躍進中のマクラーレンが示す“団結”のチカラ。ドライバー、上層部、スタッフ全てが適材適所で貢献

今季のF1において躍進著しいマクラーレン。その秘訣は、ドライバーやマシンのパフォーマンスに留まらず、組織としての結束力にも隠されている。

躍進中のマクラーレンが示す“団結”のチカラ。ドライバー、上層部、スタッフ全てが適材適所で貢献

 現在のF1で最も上り調子なチーム、それはマクラーレンと言っても過言ではないだろう。イタリアGPで2012年以来9年ぶりとなる勝利をワンツーフィニッシュで成し遂げた彼らは、その士気や団結力も非常に高い。

 モンツァでのレースを制したダニエル・リカルドはその勝因について問われると、チーム代表のアンドレアス・ザイドルがチームメンバーのカフェイン摂取をようやく許可したからだと笑って話した。ジョーク好きのリカルドの発言はさておき、少なくともザイドルの存在がチームの躍進に大きく影響を与えたことは間違いないだろう。

 つまり、マクラーレンを理解する上で重要なのは、彼らが躍進したのは単にマシンのパフォーマンスが向上したからではなく、チームの姿勢そのものに変化があったから、ということだ。ファクトリーのスタッフ、エンジニア、メカニック、ドライバー、上層部、その他クルーなど全ての人間が同じ方向を向いて正しいアプローチをした成果として今がある。

 現在のチーム状況は、“ロン・デニス政権”の晩年やホンダパワーユニット時代のそれとは対照的と言える。当時のような政治的なゴタゴタは存在しない。先日のロシアGPでマクラーレンのランド・ノリスと優勝争いを繰り広げたルイス・ハミルトン(メルセデス)も、かつての古巣の復調に対して「彼らがまた団結する姿を見られて嬉しい」と語っていた。

 ザイドルがチームを率いる上で成功したのは、チームが信頼関係を取り戻したことでドライバーに良いマシンを提供することが可能となり、それがさらなる信頼関係に繋がるという好循環を生み出したという点だ。

 これについてリカルドは次のように語る。

「僕たちは熱意を持っているし、自信もついてきている」

「このチームは既にここ数年そういう状態を築き上げていて、それを引き継いでいるだけだ。皆がチームに馴染んできて、お互いに成長している。とにかくとても素晴らしい集団なんだ!」

Daniel Ricciardo, McLaren, 1st position, celebrates with his team in Parc Ferme

Daniel Ricciardo, McLaren, 1st position, celebrates with his team in Parc Ferme

Photo by: Andy Hone / Motorsport Images

 またふたりのドライバーがこのチームに与えている影響も無視することはできない。リカルドとノリスのキャラクターはチームが求めるものに完璧にフィットしている。彼らは速さがあるのはもちろんのこと、親しみがあり、明るく、人一倍努力する。

 ノリスに関してはウォーキングにあるファクトリーの近くに住んでおり、もはや施設の一部と言ってもいいくらい足を運んでいるという。

「ファクトリーから3分くらいで着くような近所に住んでいるから、僕はずっとそこにいて、チームの変化を間近で見てきた」とノリスは言う。

「先週はほぼ毎日行っていた。チームのみんなと会っているし、ゴルフ場ですら会うこともある。僕は近くで食事をするし、彼らと一緒に食事をすることもあるからね」

「色んな部署を見て回るのも好きだ。義務感とかではなく、ただなんとなく。みんなが何をしているのか見たいし、挨拶もしたいしね」

「そうすることでチームの一員だと感じられるし、彼らがただ働いているだけではないことが分かるんだ」

「ダニエルだって同じだと思う。僕たちはひとつの大きなグループであり、家族なんだ」

「みんなは僕たちのために、そして僕たちはみんなのために戦っている。お互い助け合いたいと思っているし、お互いに成功したいと思っている」

 マクラーレンにとってラッキーだったのは、ノリスが近所に住んでいて頻繁に顔を出すというだけではない。今季からチームに加入したリカルドも、コロナ禍の影響を受けながらも人間関係の構築に努力を惜しまなかった。

 マクラーレンでの自身の貢献について、リカルドは次のように語った。

「人間関係を構築することは本当に大事なんだ」

「コロナのことがあるから少し大変だった。誤解して欲しくはないけど、レースウィーク中にクルーと食事に行って、お互いのことを知るのは良いことだと思う」

「僕たちは同じ情熱を持っていて、同じ目標に向かって進んでいる。これらを共有することは重要だと思う」

「だから僕たちはこれまでと少し違った方法でそれを育まないといけなかった。でもビデオ通話やグループチャットがあるおかげで、僕たちも関係を築くことができた」

 マクラーレンはやる気に満ちあふれたスタッフと適材適所に配置された人々が重なり合うことで進歩の波を作り出した。その波はドライバーのコース内外での貢献によりさらに大きなものとなり、マクラーレンを前進させていった。

Daniel Ricciardo, McLaren MCL35M, 1st position, takes victory to the delight of his team on the pit wall

Daniel Ricciardo, McLaren MCL35M, 1st position, takes victory to the delight of his team on the pit wall

Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

 リカルドはさらにこう続ける。

「僕はこれが自分の手柄だと思いたくないし、アンドレアスも同じように思っているだろう。ただ、適材適所に人材を配置してお互いに支え合うということこそが、彼やチームのみんながここ数年で築き上げてきたものだと思う」

「ヒエラルキーのようなものは存在しない。誰かひとりが倒れても、他の誰かがそれをおぶって一緒に前に進む……そんな文化がある。それを実感している」

「チームの誰もがマクラーレンの一員であることを誇りに思っているんだ」

 
 

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