【FSW50周年】長谷見&星野76年F1を語る「雨が続いていたら勝てた」
3月12日(日)、1976年に富士で開催された日本初のF1にスポット参戦した長谷見昌弘と星野一義が、当時を振り返るトークショーを行った。
3月12日(日)、富士スピードウェイの開業50周年を記念して『FUJI Wonderland FES!』が開催され、長谷見昌弘と星野一義がトークショーを行った。
1976年、富士スピードウェイで日本初のF1グランプリ、『F1世界選手権イン・ジャパン』が開催された。このレースにスポット参戦していたのが、長谷見昌弘と星野一義である。長谷見は国産F1マシンであるコジマKE007、星野はティレルの型落ちマシンであるティレル007を駆って世界に衝撃を与えた。
長谷見は予選1回目で4位を獲得し、パドックを驚愕させたが、予選2回目のセッションで果敢にポールポジションを狙う走りが裏目に出てしまい、サスペンショントラブルが原因で最終コーナーでクラッシュをしてしまった。
長谷見は「我々から外国に行くっていうのは色々な問題があって無理なんですけど、『向こうから来てくれるんだったらなんとかやっつけよう』ってコジマがクルマを作ったわけです」と語った。
「とにかくクルマのバランスがすごく良かった。あの当時750~850万円したんですけどエンジンも新しく買って。フェラーリとかマクラーレンとストレートがまったく一緒(の速さ)なんですね、素晴らしかったです。でも一番は、日本ダンロップのタイヤがとにかく良かった」
ティレル007駆った星野は、予選ではそれほど良くなかったものの土砂降りの決勝で驚異の追い上げを見せ、一時3番手を走行した。
星野は「気持ちはヨーロッパに飛んでいた」と語った。
当時ワークスのティレルは、ジョディ・シェクターとパトリック・デュパイエが革新的な6輪車P34を駆っていた。シェクターは『日本人ドライバーは抜かされたい方向の手を挙げろ』と星野に語ったそうだ。
「遅い場合にはね、抜かれたい方の手を挙げろとコントロールタワーで説明を受けてたんですけど、本番ぶち抜いてやったんですよ。シェクター、手を挙げないんだよね」と当時を振り返った。
「(路面が乾いてきて)タイヤが磨耗して、ホイールのセットがなくて。リタイアの時コックピットから15分くらい降りなかったですよね。悔しいというより、やっぱりそれに懸けてひとつひとつ、モーターサイクルからずっときたからパーツがない、タイヤがないじゃ済まされない。そういう状況に腹を立ててね」
「だから、いろんな意味で日本から脱出したいとかね。それからあとの人たちは(鈴木)亜久里選手とか海外に行くんですけど、僕と長谷見さんは時代のアレでしょうがないですよね。ね、先輩?」と問いかけると、長谷見はこう答えた。
「星野くんのことは話し半分に聞いて! 僕の(言う)ことは100%正しいですから。もし雨が降り続いていたら、星野くんが勝ってます」
これを受けて星野は「ありがとうございます! もう今日はこれだけでいい」と満足気。
ところが長谷見は「それは星野くんの腕がいいんじゃないんです。F1の連中はグッドイヤーのワンメイクなんです。だから深溝(ウェット)タイヤっていうのを持ってなかったんです。淺溝なんです」と”ネタばらし”。
星野は「いやいやいや、話変えよう。説明する必要何もないのよ、やめろやめろ」とうろたえたが、「長谷見さんのは(ダンロップの)予選用スペシャルタイヤで誰が乗っても速いんだ」とやり返し、会場は集まったファンの笑いに包まれた。
話題は、長谷見がポールポジションを狙いに行った予選2回目でクラッシュしたマシンに移っていく。サーキットのすぐ近くにある近藤レーシングのガレージで修復が行われ、近隣の「大御神レース村」と呼ばれるレーシングガレージ群からメカニックが修復に集まったという。
「やっぱり日本のクルマ、結構タイム良かったですからね、なんとかしようって。それでみんな集まって手伝ってくれたみたいですね。もうそれ以来そういうのはないですね」
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