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MotoGPコラム:小椋藍が王座争うMoto2&佐々木歩夢がいよいよ本領発揮のMoto3、軽中量クラスから目が離せない!

MotoGP2022年シーズンは前半の11レースが終了し現在ライダー達はサマーブレイクを満喫中。開幕戦から話題が尽きることのなかった2022年前半戦だが、8月から始まる後半戦を前に、日本人ライダーの活躍しているMoto2及びMoto3クラスを振り返ってみよう。

Ai Ogura, Honda Team Asia

写真:: Gold and Goose / Motorsport Images

 MotoGPの2022年シーズンは6月末に第11戦オランダGPを終え、現在は約1ヵ月間のサマーブレイク期間。激しい戦いが繰り広げられたシーズン前半戦だが、特に日本人ライダーの活躍が目覚ましかったMoto2クラスとMoto3クラスを振り返ってみよう。

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■”プレ”MotoGPの注目Moto2クラス。日本人ライダーの小椋藍がチャンピオン争い主役に

 2022年のMoto2クラスは、昨年のランキング上位を争った3名(レミー・ガードナー、ラウル・フェルナンデス、マルコ・ベッツェッキ)がいずれもMotoGPクラスへ昇格し、トップスリーがごっそりと抜けた状況下でスタートした。それだけに、経験豊富なベテランから才能溢れるルーキーたちに至るまで、バラエティ豊かな顔ぶれの中から果たして誰が抜け出していくのか、まったく予測がつかない状態で開幕戦カタールGPを迎えた。

 このレースでいきなり存在感を発揮したのが、セレスティーノ・ビエッティ(Mooney VR46 Racing Team)だ。土曜の予選でポールポジションを獲得したビエッティは、日曜の決勝レースで後続に6秒の大差を開いて独走優勝を達成した。

 続くインドネシアGPでは2位、次のアルゼンチンGPで再び優勝を達成して2勝目。第4戦アメリカズGPは序盤に転倒する結果に終わったが、欧州に舞台を移した第5戦ポルトガルGPで2位。その後は6位や8位という結果が続き、第9戦カタルニアGPでは久々のシーズン3勝目を挙げた。ドイツGPとオランダGPはともに表彰台を逃したものの、サマーブレイク前の前半戦を振り返ると、開幕戦以来ずっとランキング首位の座を維持している。

 このビエッティに対し、戦いが欧州ラウンドに移る頃から猛追を開始したのが小椋藍(IDEMITSU Honda Team Asia)だ。開幕戦と第2戦はともに6位で終え、第3戦アルゼンチンで3位表彰台を獲得。続くアメリカズGPでは、2連続表彰台となる2位に入った。

 昨シーズンの小椋は、レースウィークの走り出しで低位に沈んでしまうことが多く、金曜のセッションから攻めの姿勢で好タイムを記録していくことが課題のひとつになっていた。今年は、その部分が大きく改善している。フリープラクティス1回目から確実に上位につけるウィークが多く、土曜の予選でもほぼ毎戦安定してQ2に進出して上位グリッドを争っている。

■小椋藍、キャリア初優勝のスペインGP

 その走りが見事に実を結んだのが、第6戦スペインGPだ。予選ではMoto2クラス初のポールポジションを獲得。日曜の決勝レースでは真っ先に1コーナーへ飛び込んでいくと、以後は一度も前を譲らず、グランプリ初優勝を達成した。

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初優勝に湧くチームと小椋

初優勝に湧くチームと小椋

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

 自己評価が厳しい性格で自分の求める水準も高いからだろうが、小椋は2位や3位で終わったレースではいつも、「ちょっと残念なんですけど……」と述べることが多い。レースの自己採点を訊ねても、せいぜい70点や80点程度、と話すことが通例だった。

 アルゼンチンGPだったかアメリカズGPだったかの表彰台獲得後には、欧州のジャーナリストから「なんだかムスッとしてるみたいにも見えますが、うれしくないんですか?」と冗談交じりに訊ねられていたこともあった。小椋は苦笑しながら「いや、もちろんうれしいですよ。もともとこういう顔なんです」と返して笑いを取っていたけれども。

 スペインGPで優勝直後に小椋から話を聞いた際は、さすがにポールトゥウィンという完璧な結果だけあって、”100点満点”の内容だったようだ。

 だが、それでもまだ「序盤にもう少し後ろとの差を作れていれば、もっとラクな展開になったかもしれない。毎周同じラップタイムで走れたわけでもないし、毎周タイムを更新できたかというとそうでもない。そんなことをできるのはライダー人生で一度あるかないかだと思うんですが、走っている以上は、やはりそこを目指さなければならないと思います」と述べて自らを叱咤して見せたところなどは、やはり、いかにも小椋らしい姿勢、というべきだろう。

 第8戦イタリアGP終了時に小椋は獲得ポイント数でビエッティと同点に並ぶが、以後のカタルーニャGP、ドイツGPで充分なポイントを獲得できず、点差がふたたび少し開くことになった。だが、サマーブレイク直前のオランダGPでは長所を存分に発揮して、高度な安定感を披露した。序盤にミスで16番手まで大きくポジションを落としたものの、そこから前にいる選手たちを次々と抜き去る沈着冷静かつ猛烈な追い上げを見せ、最後は優勝まで0.660秒差の2位でチェッカーフラッグを受けた。まさに小椋の面目躍如、といっていい走りだ。だが、このときにもやはり小椋はゴール直後のパルクフェルメで「今日のレースはちょっと残念ですけど……」と述べている。

チームメイトのチャントラに比べると小椋は”ムスッと”した表情に見える?

チームメイトのチャントラに比べると小椋は”ムスッと”した表情に見える?

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

 この小椋とビエッティのランキング首位争いに、シーズン前半戦途中から一気に食い込んできたのがアウグスト・フェルナンデス(Red Bull KTM Ajo)だ。第7戦フランスGPでシーズン初優勝を飾ると、以後は5位、3位、優勝、優勝、という成績で猛追。オランダGPを終えて、獲得ポイント数でビエッティと同じ146に並んだ。ビエッティとフェルナンデスはともに優勝数が3回だが、表彰台獲得回数ではビエッティのほうが勝るため、ランキングではビエッティが首位、フェルナンデスが2位、という順位になっている。このふたりに対して、小椋は1ポイント差の145で3番手につけている。

 8月以降の後半戦も、おそらくこの3名を中心に戦いが推移してゆくだろう。ビエッティと小椋はともに2019年からMoto3クラスのフル参戦を開始し、昨年からMoto2へステップアップ、という非常に類似したグランプリ経験を持っている。また、フェルナンデスと小椋は昨シーズンに何度も同じ集団で争っており、互いに手の内を知り尽くしている間柄だ。さらに、彼らを支えるチームはパブロ・ニエトが率いるVR46とアキ・アヨの名門チーム、そして青山博一が指導するチームアジア、といずれも総合的なチーム力ではクラストップの陣営で、あらゆる面で実力が伯仲する三つ巴の戦いになってゆきそうだ。

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 また、彼ら3名からは少しポイント差は開いているが、アロン・カネットやトニ・アルボリーノ、ジョー・ロバーツたちがどの程度上位争いに絡んでくるか、ということが、チャンピオン争いを左右する攪乱項のような要素になってくるかもしれない。さらに、逸材として大きな注目を集めるペドロ・アコスタが、後半戦にはたしてどの程度才能を開花させてくるのか。これによって、トップ争いのパワーバランスが大きく変化することも考えられる。いずれにせよ、Moto2クラスの戦いは秋が深まるにつれてますます緊張感と熾烈さの度合いを強めていくことだろう。

■肉弾戦のMoto3クラス、佐々木歩夢のさらなる躍進は?

 Moto3クラスも毎戦のように激しいレースが続いている。第11戦オランダGPを終えた段階での獲得ポイント数は、首位のセルジオ・ガルシアが182、ランキング2番手のイザン・ゲバラが179、と、この両名がやや抜け出した恰好だ。ランキング3番手のデニス・フォッジアは115ポイント、と少し引き離されている。

 この上位2名のチャンピオン争いはともかく、Moto3クラスで日本人ファンにとって印象的が強かったのはやはり、佐々木歩夢(Sterilgarda Husqvarna Max Racing)が第11戦オランダGPで達成した初優勝だろう。2000年10月生まれの佐々木は、2015年にアジアタレントカップのチャンピオンとなって、翌2016年にレッドブル・ルーキーズカップで年間総合優勝。2017年にMoto3クラスのフル参戦を開始して、この年にルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。資質の高さは誰の目にも明らかだったが、以後は結果が伴わない厳しいシーズンが続いた。

初優勝に笑顔を見せる佐々木

初優勝に笑顔を見せる佐々木

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

 今年も、開幕戦でトップを独走中にフェアリングの緩みが生じてピットへ戻りリタイア。以後もほぼ毎戦トップグループで争い、2位や3位を獲得しても優勝だけにはどうしても手が届かなかった。イタリアGPでは金曜のプラクティス中に転倒し、左右の鎖骨を骨折するアクシデントに見舞われた。復帰を果たしたドイツGPで4位に入り、2連戦のオランダでついに優勝を飾った。

 佐々木が初めてMoto3クラスに参戦したのは、2016年の第17戦マレーシアGP。このレースを負傷欠場したエネア・バスティアニーニの代役出走だった。そこから数えて、オランダGPは95戦目の優勝である。今シーズンの佐々木は、ゴールしたレースはいずれもトップグループでフィニッシュしている。この優勝を契機に、夏以降の後半戦はさらに磨きをかけた走りを披露してほしいものだ。

 Moto3クラスでは、鈴木竜生(Leopard Racing)もトップ争いの常連だ。開幕直後の数戦は好結果を残せないレースが続いたが、直近の5戦は佐々木たちとともにトップグループで激しいバトルを繰り広げ、5位、3位、3位、5位、4位、という結果が続いている。シーズン序盤の苦戦でチャンピオン争いには少し差がついてしまったが、誰もが認めるMoto3のトップライダーのひとりである。サマーブレイク後は前半戦以上の好結果を期待するのは、けっして無理な注文ではないはずだ。

 フル参戦3年目の山中琉聖(MT Helmets-MSI)は、着実に上位陣を射程距離に収める走りが続いている。表彰台圏内に手が届きそうで届かない、なんとも歯がゆい結果が多いが、あともう少しの何かが噛み合うようになれば、佐々木や鈴木たちのトップ争いに割って入る日も近いだろう。

 鳥羽海渡(CIP Green Power)は開幕戦カタールで3位に入った。決勝レース後に話を聞いた際には、「去年までは、毎セッションでタイムを出すことに一所懸命になっていました。今年は、FP1からFP3まで安定してレースペースを刻むことを優先して考えるようにしています」と述べ、ウィーク全体を俯瞰して捉えてセッションを組み立てるようになったと話していた。だが、第2戦以降は何かが空回りしているような、結果の伴わないレースが続いている。後半戦では悪い流れを断ち切って力強い走りを見せてほしい。

 ルーキーの古里太陽(Honda Team Asia)は序盤2戦を負傷欠場し、第3戦アルゼンチンGPからの出場になった。出走した9戦中の8戦で完走を果たしているが、ポイント圏内のフィニッシュは達成していない。今はまだ様々な洗礼を受けている最中なのだろうが、この経験はきっと来年以降の走りに活きてくるだろう。

 
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