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レーサー“Hiroki”と、歌手“Daiki”。並行するも交わらない、吉本大樹のふたつの人生【連載:レース以外のこと聞いてみた】

レース関係者がハマっている趣味や、レース以外に情熱を傾けているものを特集する本企画。今回は、レーシングドライバーとdoaのヴォーカル、二足のわらじで活動する吉本大樹に話を聞いた。

吉本大樹

写真:: GIZA

 モータースポーツ業界に携わる者たちは、根っからのレース好きが多く、趣味が高じて現在の職に就いている者が多い。とはいえ、そんな彼らにもレース以外の趣味があったり、レース以外で情熱を傾ける仕事があったりするものだ。本企画では、レース関係者たちの“好き”にスポットライトを当てていく。

 今回インタビューしたのは、スーパーGTのGT300クラスにLM corsaから参戦している吉本大樹。彼はレース活動と並行して、バンド『doa』のヴォーカルとしても活躍している。文字通り“ふたつの顔”を持つ彼に、現在に至るまでの経緯、doaとして伝えたいメッセージなどを聞いた。


ーーそれでは本日はよろしくお願いします。レーサーとヴォーカリスト、二足のわらじを履く吉本さんですが、レースと音楽を「やりたい」と思ったのはそれぞれいつですか?

「レースに関しては、幼少期からレーシングドライバーになりたいと思っていました。音楽に関してはもう少し大きくなってから、年齢で言うと中学生くらいですかね。レースは父親の影響、歌うのは母親の影響という感じです」

ーーレースと音楽、両方の夢をほぼ同時期に叶えるというのは珍しいケースに感じますが、どういう経緯で二足のわらじを履くことになったんですか?

「僕は11歳からオーストラリアに住んでいましたが、レースは18歳の時、オーストラリアから帰ってきてから始めました。音楽の方は、共通の知り合いから徳永暁人(doaのリーダー)と知り合うことになって、レコーディングしているところに遊びに行って、歌ってみて……というところからです。特殊ですよね。オーディションを受けに行ったりした訳ではないんですよ」

ーー確かに特殊ですね。

「徳永さんとしては『ハモれるロックバンドを作りたい』というのがありました。THE ALFEEさんみたいに、ハモれるバンドってあまりないじゃないですか。そこに僕がハマったみたいですね。その後大田(紳一郎)さんに声をかけて、結成されたのがdoaです」

ーーちなみに、二足のわらじで良かったと思うこと、逆に大変だったことはありますか?

前列左から大田紳一郎、吉本大樹、徳永暁人

前列左から大田紳一郎、吉本大樹、徳永暁人

Photo by: GIZA

「doaは元々僕がリードヴォーカルということでスタートしていますが、doaがメジャーデビューして1年くらいで、僕がヨーロッパに行ってしまったことがありました」

ーー2005年〜2006年にGP2(現FIA F2)に参戦された時ですよね。(doaのメジャーデビューは2004年)

「そうです。確認事項などはインターネットを介してできたのですが、レコーディングは随時できません。レコーディングのために日本に帰ってきて、その中で詰め込んでレコーディングしたりしましたし、シーズン中はツアーができなかったりということがありました。その中で、徳永さんがリードヴォーカルをやる曲ができ、大田さんもリードヴォーカルをやる曲ができて、doaは全員がリードヴォーカルをするというバンドになりました。曲によってリードヴォーカルが変わる、ハモリも変わる。苦肉の策が、最終的にはそれがdoaとしての武器になりました」

ーーなるほど。doaと言えば、リードヴォーカルだけでなく、作詞もお三方全員がされていますよね。例えば吉本さんが作詞された楽曲の中に『青い果実』がありますが、これは『ウルトラマンネクサス』の主題歌……当時小学生の僕はネクサスも見ていましたし、GP2ドライバーとして吉本さんも存じ上げていましたが、ネクサスの主題歌を歌っている人と同一人物だと知ったのは、この業界に入ってからでした……。

「当時はあえて、レース業界の誰にも言っていませんでしたからね。デビューした頃も自ら発信はしていませんでした」

ーーそれはなぜでしょうか。

「というのも、僕は両方真剣に、本気でやっているけども、中には『中途半端にやっているんじゃないか』と見る人もいると思ったからです。だったら、doaとしての活動を頑張って、doaがいっぱしになれば(周りからの認識が)勝手についてくるだろうと考えました。だからあえて言わなかったし、名前も少しだけ変えたんです」

ーー確かに、吉本さんはレースでは「大樹(ひろき)」、音楽では「大樹(だいき)」という名前で活動していますよね。その理由を聞こうと思っていましたが、そういう経緯があったんですね。

「線引きのような感じですね。やっている人間は同じだけど、両方真剣だからこそ、音楽の場ではレースの話はしなかったし、逆に音楽のことをサーキットに持ち込むこともありませんでした」

ーーそんな中でも、今は相互的に発信なさっている印象です。

「いつの間にかですね……いつの間にかやなぁ。でも未だに知らない人もいると思いますね」

ーーでは作詞に話を戻しまして。詞を書くにあたっては、レーシングドライバーとしての想いが入るものですか?

「あんまりないかな。自分が意識せずとも入ってくることはあると思いますね。そういうものが入っている曲も確かにありますが、あまり意識はしていません。雑誌のインタビューとかでも良く聞かれるんですよね。(レースと音楽の)共通点とか。全くないんですよね」

ーーとはいえ、doaとレース界の関わりが全くない訳ではなく……FIA F4のテーマソングを担当されていますよね。昨年までは『HERO』、そして今季からは新たに、4月6日に配信された『WILD BEAST』が2代目テーマソングになりますよね。

start action

start action

Photo by: TOYOTA GAZOO Racing

「一番最初のきっかけは服部(尚貴)さんから『F4のテーマ曲作ってくれない?』と言われたことです。F4のためだけに作った訳ではないんですが、F4を意識しながら、全てを懸けて戦う若者を題材とした曲を作ることになりました。ただ、感情が入り過ぎるから、『僕は歌詞書けない』と言いました」

ーーそうだったんですか! F4のテーマソングは2曲とも吉本さん作詞ではなく大田さん作詞になっていたので、その理由が気になっていたところでした。

「それを僕が書き出したら、生々しくなってしまうというか……それこそレースに限定された歌詞になってしまうかもしれないし、感情移入し過ぎてしまうと思ったので、『HERO』も『WILD BEAST』も、大田さんが書いています」

ーーなるほど、そういう理由だったとは……。ちなみに二足のわらじを続ける中で、コンディション調整で気を遣っていることなどはありますか?

「喉は気を付けています。あと、最初の頃はレコーディングがいつも夜で、夜中までレコーディングしていました。それは業界では当たり前のことだったんだと思いますが、レースの方にも良くないので、時間帯を昼に変えてもらったりとかしましたね」

Hiroki Yoshimoto, #60 Syntium LMcorsa GR Supra GT

Hiroki Yoshimoto, #60 Syntium LMcorsa GR Supra GT

Photo by: Masahide Kamio

ーー逆にレースの面では、ベテランの域に入られて体調に変化などは感じますか?

「疲れが残りやすくなったかな(笑)。でも(レーシングマシンをドライブすることに関しては)全然大丈夫ですけどね」

ーー現在41歳の吉本さんですが、それぞれ、いつまで現役を続けたいですか?

「音楽に関しては何歳になってもできますよね。レースに関しては、高木さん(高木真一/51歳)や新田さん(新田守男/55歳)、加藤さん(加藤寛規/54歳)や織戸さん(織戸学/53歳)などがあの年齢まで第一線で戦ってくれているので、そこは目指したいですね。先輩方が長くやってくれれば、僕たちの息も長くなるので頑張って欲しいです」

ーーそれではそろそろ最後の質問に。「あなたにとって音楽とは?」

吉本大樹

吉本大樹

Photo by: GIZA

「……音楽の雑誌の取材だったらスラスラ言えるんやけど、不思議な感じですね(笑)。でも、音楽ってなくてはならないものだと思います。文明もない頃から音楽はあったと思うし、今も癒しであったり、捌け口であったり……色んなシーンで必要とされていると思います。自分たちの音楽が、というよりも、音楽そのものがなくてはならないものだと思います」

ーー逆にdoaとして、こんなことを伝えていきたい、というものはありますか?

「僕たちdoaは大人なバンドなので、夢物語は語っていません。働く世代に向けたメッセージが多いですね。社会に出ると、我慢しないといけなかったり、流されてしまったり、自分が成長していくことを忘れていたり、ある程度のところで満足してしまっていたりだとか、色々あると思います。そんな人の背中を押す曲は多いかなと思っています」

ーーモータースポーツファンの皆さんも、doaの曲で一歩踏み出して欲しいですね! ありがとうございました。


 大人になると、現状に満足してしまったり、ガムシャラだった日々を忘れてしまう……そんな人たちの背中を押したいというdoaの思いは、インタビューの中でも言及した吉本作詞の楽曲『青い果実』の歌詞にも表れている。今回はその一節を引用して、締めとさせていただきたい。

高鳴る鼓動暴れる ガムシャラだったあの頃の 僕に僕がほらもう追いつかれる 

後ろなんか見ずに走り続けてきたけど 知らぬ間に甘い誘惑に流されていたんだ

パワーを絞り出せ ハダカのままの欲望で 僕はちっぽけな青い果実でしょ

勇気をねじり出せ 今の現実に 満足したら 届かないこの思い

■doa profile
徳永暁人(Vo&Ba)・大田紳一郎(Vo&Gt)・吉本大樹(Vo)により2004年に結成された3ピース・ヴォーカル・バンド、doa。メジャーデビュー以来、精力的に制作とライブ活動を行い、彼らにしか生み出せない3声のコーラスワークと楽曲ごとにメインヴォーカルが変わるという特長を持つ。

■doa release information
「WILD BEAST」(FIA-F4選手権オフィシャルテーマソング)ダウンロード&サブスク配信中!(配信サイト:https://beinggiza.com/subsclink/?no=doa_wildbeast

■doa Live information
全国アコースティックライブツアー「doa Acoustic Live Tour “3WAY STREET”」開催
★ 6月19日(日) 奈良県 / EVANS CASTLE HALL
★ 6月25日(土) 東京都 / TIAT SKY HALL
★ 6月26日(日) 神奈川県 / THUMBS UP
★ 7月12日(火) 大阪府 / 246ライブハウスGABU
★ 7月18日(月祝) 岡山県 / 蔭凉寺
★ 7月24日(日) 福岡県 / ROOMS

ライブ特設サイト:https://d-o-a.jp/acousticlivetour_3way_street/

 
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