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メルセデスF1を買収との噂も……INEOSとは一体何者なのか?

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メルセデスF1を買収との噂も……INEOSとは一体何者なのか?
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メルセデスF1チームは、現在同チームのパートナを務めるINEOSによって買収されるのではないかと言われ始めている。INEOS、そしてその創設者であるジム・ラトクリフ卿とは一体何者なのか?

ジム・ラトクリフ卿とは誰か?

 現在67歳のジェームス・ラトクリフは、バーミンガム大学で化学工学の学位を取得し、業界での礎を築いた。そしてその後、ロンドン・ビジネススクールで学び、マネジメントスキルを磨くこととなった。

 そのラトクリフは、1998年にINEOSを設立。石油化学分野において買収を繰り返し、企業規模を拡大させた。この中には、以前BPが手にしていた資産も含まれる。

ラトクリフは何をしているのか?

 ラトクリフは、世界で推定2万2000人の従業員を抱えるINEOSの60%株式を持ち、同社のCEOを務めている。

 2017年、同社は石油化学以外の業界にも踏み出した。そのひとつが4WD車“グレネイダー(Grenadier)”のマーケティングを目的とする自動車部門を作り上げることで、10億ポンド(約1356億円)もの投資を行なった。さらにオートバイ用の衣類で有名なブランド”Belstaff(ベルスタッフ)”も所有している。

なぜラトクリフは、”ナイト”の称号を得たのか?

 ラトクリフは、ビジネスと投資への貢献が認められ、2018年の6月に、エリザベス女王からナイトの称号を与えられた。そしてその数週間後、サンデータイムズは彼について、イギリスで最も裕福な男と報じた。その資産額は210億ポンド(約2兆8000億円)とも言われている。

 しかし彼がナイトの称号を得たというニュースには、論争も巻き起こった。彼が石油開発において賛否のある水圧破砕法を用いていることが、問題とされたのだ。またその後、節税対策としてモナコに移住したことも、大きく批判されることになった。

The INEOS logo on the bodywork of the Mercedes F1 W11

The INEOS logo on the bodywork of the Mercedes F1 W11

Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

INEOSのスポーツへの関与

 2018年4月、ラトクリフはヨットのアメリカズカップを2021年に制覇することを目指し、INEOSチームUKを設立した。

 このチームは、ベン・エインズリー・レーシングとなり、ベン・エインズリー卿と共同で設立された。そしてチームのCEOには、かつてマクラーレンF1を率いていたマーティン・ウイットマーシュが就任、エンドリアン・ニューウェイおよびレッドブル・テクノロジーズと、技術的なコラボレーションを行なった。

 2019年のはじめには、チーム・スカイの自転車チームのスポンサーとして発表された。そしてすぐチーム名が”チームINEOS”となり、前述の4WD車”グレネイダー”PRのために、2020年からはINEOSグレネイダーというチーム名称に変わった。

 その他では、サッカーチームの買収にも興味を持っていたようで、一時はプレミアリーグのチェルシーを買収するのではないかとの噂も上がった。

ラトクリフとINEOS……メルセデスF1との関係は?

 ラトクリフは、あるチームスポンサーの誘いで、グランプリを訪れた。その際にチーム代表のトト・ウルフに出会った。ふたりはその時短い話をしたが、その際に共通点が多いことに気付き、すぐに契約が成立した。

 2019年の12月。メルセデスF1は、F1に予算制限が科されることになったことで、余剰となるリソースを他のビジネスに振り分けるための”メルセデス・ベンツ・アドバンスド・サイエンス部門”を設立。これを通じて、ヨットや自転車チームのプロジェクトに、技術的なサポートを行なうことを発表した。

 そしてその数ヵ月後、INEOSは5年契約でF1チームをスポンサードすることを発表した。

ラトクリフは、メルセデスF1を買収しようと考えているのだろうか?

 これまでラトクリフは、成功したスポーツチームを買収し、自らのチームとしている。この手法は、ビジネスで用いてきたモノと同じだ。彼は明らかにF1に興味を持っており、最も成功しているチームを購入するのは、彼のビジネスとしても理に適っている。

 また4WD車の開発も手掛けているため、メルセデスとの相乗効果を生み出すことだってできるかもしれない。ただ、グレネイダーの最初のモデルは、BMWのパワーを採用している。

 なおINEOSはフランスにある元Smartの工場をダイムラーから買取り、グレネイダーの製造拠点にしている。これが、両社のコラボレーションの最初だと言えるだろう。

ラトクリフがF1チームを所有することになったら……

 メルセデスF1チームは、その株式の60%をダイムラーAGが持ち、30%をトト・ウルフが、残りの10%を故ニキ・ラウダが持っていた。ラウダの持ち株はまだそのまま残っているが、これがラトクリフとINEOSが最初に購入する株式ということになる可能性もある。

メルセデスは、今後も長くF1を続けていくのだろうか?

 メルセデスは、2014年にいわゆるパワーユニット時代が始まって以来、F1を支配してきた。しかし全ての自動車メーカーは、たとえ支配的な成績を残していたとしても、モータースポーツへの関与を今後どうしていくのか、定期的に見直している。それを考えれば、チームの構成を変えることは、十分に検討の余地があることだと言えるだろう。

 重要なのは、新たなコンコルド協定が効力を発揮することだった。

 チームは、スポンサーおよび放映権料の分配金により、かなりの収入を手にしている。そのため親会社であるメルセデスが2019年に投資したのは、3000万ポンド(約40億円)に過ぎなかった。ただ、パワートレインを作るハイパフォーマンス・パワートレインズに対するサポートは、これに含まれていない。

 ただ、予算上限が引き下げられることにより、F1チームの収入が減ったとしても、利益を生み出すことができる可能性がある。誰にとっても、良いビジネスになるはずだ。そういう意味では、これまで多額の投資をしてきたメルセデスが、F1チームを手放す適切なタイミングであるとは、どうしても思えないのである。

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この記事について

シリーズ F1
チーム メルセデス
執筆者 Adam Cooper