F1、アメリカ3戦開催もグランプリの“希少性”は損なわれない。「異なるターゲットに訴求できる」と自信見せる
F1のステファノ・ドメニカリCEOは、2023年シーズンからアメリカで3レースが開催されるが、F1としての希少性が損なわれることはなく「誰にとっても付加価値がある」と考えている。
F1は、2023年シーズンからアメリカ・ラスベガスでグランプリレースを開催すると発表した。このラスベガスGPは、ラスベガスを象徴するストリップ地区を中心に設置される全長6.13kmの市街地サーキットが舞台となる。
3年間の開催契約を結んだラスベガスGPは、2026年まで契約を延長しているオースティン、10年の開催契約を結ぶマイアミに続く、アメリカ3ヵ所目のグランプリになった。マイアミが東部(EST)、オースティンが中部(CST)、ラスベガスは太平洋標準時(PST)が適用される西部に位置するなど、3レース全てが異なるタイムゾーンで行なわれる。
2023年からはアメリカが他の国よりも多くのレースを開催することとなる(2022年の場合、複数のグランプリを開催するのはアメリカとイタリアのみ)が、F1のステファノ・ドメニカリCEOは、F1としての希少性が損なわれることはないと考えている。
またラスベガスGPの日程は未発表だが、決勝レースのスタートは土曜日の現地22時とアメリカ西海岸地区ではゴールデンタイムの開催となる。ヨーロッパからは日曜日の早朝、日本からは日曜日の日中に決勝レースを視聴できる。
同国での複数レース開催はF1の希少性を損なうと危惧する声もあるが、ドメニカリCEOはそれについては心配していないようだ。
「(F1の)希薄化はない。人口構成や立地条件など、異なるターゲットに訴求できるため、誰にとっても付加価値がある」とドメニカリは言う。
「アメリカでの我々F1の成長の素晴らしい点は、多くの若い世代に訴求できているということだ」
「我々はドライバーを見てきた。(彼らは)とても若い。我々のスポーツを促進し、彼らは自分が誰であるかを、ソーシャルメディアを通じてシェアしている」
「正しいアイデアを持って正しい方向にこのスポーツを発展させるため、彼らを通して素晴らしいコネクションが作られると考えている」
Miami track drone overview
Photo by: Miami GP
F1オーナーであるリバティ・メディアのグレッグ・マフェイCEOは、アメリカでの3レースはお互いに補完しあうだけでなく、国際的なF1ファンを魅了するモノになると確信している。
「F1が特別なのは、グローバルな性質を持っていることだ」とマフェイは言う。
「マイアミには世界から観客が訪れるだろうし、オースティンに来る観客もすでにグローバルなモノになっている」
「確実に、ラスベガスには世界から観客が訪れるだろう。国内だけの観客だけではなくね」
昨年オースティンのCOTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)で行なわれたアメリカGPでは、週末を通して述べ40万人がサーキットを訪れた。それまで苦戦してきたアメリカ市場で、F1はその成長を証明している。
アメリカ市場でのF1の成長を総括して、ドメニカリは次のように語っている。
「3年前はどうだったかというと、ひとつのグランプリですら満員にするのが難しかった。しかし今では、ふたつのイベントのチケットが売り切れになるという状況に向かっている」
「F1にとって、アメリカがどんな存在になるのか、その大きさが分かると思う。我々はその機運を感じているし、この国はなくてはならないモノだと考えている。これは大きなチャンスなのだ」
「来年アメリカで3レースが開催されるだなんて、2〜3年前にそのことを考えたら、イカれていると言うだろうね」
「(アメリカは)F1にとって最も重要な市場のひとつであり、我々は注力してきた。もちろん、我々F1はヨーロッパで生まれ、国際的なスポーツであることも忘れてはいけない」
「それは我々の特質であり、その点は変わらない」
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