鈴鹿の予選アタック、トレンドは最終コーナー“インベタ”だが……大外走りPPの野尻に真意を聞く
スーパーフォーミュラのドライバーの多くは、鈴鹿サーキットでの予選アタックの際に、最終コーナーのイン側ギリギリを攻めてコントロールラインを通過している。しかし、野尻智紀はその“セオリー”に反してポールポジションを獲得。そんな彼に話を聞いた。
写真:: Masahide Kamio
4月23日、24日にかけて、鈴鹿サーキットで伝統の2&4レースが開催されている。23日には2022年スーパーフォーミュラ第3戦の予選が行なわれたが、そこではある“派閥”に関する興味深い結果が出た。
その“派閥”とは、予選アタック中に最終コーナーを立ち上がってくる際、どの走行ラインを選ぶのかについて。最近ではアウト側のレコードラインを通らず、イン側ギリギリを攻めて立ち上がってくるドライバーが多い。現に今回予選2番手の山下健太、3番手のサッシャ・フェネストラズ(共にKONDO RACING)、そして4番手の宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)は、いずれも“インベタ”で最終コーナーを立ち上がっていた。
これについて予選後に山下に話を聞くと、彼は基本的にインベタのラインを使っているとして、その理由について「最短距離を行きたいですからね」とコメントした。ルーキーの佐藤蓮(TEAM GOH)も同じく最短距離を通れる点から“インベタ派”であり、「アタックラップに入る時は(最終コーナー)外側を走ってスピードを乗せて、戻ってくる時はイン側、というのがセオリーかなと思います」と話していた。
とはいえ、これらのコメントだけでインベタが最適解と断言するのは早計だろう。何しろ、ポールポジションを獲得した野尻智紀(TEAM MUGEN)は通常通りアウト側のレコードラインを走っていたのだから……。
アウト側のレコードラインを走行する野尻
Photo by: Masahide Kamio
つまり、インベタの方が速い訳ではなく、実は走行ラインによる差はほぼ無いのではないか……そう思いながら野尻に話を聞くと、彼は「イン側の方が速いと思います」と一言。ではなぜ、速いと思われるセオリーにのっとらなかったのかと尋ねると、彼はこう答えた。
「インを走れるクルマじゃなかったから、インを走らなかったというだけです」
「できるならばインベタで行きたいのですが、僕たちのクルマはそれができるクルマではないので、割り切って外に行こうと思いました。山本(尚貴)選手も、これまで鈴鹿でポールを獲った時は常に外を走っていました。もしかしたら『そういうセットアップなのかもしれない』という発想の転換をして、今回(外側を)走ってみたという感じです」
つまり、セオリーだからといって常に同じ走行ラインを使うのではなく、マシンの仕上がり方によってその時その時の最適解を探っているということだろう。ちなみにスーパーフォーミュラの過去の予選映像を確認してみると、野尻がイン側寄りのラインを走っているものも見受けられる。
なお、最終コーナーのインベタに関してはここ数年で多くなったイメージだが、これについて野尻は「昔も下位カテゴリーでは(インベタが)よくありました。ただトップフォーミュラになると、タイヤやダウンフォースのバランスの関係で、なかなかインに来ることができなかったんですが、最近はタイヤ、車両、セットアップの進化もあって、より高速で小回りできるようになったので、皆あのラインを通り始めたんだと思います」と分析した。
トップから最後尾までのタイム差が1秒を切ることもあるほど、超僅差の戦いが繰り広げられているスーパーフォーミュラ。そんなカテゴリーだからこそ、今後も各サーキットでの走行ラインの違いには注目していきたいところだ。
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