ただの話題作りじゃない……カルデロン起用のDRAGO CORSE道上監督語る

今季スーパーフォーミュラに”参戦”するThreeBond DragoCORSEは、タチアナ・カルデロンをドライバーとして起用することを発表した。その経緯について、チームの道上龍監督に訊いた。

タチアナ・カルデロン(DRAGO CORSE)

 東京オートサロン2020で、ホンダは2020年のスーパーフォーミュラ(SF)参戦体制を発表した。その中で一番のサプライズだったのは、ThreeBond DragoCORSEが女性ドライバーのタチアナ・カルデロンの起用を決めたということだろう。

 カルデロンは昨シーズン、BWTアーデンからFIA F2に参戦。入賞を果たせず、ランキング22位に終わった。ただその前年のGP3では、イェンツァーのドライバーとして特に後半戦は安定した走りを見せ、7回の入賞を果たした実力の持ち主である。

 驚きを持って迎えられたカルデロンのSF参戦。決定の経緯についてThreeBond DragoCORSEの道上龍監督は、次のように説明した。

「ドライバーの選択肢はいくつかありました。昨年末のテストで乗ってもらった松下信治選手も有力でしたが、我々とはうまく契約まで漕ぎ着けられなかった。そんな中、クリスマスが終わった後でしたが、カルデロン選手サイドとコンタクトを取ることができ、そこで話を進めていった結果、彼女を起用することになりました」

 そう語る道上監督だが、女性ドライバーに活躍の場を与えたいという意向もあったという。

「昨年まではThreeBondとして、三浦愛選手を全日本F3で起用していました。今シーズンはTCRジャパンにも参戦するのですが、そこでも女性ドライバー(下野璃央)を起用するつもりです。最近ではFIAも、ウーマンinモータースポーツとして女性ドライバーの活躍を推進しています。Wシリーズもある中、女性が戦える環境を作るというのも、今の時代ではひとつの考え方ではないかと思います」

「SFは世界でも注目が高まっていて、彼女たちも興味を持ってくれています。もちろん、このカテゴリーを盛り上げる話題になると思います。でもただの話題作りではなく、彼女も真剣です。事実、彼女もマシンのことを色々と知りたいと、こまめに連絡してきています」

「僕が決めたことではありますけど、その意見に賛同してくれる人たちがいなければ、成り立たなかったと思います。SFに新たな風を吹き込みたいと思います」

 カルデロンはまだSF19のステアリングを握ったことはない。その能力については未知数な部分も多い。彼女のポテンシャルについて、道上監督はどう考えているのだろうか?

「カルデロン選手はF2でも走っていましたし、アルファロメオF1のテストドライバーでもあった。ポテンシャルは十分あると思っています」

「GP3の時はすごく良かったです。体力的には、SFやF2は非常に厳しいカテゴリーです。でも彼女は、身体はしっかりしている印象ですし、1時間から1時間半戦えるだけのポテンシャルはあります。昨年は上位に食い込めませんでしたが、あのパワーのあるクラスを走れるだけで、普通じゃありません。SFではもう少し速いスピードとグリップで走ることになりますから、それにどう適応できるかが鍵になると思います」

「せっかく日本に来てくれることになったんですから、十分な体制作りをして、良いレースができるようにしたいと思います」

 DRAGO CORSEは、スーパーフォーミュラには2016年以来の参戦。SF19時代としては初のシーズンとなる。

「初めてのチームだということは、どのドライバーも懸念したことです。ただ初めてのチームではありますが、以前やっていたこともあり、経験がないところからやるわけではないですからね」

 道上監督はそう語り、改めて2020年シーズンの活躍を誓った。

「メディアの皆さんにもバンバン取り上げて欲しいなと思います。そのためには、活躍しなきゃいけませんけどね。カルデロンも今は、アジアンF3のドバイ戦に参戦しています。ウインターシリーズで、良い練習になるからだと思います。だからただの話題作りだけでなく、走りでも注目されるように頑張りたいなと思います」

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