と常々語っている。
今年は中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)、長島哲太(Team HRC)、津田拓也(Team SUZUKI ECSTAR)の3名が参戦する。中上は前戦アラゴンGPで右手薬指と小指の腱を負傷した状態での参戦になるため、厳しい週末を強いられそうだ。ホンダとスズキのテストライダーを務める長島と津田も、レギュラー勢と戦って表彰台を獲得するのは至難の業だろう。こと最高峰クラスに関するかぎり、日本人の表彰台獲得は厳しそうだと言わざるを得ないのが正直なところだ。だが、たとえ表彰台に登壇しなくとも、可能な限り最上を目指した結果であれば、大勢のファンがきっと惜しみない声援と拍手を贈るだろう。
これから始まる2022年日本GPのレースウィークが、この週末を3年間ずっと待ち続けた多くの人々にとってかけがえのない素晴らしいものになりますように。
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