【インタビュー】コバライネン、全日本ラリー初の外国人王者に。「最高の気分。来日からイメージしていた」

全日本ラリー選手権の2021年シーズンの全戦が終了。1979年のシリーズ創設以来、初めて外国人ドライバーとしてチャンピオンに輝いたヘイキ・コバライネンその人にインタビューを行なった。

【インタビュー】コバライネン、全日本ラリー初の外国人王者に。「最高の気分。来日からイメージしていた」

 2021年の全日本ラリー選手権において注目を集めたドライバーが、フィンランド出身のヘイキ・コバライネンだと言えるだろう。スーパーGTに参戦しながら、全日本ラリー選手権にも計6戦に参戦しており、トヨタGT86 R3を武器にJN2クラスで6連勝を達成。コドライバーの北川紗衣とのコンビネーションで2輪駆動部門において勝率100%を達成し、念願のタイトルを獲得した。 

Read Also:

 コバライネンは2016年に全日本ラリー選手権にデビューしたものの、スーパーGTとのスケジュールの関係からフル参戦を果たせなかったほか、愛機のGT86 R3はFRマシンゆえにグラベル戦で苦戦を強いられてきた。そして今シーズン、1979年のシリーズ設立以来、外国人ドライバーとして初めてのチャンピオンに輝いたコバライネンを、最終戦となった第4戦「久万高原ラリー」で直撃した。


Q:最終戦を待たずしてJN2クラスのチャンピオンに輝きました。まずは率直な感想をお聞かせください。

コバライネン: 2015年に日本に来た時、スーパーGTで勝つことと全日本ラリー選手権で勝つことをイメージしていたからね。最高の気分だよ。2016年のスーパーGTではサード・チームのサポートで平手晃平選手とともにタイトルを獲得。同時に2016年はラックスポーツのサポートで全日本ラリーに参戦することができた。4年前からアイセロチームと一緒にラリーを戦いはじめたけれど、そのこともあってドライバーとして進化をすることができたと思う。私のターゲットは常にポイントを重ねてチャンピオンシップで勝つことにあったので、2021年は本当に嬉しいシーズンになったよ。

Q:スーパーGTと全日本ラリー選手権に参戦していますが、2つのカテゴリーを“掛け持ち”することに対して難しさはありますか?

ヘイキ・コバライネン,Heikki Kovalainen

ヘイキ・コバライネン,Heikki Kovalainen

Photo by: Izumi Hiromoto

 スーパーGTと全日本ラリーはまったく違うカテゴリーだし、マシンもまるっきり違うからね。確かに簡単なことではないよ。とくにスーパーGTはチャレンジングで、なかなか良いリザルトを残せていない。でも、サード・チームは今もハードにやっているし、スーパーGTのマージンはとても小さいから、ほんの少しのことでリザルトが変わることがある。実際、第6戦のオートポリスも優勝にむけてチャレンジしていたけれど、エンジンに小さなトラブルがあって、ちょっとのパワー不足があって勝てなかったしね。

 でも、スケジュールに関してはそんなに問題はないかな。スーパーGTでは時々、長いブレイクがあるからね。他のドライバーはスーパーフォーミュラやスーパー耐久など他のレースに参戦しているけれど、私にとっては全日本ラリーがいい練習になっている。ラリーは頭にとっても、気持ち的にもいいトレーニングになっているので、2つのカテゴリーに参戦していることは私にとっていいことだと思う。

Q:ラリーの経験がスーパーGTなどのサーキットレースに活かせることはありますか?

コバライネン:違うカテゴリーだから、あまり活かせることは多くないかな。レースの舞台となるサーキットはコースも良く知っているし、コンディションがドライ/ウェットの違いはあるけれど一定だからね。それに対して、ラリーのステージは同じコースでもコンディションが異なっていて、今のコーナーが滑りやすくても、次のコーナーはグリップすることも多いから、コドライバーのペースノートを注意して聞いておかないといけない。だから、ドライビングで同じ部分と言えば、ステアリングを切ったり、アクセルとブレーキのペダルを踏むところは同じだけど、あまり似ていることはないかな。

Q:逆にサーキットレースをやってきたからこそ、ラリーに活かせた“強み”はありますか?

ヘイキ・コバライネン,Heikki Kovalainen

ヘイキ・コバライネン,Heikki Kovalainen

Photo by: Izumi Hiromoto

コバライネン:ターマックラリーに関してはサーキットの経験が役に立ったよ。私のドライビングテクニックはスムーズなんだけど、ターマックラリーではこのスタイルが合っていた。とくにブレーキング。スーパーGTではブレーキングがとても重要なんだけど、それと同じようにラリーでもこのブレーキングが役に立った。それにラインに関しても、他のドライバーより良いラインを見つけることができたと思う。でも、グラベルラリーはグリップレベルが低くいし、ラインも違ってくるから、サーキットレーシングの経験は生かせないね。

Q:ドライバーからの視点でサーキットレースとラリーの魅力の違いを説明してください。

コバライネン:スーパーGTはコクピットのなかにおいてはひとりで走るけれど、ラリーはコドライバーと一緒に走っている。コドライバーはたくさんの情報を伝えてくれて、ドライバーはそれを信じて走らなければいけないことが1番の違いだね。スーパーGTでは自分の目で見たことを受けて動いているけれど、ラリーはそうではない。例えば、コドライバーからの情報が「このクレストは全開!」だったら、例え先の状況が見えていなくてもドライバーは全開にしないといけない。そういった意味では一人でドライビングするスーパーGTと違って、ラリーはドライビングにおいてもコンビネーションが求められるところが大きな違いだね。

Q:全日本ラリー王者として、スーパーGTやF1ファンにラリーの魅力をPRしてください。

ヘイキ・コバライネン,Heikki Kovalainen

ヘイキ・コバライネン,Heikki Kovalainen

Photo by: Izumi Hiromoto

コバライネン:ラリーはとてもスペクタクルなカテゴリーだと思う。スーパーGTなどのサーキットレースはみんな同じラインをフォローしていて、サーキットによってはオーバーテイクが難しく、予選が重要になることも多いけれど、ラリーはまったく違ったスタイルの競技。ビッグスライディングも多いし、アクシデントの瞬間もレースより多いから、観客はレースよりラリーのほうがエキサイティングできるんじゃないかな。ぜひ、F1ファンやスーパーGTファンにもラリーを見てもらいたいね。


 ちなみに筆者はスーパーGTの現場でも度々、コバライネンを取材しているが、スーパーGTのパドックより全日本ラリー選手権のサービスエリアのほうがリラックスしているように見える。それにスーパーGTでもチームのホスピタリティトラックで自身のパソコンを開き、WRCのライブ中継を見ていることも少なくないだけに、やはりコバライネンは心底からラリーが好きなのだろう。

 同時にラリードライバーとしても素晴らしく、2021年は得意なターマックでは最高峰のJN1クラスに参戦する4WDターボ車両を凌ぐパフォーマンスで、グラベルにおいても“敵なし”の状態となっていた。2022年のラリープランはまだ未定のようだが、来シーズンはぜひ、4WDモデルでJN1クラスにチャレンジしている姿を見られることを期待したい。 

 
Read Also:

シェア
コメント
全日本ラリー選手権最終戦:雨を味方に勝田範彦がGRヤリスのデビューイヤーでクラスタイトル戴冠
前の記事

全日本ラリー選手権最終戦:雨を味方に勝田範彦がGRヤリスのデビューイヤーでクラスタイトル戴冠

次の記事

GRヤリス投入1年目でJN1クラス制覇! 勝田範彦&トヨタがタイトルを獲得できた理由

GRヤリス投入1年目でJN1クラス制覇! 勝田範彦&トヨタがタイトルを獲得できた理由
コメントを読み込む