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もしも、スーパーGT車両がル・マン24時間に参戦したら?:英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記

日本を拠点に活動するmotorsport.comグローバル版のニュース・エディター、ジェイミーがお届けするコラム。今回は、もしもスーパーGTのマシンがル・マン24時間レースに参戦したらどうなるのかについて考える。

#36 au TOM'S GR Supra, #14 ENEOS X PRIME GR Supra

写真:: Masahide Kamio

 2月初め、アメリカのセブリングでWEC(世界耐久選手権)のシーズンが開幕しました。トヨタが2年ぶりに敗れたことも大きなニュースとなりましたが、おそらくそれ以上に話題をさらったのが、ル・マン24時間レースのオーガナイザーであるACO(フランス西部自動車クラブ)とNASCARによる発表でした。

 そこで明らかにされたのは、2023年のル・マン24時間でNASCAR車両が“ガレージ56”と呼ばれる特別枠から参加出来るというルールです。このガレージ56は、通常の技術規則には準拠していない“革新的”なマシンがエントリーするための枠です。NASCARとしてはル・マンにシボレー・カマロを送り込むことで、アメリカで行なわれている選手権を世界のレースファンにアピールしたいという狙いがあるようです。

 NASCAR車両がWECのGTE車両と互角に戦うのは難しいと思いますが、NASCAR、シボレー、そして車両を走らせるヘンドリック・モータースポーツは、この挑戦が意義あるものだと考えています。そこで私は考えました。もしスーパーGTのGT500車両がル・マンを走ったらどうなるのか? それによってスーパーGTは恩恵を受けることができるのか……?

 私は昨年のコラムで、現行のGT500車両とWECのハイパーカーのどちらが速いのかについて分析しました。その結果、富士スピードウェイのような“普通の”サーキットにおいては、GT500の方が速いラップタイムを刻むことが出来るという結論に至りました。ただル・マン24時間が行なわれるサルト・サーキットは長いストレートを有するため、ハイパーカーに分がありそうです。昨年のル・マンでトヨタのハイパーカー、GR010は時速339kmというトップスピードを記録していますが、GT500車両はどんなに直線重視のセッティングにしてもこの数字には及ばないでしょう。

 そんなGT500車両も、ル・マンではハイパーカーやLMP2車両には及ばずとも、GTE車両よりは速く走れるでしょう。昨年GTE車両がル・マンで記録した最高速度は時速307kmでしたが、これはGT500車両が富士で記録するトップスピードとそれほど差はありません。ましてや後者は、直線スピードとダウンフォースの“妥協点”をとったセットアップで時速300km前後を記録しているのです。

 またコーナーに関しては、GTE車両よりもGT500車両の方がより優れた空力特性とグリップのおかげで速く走ることができるので、サルト・サーキットでのラップタイムはGT500車両がGTE車両を楽々上回るでしょう。あとは、スーパーGTのマシンがレースディスタンスでしっかり戦うことができるのかが争点になります。

 昨年のスーパーGT富士戦では、1スティントで約200kmを走るチームもありましたが、これをサルト・サーキットに置き換えると14.7周分。後者の方が全開率が高いことを考慮すれば、GT500車両はサルト・サーキットを燃費走行で14周できると推測できます。すると、1スティント15周を走るGTE車両との差は1周分。24時間走るとなれば、GT500車両の方が2回多くピットストップしなければいけません。ただ、ピットでのロスタイムを1分30秒×2回で3分と見積もると、8時間で1分、1時間で8秒タイムを稼げばこれを相殺できます。そう考えると、GT500車両も十分戦えるように感じられます。

 一方で難しいのはタイヤです。ル・マンではダブルスティント、トリプルスティント……という風に、同じタイヤで複数のスティントをまたぐことは当たり前。しかし現行のスーパーGTは長距離レースがないため、タイヤの耐久性ではGTE車両に劣るでしょう。

 スーパーGTが仮にル・マンにエントリーするとして、ピットストップの度にタイヤを交換することが許可されれば問題ないでしょう。ただ他のマシンと同様にタイヤ本数の制約を受けるのであれば、GTE車両に対抗するのは途端に難しくなると思います。タイヤメーカーが長持ちする特別なタイヤを開発する必要がありますし、それには多くのリソースが必要です。

 またACOは、NASCAR車両にガレージ56を枠を与えるためにはハイブリッドシステムの搭載が必要であると明言しています。スーパーGTの車両が参戦するなら、同様の条件が課される可能性が高いと考えられます。

 ともあれ、これらを実現させるには、スーパーGTのプロモーターであるGTA、各自動車メーカーやタイヤメーカーなどがメリットを見出し、努力をするかどうかが最も重要です。トヨタは今もWECの最高峰クラスで活躍していますが、ホンダや日産にとっては、ル・マンの舞台でヨーロッパのメーカーを打ち負かすことで宣伝効果を得られるかもしれません。

 正直、NASCARがル・マンに参戦して何を得られるのかという点は疑問です。ヨーロッパのファンはNASCARを知っていますし、NASCARカップの車両がサルト・サーキットを走っているのを見たからといって、オーバルでのレースを毎週見る気になるとは思えません。

 一方でスーパーGTに関しては、ヨーロッパでは知名度は決して高くありません。特に現在は外国人ドライバーも少ないので、ヨーロッパのファンが目にする機会は限られています。そんな中でGT500のマシンがサルト・サーキットを走れば、そのスピードにヨーロッパのファンは驚くのではないでしょうか。マーケティング効果も高いはずです。

 GT500車両が世界最高の耐久レースでインパクトを残す……スーパーGTの魅力を世界に広げるために、これ以上の方法はないでしょう。NASCARは、努力とやり方次第ではル・マンに出られることを証明しました。スーパーGTもそこに追随してみてはいかがでしょう?

 
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