フェラーリが”疑惑”のリヤ開口部を設けた秘密とは!?
フェラーリの今季マシンSF71Hのリヤには、ダブルディフューザーに酷似した開口部が存在する。その効果とは!?
写真:: Giorgio Piola
ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】
Analysis provided by Giorgio Piola
フェラーリの2018年型マシンSF71H。このクルマのギヤボックス下には、トンネル状の構造が設けられており、バルセロナで行われたオフシーズンテストの際、大きな注目を集めた。
この見た目は、レギュレーションで禁止されているダブルディフューザー(2009年にブラウンGPが採用。抜群の効果を発揮し、参戦初年度にしてダブルタイトルを獲得した)に酷似しており、疑惑の目が向けられた。
しかし実際には、レギュレーションに違反したものではなく、近年のフェラーリが取り組み続けてきたデザインの、最新のステップである。
2016年以降、フェラーリはディフューザー上のエリアの開発に取り組んできた。ここを活用することで、前方からの乱れの少ない気流の効果を向上させることができると考えたようだ。この部分はこれまでは開かれたモノであったが、今年はこれに覆いを設け、その効果をさらに向上させるための1歩を踏み出した。
この部分の開発を推し進めた原因のひとつは、今年のフェラーリのマシンのホイールベースが、延長されたことと直結しているようだ。
長くなったホイールベース
フェラーリの昨年モデルSF70Hは、モナコやハンガリーのようなハイダウンフォースが求められ、そして狭くコーナーが多いコースで強さを見せた。しかしながら、そのほかの空力効率が求められるようなコーナーでは、最大のライバルであるメルセデスに大きく遅れをとった。
しかし今季のフェラーリはホイールベースを3550mmから3678mmに延長。これにより、マシンの表面を流れる気流をコントロールしやすくなった。特にマシンのリヤでは、高い空気抵抗を生み出すようなウイングを設置せずに、気流を整えることができるようになっている。
図を見ると分かるように、フェラーリSF71Hは、前輪を前方にするのと同様に、リヤホイールも後方に移動させられている。
ホイールベースを長くしたことで、パワーユニットやラジエターを前方に移動させることができる。その結果、フェラーリはマシンのリヤ部分を非常に小さく、薄くすることに成功した。リヤエンドが小さく薄いと言うことは、ディフューザー上の気流を活用するチャンスが拡大したのだ。そしてこれを活用し、ディフューザーから空気を引き抜く効果を手助けしている。
この写真からも、ギヤボックスの形状が、気流の改善をいかに助けているのかを見ることができるだろう。
このトンネルの働きは!?
By Matt Somerfield
このイラストは、2016年型マシンSF-16Hのモノである。今年は、この黄色く示されているスペースを活用できるようになったのだ。
上のイラストが、今季のSF71Hのフロアである。これを見ると分かるように、以前はボディワークがあった部分が狭められ、そこを流れる気流の輪郭を描くように覆いが設けられ、その後端がダブルディフューザーのように見えているのだ。
後方へ向かう気流を保護するようにボディワークを設けることで、どんな状況でも最大限のパフォーマンスを発揮できるようにすることが求められている。
チームはSF71Hをサーキットの特性に左右されないようなマシンにすることを目指していて、特に昨年まではメルセデスが優位を発揮していたようなサーキットでの性能を向上させようとしている。
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