GT300ポイントリーダーの56号車リアライズ、100kgウエイトで善戦するも2度のペナルティで13位。その一部始終を聞く
スーパーGT・GT300クラスの56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rは、第5戦鈴鹿で13位に終わった。2度のペナルティが大きく響いた形となったが、ペナルティに至るまでの一部始終を聞いた。
写真:: Masahide Kamio
鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーGT第5戦をGT300クラスのポイントリーダーとして迎えた56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R。サクセスウエイトは既に上限の100kgに達していたものの、彼らは善戦してみせた。
予選ではジョアオ・パオロ・デ・オリベイラがQ1を4番手で突破すると、Q2でも藤波清斗が4番手タイムをマーク。ランキング2番手につけていた61号車SUBARU BRZ R&D SPORTの井口卓人、山内英輝組がQ1落ちに終わった一方で56号車はグリッド2列目という好位置を確保し、チャンピオンシップのリードを広げる絶好のチャンスを手にしていた。
56号車はレースでも首位争いに加わり続けた。50周目にセーフティカーが入り、隊列が整理させてレースが再開した頃、デ・オリベイラがドライブする56号車は4番手につけており、前を走る3台を追いかけていた。
しかし、デ・オリベイラは『危険なドライブ行為』があったとしてドライブスルーペナルティを受けることとなった。当該のインシデントは42周目のシケインで、88号車Weibo Primez ランボルギーニ GT3をドライブする元嶋佑弥との間に起きたようだが、中継映像では捉えられていなかった。
これについて、デ・オリベイラは次のように語った。
「僕の方が(元嶋よりも)速く、(前を走る)彼にプレッシャーをかけている時だった」
「彼らはタイヤに問題を抱えていたみたいで、ピットに入りたかったようだ。シケインを立ち上がった時、もう1周するのかと思ったら、彼はスロットルを抜いた」
「その瞬間、僕は彼の真後ろにいたから反応する時間がなく、ぶつかってしまった。彼はスピンはしなかったけど失速したので、僕はアウト側から追い抜いた」
「TVカメラには捉えられていなかったので、誰もその瞬間をモニターで見ることはできていない。僕は無線でチームに『ポジションを戻した方がいい?』と聞いたけど、彼らとしても何も見えていないので、そのまま行けと言われるだけだった」
「ペナルティを受けるんじゃないかと思っていたら、案の定ペナルティになってしまった」
接触にはそういった背景があったと説明したデ・オリベイラだが、ペナルティは妥当だと認めた。
「彼ら(レースコントロール)がデータを持っているわけじゃないし、アクセルを緩めたことも分からなかっただろう。でも僕だってルーキーじゃないし、スーパーGTでは接触が起きた時に後ろにいるドライバーが全責任を負わないといけないケースが多く、ペナルティを受けることになるのは承知している」
「(元嶋が)トラブルによってアクセルを緩めたというのは残念だけど、それは言い訳にはならない。それは要因のひとつでしかないからね」
ペナルティによって順位を落としたデ・オリベイラだったが、最終的には10番手でフィニッシュ。辛くもポイントを手にしたかに思われた。しかしレース後に40秒のタイム加算ペナルティが科されてしまい、最終結果は13位となった。
このタイムペナルティは、FCY(フルコース・イエロー)ボード提示中に7号車Studie BMW M4を追い越したことによるもの。ただオリベイラは、FCYが適用される直前、つまりカウントダウン中のタイミングを利用して7号車をパスするという賭けに出ていたため、ペナルティも致し方ないと語った。
「ドライブスルーペナルティを受けた後、オーバーテイクはかなり大変だった。特にBMWのように、ストレートが速いクルマは余計にね」
「彼(7号車の荒聖治)を抜く唯一のチャンスは、FCYのカウントダウンだった。カウントダウンが始まってから動いたんだけど、『(カウントダウン終了までに)間に合ったかな……』と心配だった。またペナルティを受けるかもしれなかったからね」
「今回は色々うまくいかなかったけど、このペナルティもそのひとつだ。3位を狙える位置にいたから本当に悔しい。ハードワークが水の泡になってしまった」
今季は残り3レースとなったが、56号車の藤波とデ・オリベイラは38ポイントで依然ランキングトップ。ただ第5戦で2位となった10号車TANAX GAINER GT-Rの富田竜一郎と大草りきが7ポイント差の31ポイントでランキング2番手に浮上しており、ライバルとの差は縮まった形だ。
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