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【分析】開幕ダッシュを決めるのは誰だ? スーパーGT岡山テストのロングランペースは17号車Astemo NSXと23号車MOTUL Zが好調

岡山で開幕を迎える2023年のスーパーGT。岡山での公式テストのレースシミュレーションで好調なペースを見せていたチームはどこだったのか?

Start practice

写真:: Masahide Kamio

 3月11日、12日、岡山国際サーキットでスーパーGTの公式テストが実施された。参戦する全チームが開幕戦の舞台である岡山に集結する今回のテストは、今季から導入されるカーボンニュートラルフューエルが全車に供給される初めてのイベントだったという点でも、例年以上に大きな意味を持つテストだったと言える。
 ただタイムシートから読み取れることが限られているのは周知の通り。やはり勢力図の全貌を少しでも明らかにするためには、各車のベストタイムだけでなくロングランデータも必要だ。そしてベストタイムの速い車両とロングランペースの良い車両は、必ずしも一致するわけではない。

 motorsport.comは、ほとんどのチームがレースシミュレーションを実施した2日目午後のセッション4におけるGT500全車のラップタイムを集計。各車の傾向を検証してみた。

■ロングランペース最速は17号車Astemo

 まず、以下がセッション4におけるベスト30ラップの平均タイムだ。

順位 車番 車両名 平均タイム
1 17 Astemo NSX-GT 1分21秒163
2 23 MOTUL AUTECH Z 1分21秒222
3 100 STANLEY NSX-GT 1分21秒356
4 36 au TOM'S GR Supra 1分21秒393
5 16 ARTA MUGEN NSX-GT 1分21秒543
6 39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 1分21秒596
7 1 MARELLI IMPUL Z 1分21秒692
8 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 1分21秒709
9 38 ZENT CERUMO GR Supra 1分21秒878
10 3 Niterra MOTUL Z 1分21秒931
11 37 Deloitte TOM'S GR Supra 1分21秒941
12 14 ENEOS X PRIME GR Supra 1分22秒255
13 64 Modulo NSX-GT 1分22秒279
14 8 ARTA MUGEN NSX-GT 1分22秒315
15 19 WedsSport ADVAN GR Supra 1分23秒460
 

 ベスト30周平均で最も速いのは17号車Astemo NSX-GT。17号車はベスト20周平均(1分20秒982)、ベスト10周平均(1分20秒647)でもトップと、非常に良いペースを刻んでいた。17号車は73周を走行し(ピットストップ周除く)、途中塚越広大が敢行した36周のロングランは全車の中で最長であった。

 塚越は1分20秒259を最速ラップに、その大半を1分22秒切りで周回した。しかも最後の最後まで1分21秒台前半のペースをキープしており、ピーク時からのタイムの落ちを約1秒にとどめた。

 17号車Astemoの塚越に次いで印象的なロングランを見せたのが、23号車MOTUL AUTECH Zの松田次生。松田も最終的に、ベストタイムの1分20秒671から約1秒落ちのタイム下落にとどめ、28周中18周(64%)で1分22秒を切ってみせた。相方のロニー・クインタレッリも22周中13周(59%)で1分21秒台以内に収めているのだから、その安定感が伺い知れる。

#23 MOTUL AUTECH Z

#23 MOTUL AUTECH Z

Photo by: Masahide Kamio

 一方、同じ日産勢で昨年の王者である1号車MARELLI IMPUL Zの方が若干ペースのドロップが大きかった。平峰一貴のロングランでは1分20秒763がベストタイムとなったが、終盤には1分22秒台に落ち着き、最終的には1分23秒台まで落ちている。1分22秒を切ったラップ数は31周中14周と50%を下回った。

 ここまで触れていなかったトヨタ勢に話題を向けよう。初日午前は3番手タイムと陣営の中で気を吐いた36号車au TOM'S GR Supra。彼らは同日午後の専有走行でのアタックでは奮わなかったが、翌日午後のロングランでは力強いペースを見せた。

 36号車au TOM'Sは坪井翔が10周超の走行を4回実施。最長は20周だったが、目を引いたのは14周のやや短めのロングラン。最も遅いタイムは序盤に記録されており、その後1分20秒台を5周記録し、終盤も1分21秒台にキープしていた。実際、ベスト10周の平均タイムで見ると坪井は1分21秒109を記録しており、これは17号車Astemoの塚越に次いで全体2番手だ。

■速さでインパクト見せたARTA、ロングランはいかに?

#8 ARTA MUGEN NSX-GT, #16 ARTA MUGEN NSX-GT

#8 ARTA MUGEN NSX-GT, #16 ARTA MUGEN NSX-GT

Photo by: Masahide Kamio

 テスト全体の最速タイムを記録するなど、タイムシート上でインパクトを残したARTAの名前はここまで挙がっていない。その前に、各車のベスト10周の平均タイムを見てみよう。

順位 車番 車両名 平均タイム
1 17 Astemo NSX-GT 1分20秒817
2 36 au TOM'S GR Supra 1分21秒109
3 23 MOTUL AUTECH Z 1分21秒125
4 100 STANLEY NSX-GT 1分21秒406
5 1 MARELLI IMPUL Z 1分21秒416
6 39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 1分21秒539
7 16 ARTA MUGEN NSX-GT 1分21秒543
8 37 Deloitte TOM'S GR Supra 1分21秒964
9 38 ZENT CERUMO GR Supra 1分22秒003
10 3 Niterra MOTUL Z 1分22秒110
11 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 1分22秒141
12 64 Modulo NSX-GT 1分22秒312
13 8 ARTA MUGEN NSX-GT 1分22秒608
14 14 ENEOS X PRIME GR Supra 1分22秒835
15 19 WedsSport ADVAN GR Supra 1分23秒679

 こちらもベスト30周平均タイムの順位と似通っているが、若干異なる点がある。16号車ARTA MUGEN NSX-GTと24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zの順位が30周平均と比べて落ちているのは、集計の段階でセッション4序盤の走行を除外したことが影響している。この時間帯はスタート練習の直後で、トラックがほとんどクリアな状態。より正確なデータとするために当該箇所は含めていない。

 それはさておき16号車ARTAのロングランを見ていくと、大津弘樹が安定した走行をしていたが、特別速かったわけでもなかった。19周走行した際は1分21秒322がベストタイムで、1分22秒未満のタイムを10周刻んだ。

#8 ARTA MUGEN NSX-GT

#8 ARTA MUGEN NSX-GT

Photo by: Masahide Kamio

 一方で僚友の8号車はどうだろうか? 彼らはGT500クラスのマシンの中で本格的なロングランを実施していない唯一の車両だ。野尻智紀と大湯都史樹のコンビはセッション4で実に8回もピットイン。これは他のホンダ×ブリヂストンユーザーと比べても倍の数字だ。

 8号車ARTAは大湯が14周のロングランで、17号車Astemoに対して10周平均で約2秒の後れをとっている。ただ開幕戦で8号車がこれほど遅くなるとは考えづらいのも確かだ。

 また全体的に見ればブリヂストンユーザー、ミシュランユーザーの車両が上位に来ており、ヨコハマ勢、ダンロップ勢は過去2シーズン同様に苦戦するかもしれない。ヨコハマ勢は19号車WedsSport ADVAN GR Supraも24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zも一発のタイムでは上位に来ているため予選は楽しみなところだが、ロングランに関しては特に19号車のペースは他と比べて悪い印象だ。

■ロングラン×ショートランの速さを両立したチームが勝てる?

 ではここまでのデータを総括して、開幕戦は17号車Astemoが優勝候補筆頭なのかと言われると、そうとも言い切れない。なぜなら、17号車はショートランという点ではピリッとしておらず、1周のベストタイムは4台のホンダBS勢の中では最も遅いのだ。これは日産陣営の23号車MOTULにも言えることだ。

 岡山はコース幅が狭くオーバーテイクが難しいサーキットとしても知られている。そのためセーフティカーや雨など余程の波乱がない限り、予選でトップ5に入れなかったマシンの優勝は考えづらい。レースの大半で遅いクルマを抜きあぐねるような時間が続いてしまっては、いくらロングランペースに優れていても優勝は難しいだろう。

 したがって予選ペースとレースペースの両方で優れているマシンを見ていくと、ロングランでトップ3に入りながら1周のベストラップでも全体2番手につける100号車STANLEYが良さそうに見える。また、トヨタ陣営が開幕に向けてさらに一段ギヤを上げてくれば、36号車au TOM’Sも楽しみな存在になってくるだろう。

 とは言っても、レースシミュレーションが行なわれたセッション4でも25周以上連続して走行した車両は一握り。実際のレースでは1スティントで50周前後を走ることが想定されるため、そうなった時に各車のタイヤがどれほど持つのかはこれらのデータだけでは推し量れない。そういった点では、サプライズが起きる可能性も否定できない。

 
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