WRCと市販車の”関係”とは。得られたアイデアはどう活かされる?
グループA時代とは異なる、現在のWRC。厳しい戦いの場で得られたアイデアは、市販車にどう活かされるのだろうか。
写真:: Toyota Racing
1980年代前半から1990年代、WRCはグループA規定で争われていたことから、WRCに参戦していた自動車メーカーはスバル・インプレッサやランサー・エボリューションなどハイテクデバイスを装備したスポーツモデルを開発。ベース車両のパフォーマンスを向上させてきた。
近年はWRカー規定の導入で、競技モデルは完全にプロトタイプ的な位置付けとなり、ベース車両とは切り離されて考えられてきたが、トヨタが先日発表したヤリスGR-4は、グループA時代と同じ発想で、ホモロゲーションモデルを開発。ラリー競技を前提にサスペンションのストロークやルーフライン、カーボンルーフの採用など考慮したハイスペックモデルを開発した。
これは言わば、ラリー競技のためにあらかじめ理想のスペックを盛り込んだ市販車両だが、ではその逆に、ラリー競技から市販車へフィードバックされる技術はどのようなものなのだろうか?
WRCの開幕戦、ラリー・モンテカルロの会場で、トヨタGAZOOレーシングの関係者に尋ねてみたところ興味深い答えが返ってきた。
「WRカーから市販モデルに直接フィードバックされるものはありませんが、アイデアやヒントなんかはアフターパーツや特別モデルに活かされると思います」と語るのは、現在テクニカルコーディネーションディレクターとしてチームに帯同する近藤慶一氏。
さらに近藤氏は「それに評価のやり方はWRCなどのラリー競技が有効です。テストコース以外でクルマを評価するためには、ラリーのようなステージを技術のあるドライバーが走るのは効率がいい。ダンパーやサスペンションセッティングの評価に効果的です」と語る。
一方、エンジンに関しても、WRCでエンジンプロジェクトのマネージャーを務める青木徳生氏によれば「WRCからのフィードバックに関して言えば、エンジンの作り方と開発の仕方があげられます」とのこと。
具体的には「WRCでいいピストンができたからといって、そのままパーツが市販車に活かされることはありませんが、そのピストンの作り方は活かされます。それにWRCの経験で無駄なテストが省けるので、スピード感を持って開発できます」とのことだ。
このようにWRCのパーツがそのまま市販化されることはないようだが、アイデアやヒントが市販モデルにフィードバック。そして、GR-4のようにハイパフォーマンスの市販モデルを開発することによって、WRCでも素晴らしいパフォーマンスを発揮できるのである。
GR YARIS
Photo by: Motorsport.com / Japan
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