レースレポート

第1戦富士 決勝GT500|GR Supraトップ5独占! 平川/キャシディ組トムスが新車初戦優勝

2020年のスーパーGT第1戦富士。GT500クラスはGR Supra勢がトップ5を独占する強さを見せつけた。

#37 KeePer TOM'S GR Supra

 富士スピードウェイで行なわれた2020スーパーGT第1戦の決勝レース。GT500クラスは#37 KeePr TOM’S GR Supraが優勝し、GR Supraのデビューウィンを見事に飾った。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、予選と決勝を同日に開催する変則的なスケジュールとなった2020年のスーパーGT開幕戦。さらに無観客での開催のため、普段では熱気に溢れるグランドスタンドも静まり返った

 午前中の公式予選から約4時間のインターバルを経て始まった決勝レース。気温26℃、路面温度39℃と、午前中の予選よりもかなり暑くなった中でスタートが切られた。

 1コーナーではポールポジションの#37 KeePer TOM’S GR Supra(ニック・キャシディ)がトップを死守。2番手に#8 ARTA NSX-GT(福住仁嶺)が続き、4番手スタートだった#100 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴)が#36 au TOM’S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ)を抜いて3番手に浮上した。

 その後方では#12 カルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹)と#64 Modulo NSX-GT(伊沢拓也)がトヨペット100Rで接触した。12号車は右リヤのサスペンションが完全に折れ曲がるなどマシン後部を大きく破損しリタイア。64号車も左フロント部分にダメージを受け、ピットに戻って修復作業を行なった。

 12号車のマシンを回収するために、オープニングラップを終えようかというところでセーフティカー導入となり、6周目から再スタートが切られることとなった。福住はスリップストリームを使ってキャシディに並びかけようとするが、順位は入れ替わらず。それ以降はキャシディも隙を見せない走りで福住との差を広げ、10周目を迎えるころには3.6秒のリードを築いた。一方の福住は12周目に1コーナーで3番手の山本、4番手の#36 au TOM’S GR Supraに抜かれてしまい4番手まで順位を下げた。

 15周目を迎えようというところで2番手争いが白熱。スーパーGTでは11シーズン目とベテランの域に突入した山本に対し、GT500ルーキーのフェネストラズが果敢に攻めていき、サイドバイサイドのバトルを繰り広げた。山本は冷静な対応をし2番手をキープしたが、フェネストラズも諦めずに攻め続けた。

 2番手以下が接近戦のバトルを繰り広げている間にキャシディは順調に差を広げ、22周目終了時点で10秒もの大量リードを築いた。

 5周以上にわたって接近戦が続いた2番手争いだが、ついにフェネストラズが突破口を見出し、23周目のコカ・コーラコーナーで100号車をオーバーテイクし2番手に浮上。そこからペースを上げ山本を引き離していった。

 25周を迎えると5番手争いを繰り広げていた8号車と#17 KEIHIN NSX-GTが同時にピットイン。17号車は開幕直前に入国が叶ったベルトラン・バケットから塚越広大に交代した。ピットアウト直後に野尻智紀が乗る8号車をパスした塚越だったが、30周目の1コーナーを立ち上がったところで急にスローダウンし、コース脇にストップ。リタイアとなってしまった。

 スタートから一度もトップを譲らず独走を続けていた37号車のキャシディは31周目にピットイン。ドライバーが平川亮に交代した。

 この決勝レース途中から気温30度を超える暑さとなった影響か、レースは折り返しを迎えると各所でトラブルが続出し始めた。32周目には#16 RedBull MOTUL MUGEN NSX-GTがトヨペット100Rで左リヤタイヤから白煙を上げながらコースオフ。一時マシンを止めるシーンもあったが、再びゆっくりと動き出しピットを目指した。さらに同じ周にGT300クラスの#61 SUBARU BRZ R&D SPORTがトラブルでストップ。#25 HOPPY Porscheも最終コーナーを立ち上がったスロー走行を強いられた。

 36周目には13コーナーで#23 MOTUL AUTECH GT-Rと#360 RUNUP RIVAUX GT-Rが接触。これで360号車がスピンを喫しコース中央で動けなくなってしまったため、安全確保のため2度目のセーフティカーが導入されることとなった。

 この時点で37号車の平川は2番手の36号車を駆る関口雄飛に対して24秒のリードを築いていたが、レース残り3分の1を迎えようというところでアドバンテージを全て失うこととなった。

 43周目に入るところでレースが再開。平川はうまくダッシュを決めたことで関口に並びかけられることなく1コーナーを通過した。後方では#14 WAKO’S 4CR GR Supra(坪井翔)が野尻を抜いて5番手に浮上。これでトップ5のうち4台をGR Supraが占める展開となった。

 残り20周を着ると坪井はさらにスパートをかけ、まずは4番手の#38 ZENT GR Supra(石浦宏明)に仕掛け49周目の1コーナーでオーバーテイクに成功。そのまま目の前の牧野に追いつくと50周目に入るメインストレートで横に並びかけた。さらに石浦もバトルに加わり3ワイドの状態で1コーナーに突入していき、坪井が3番手を勝ち取った。石浦もコカ・コーラコーナーで牧野を攻略し4番手を手にし、これでGR Supra勢がトップ4を独占する展開となった。

 上位の順位争いはこれで落ち着いたかと思われたが、勢いが止まらない坪井は2番手の関口にも接近し始めた。3番手浮上当初は4秒以上の差があったが、残り6周というところで1秒後方まで近づいた。関口もGT300の集団をかき分けながらチェッカーを目指した。

 レース後半にGR Supra勢の猛攻を受けた牧野。なんとか5番手を死守したいところだったが、残り4周のところで#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(山下健太)の先行も許してしまった。これによりGR Supraがトップ5を独占する展開となった。

 途中のセーフティカーで大量リードを失った37号車の平川だったが、レース終盤も後続を寄せ付けない力強い走りをみせ、トップチェッカー。GR Supraデビューウィンを飾った。2番手争いは残り3周になってテール・トゥ・ノーズのバトルとなったが、36号車の関口がポジションを守りきって2位でフィニッシュ。TOM’Sが2020シーズンの開幕戦でワンツーフィニッシュを決めた。3位には14号車の坪井が入りGR Supraが表彰台を独占しただけなく、4位には38号車、5位に39号車が続き同陣営がトップ5を独占した。

 またGT300クラスでは、#52 埼玉トヨペット GB GR Supraが優勝を飾り、このスーパーGT初戦となったGR Supraが両クラスを制するという快挙を成し遂げた。

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