共通LMDh&GT3で新時代迎える耐久レース。IMSAとWECは高まる”期待”に応えられるか? ドライバーが課題を示唆
ポルシェワークス所属のニック・タンディは、2023年からLMDhマシンを導入するIMSAとWECはスポーツカーレースの”新時代”において、「この期待に見合うようなショーを行なう」必要があると語っている。
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権(IMSA)とFIA世界耐久選手権(WEC)は、2023年シーズンから両シリーズの最高峰クラスに投入可能な「LMDh」規定の車両を導入する。ポルシェやキャデラック、アキュラ、BMWといったメーカーがこのLMDhマシンを開発しており、その数は今後増えていくことが分かっている。
IMSAでは早くも開幕戦ロレックス・デイトナ24時間レースに向けて行なわれる公式テスト『ロア・ビフォア・ザ・ロレックス』が行なわれており、現地時間1月22日(日)にはいよいよ予選を迎える。
IMSA最高峰クラスのGTPにポルシェのLMDh『963』で参戦するニック・タンディは、新たなプロトタイプレギュレーションがIMSAにもたらすモノは大きいと確信しているものの、「期待に見合うだけのレースを展開する必要がある」と考えている。
IMSAだけでなく、3月のセブリング1000マイルから開幕するWECのハイパーカークラスにもポルシェとキャデラックはLMDhで参戦。2024年には、WECがIMSAのGTDと同じく、GT3をベースにしたマシンで争われるクラスを導入する予定となっており、LMDhに加えて、多くの自動車メーカーがGT3をIMSAとWEC両方に投入することが可能となる。ワークス体制のチームだけでなく、カスタマーチームも双方の耐久シリーズを行き来することが比較的容易になり、プロトタイプマシンとGTマシンのグリッドはさらに華やぐだろうと予想される。
「みんな楽しみにしていると思うよ?」とタンディはテストの際にそう語った。
「世界最高峰のスポーツカーシリーズで、プロトタイプとGTが統一されることで、新たな時代が訪れるはずだとみんなが期待している。そうなると、僕らチームにはこの期待に見合うようなショーを見せなきゃいけないというプレッシャーがかかってくる」
「1月のデイトナで、やるべきことはたくさんあるし、それがプレッシャーになっている。良いショーにしたいし、良いレースにしたい。みんなワクワクしているけど、ちょっと不安もあるんだ」
Porsche Penske Motorsport, Porsche 963, GTP
Photo by: Porsche
LMDhが早くも登場したIMSAでは、レギュレーション導入初年度から参戦する4メーカーはテストで苦戦。共通ハイブリッドシステムに加え、マシン投入に向けた短い開発期間の中でサプライチェーンに問題が発生し、パーツの供給が遅れるといった影響を受けてきた。
「世界的に見ても、部品やパーツの供給には問題がある」とタンディは言う。
「チームが望むパーツが、望んだ時期に供給されていないのは周知の事実だ」
「だからこの状況をコントロールして、自分たちの時間も管理しつつ、準備を進めることが求められる。テストもしたいが、レースをする必要があるんだ」
IMSAの2023年シーズンは、現地時間1月28日(土)のデイトナ24時間レースで開幕を迎えるが、GTPクラスの各チームには24時間レースを続ける耐久性と共に、新時代の幕開けを飾るに相応しいショーが求められる。
しかしタンディは、2023年も例年通りレース終盤も上位争いで火花散るバトルが展開されるはずだと考えている。
「IMSAへようこそ、これこそがレースだ」
レース終盤に接近したバトルが発生する可能性についてタンディはそう語る。
「各マシンが同等で、お互いにバトルができると良いね。色んなシリーズで、4番手でレースをスタートして4位でフィニッシュしても、4周遅れということがよくあるんだ」
「だからお互いのマシンが接近していると良いね。そうなれば、僕らはレーシングドライバー……お互いに激しくバトルをすることになる。僕としては、少なくとも4台が首位と同一周回にいて、いつも通りバトルを繰り広げてくれることを期待したい」
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