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絶好調の宮田、F1候補生ローソン、王者野尻、逆襲の坪井……“四天王”の誰が抜け出すか? 2023スーパーフォーミュラ後半戦プレビュー

2023年シーズンの折り返し地点を過ぎたスーパーフォーミュラ。後半戦に向けては、宮田莉朋、リアム・ローソン、野尻智紀、坪井翔という4人のドライバーがタイトルの有力候補となっている。ここから抜け出すのは誰か?

宮田莉朋、リアム・ローソン、野尻智紀、坪井翔

 全9戦で争われる2023年のスーパーフォーミュラは、ここまで5戦が終了。7月16日には、シリーズ第6戦の決勝レースが富士スピードウェイで行なわれる。

 新車両『SF23』の導入初年度である今シーズンは、これまでに見られたような群雄割拠ではなく、毎戦上位の顔ぶれが固定されたシーズンとなっている。ここまでの5戦を終えてのポイントランキングも、それを如実に表している。

2023年スーパーフォーミュラ:ポイントランキング上位(第5戦SUGO終了時点)

1. 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S) 75ポイント
2. リアム・ローソン(TEAM MUGEN) 63ポイント
3. 野尻智紀(TEAM MUGEN) 58ポイント
4. 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING) 50ポイント
5. 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL) 28ポイント
6. 山下健太(KONDO RACING) 28ポイント

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 これを見ると、ランキング4番手の坪井までが大きく抜け出している感がある。もちろん平川、山下をはじめ、その他のドライバーにも逆転チャンプのチャンスは残されているが、残りレース全てで好成績を収め、なおかつ上位陣に無得点が続く必要があるため、状況としてはやはり上位4人がタイトル有力候補と言えるだろう。

 ここまで安定して好成績を残してきた宮田、ローソン、野尻、坪井。今季の“四天王”とも呼ぶべき彼らのここまでの戦いぶりを振り返る。

宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)

 

Photo by: Masahide Kamio

「勝てそうで勝てない」。シーズン序盤にはそう言われていた宮田も、あれよあれよと言う間に2勝を挙げ、選手権をリードする存在となった。

 富士の開幕2レースを5位と4位で終えた宮田は、第3戦鈴鹿でセーフティカーも味方につけて優勝を飾ると、第4戦オートポリスでも2位。第5戦SUGOでは大湯からトップを奪って以降は盤石の走りで2勝目を手にした。スーパーGTでもポイントリーダーにつけており、今日本で最も勢いのあるドライバーと言っても過言ではない。

 ここ数戦の宮田のレースペースは、ライバルたちも脅威に感じている。戦略の妙もありオートポリス戦を制したローソンの担当エンジニア、小池智彦氏も「今日は莉朋選手が一番速かった。あのペースは見えなかった」と振り返っており、SUGO戦で宮田に20秒の差をつけられた野尻も危機感を覚えている。

 ただ、はたから見れば“絶好調男”の宮田も、自身は浮かれることなく「現状に満足せず努力を続ければ結果は出せると信じている」と冷静で淡々としたコメントに終始している。ローソンに12点、野尻に17点、坪井に25点という差は決して安全なリードとは言えないが、大崩れすることなくシーズンを進めていけば、タイトル獲得にグッと近づくことになるだろう。

リアム・ローソン(TEAM MUGEN) 

 

Photo by: Masahide Kamio

 開幕戦の衝撃的なデビューウィンで話題をさらったローソンも、タイトル候補の一角に残っている。

 ランキング上位4人の中で予選での獲得ポイントが最も少ないローソン(※野尻8点、宮田6点、坪井5点、ローソン3点)は、予選で最大限パフォーマンスを引き出すことにやや苦戦している印象だが、それでもしぶといレース運びを見せており、宮田と同じく優勝2回、全レース5位以内という好成績を残している。

 第5戦SUGOの決勝レースでは、担当の小池エンジニアと戦略に関する意思疎通で誤解があり、ベストではない戦略を採った結果5位に終わったローソン。ただ本人は「僕はニュージーランドから日本に来た訳で、もっとコミュニケーションの問題が起こると思っていた。まだ1回しか起こっていないのは悪くないし、解決の仕方も分かっている」とポジティブだ。

 レッドブルの育成ドライバーであり、来季以降F1デビューを果たす有力候補の筆頭と言われているローソン。ベテランのダニエル・リカルドのシーズン途中からアルファタウリ加入を果たすなど、周囲の状況が大きく動いているからこそ、“スーパーフォーミュラ王者”の肩書きが欲しいところ。宮田と僅差の争いを続けた場合、最終的に予選ポイントの差に泣く可能性も否定できないため、予選パフォーマンスの改善が重要になってくるかもしれない。

野尻智紀(TEAM MUGEN)

 

Photo by: Masahide Kamio

 2021年、2022年とスーパーフォーミュラを2連覇し、名実共にシリーズの顔となっている野尻も、今季はこれまで以上に苦しい立場にある。

 といっても、そのパフォーマンスが低下している訳ではない。実際、“完走した”全てのレースで2位以上に入っており、“出場した”全てのレースで予選トップ3に入るなど、申し分ないリザルトを残しているのだ。つまるところ、野尻はここまで2レースを“落としている”ことが、ハイレベルな今季のタイトル争いに大きな影響を与えている。

 第1戦を2位、第2戦をポール・トゥ・ウインで終えた野尻は、第3戦鈴鹿でも3番グリッドから上位争いを展開するが、S字で大湯と接触。自身にとっては3年ぶり、自責のミスによるものに限れば4年ぶりのリタイアに終わった。そして続く第4戦は肺気胸を患ったことで急遽欠場。不運も重なり、選手権の主役を若手に譲ってしまっている。

 残り4レースで宮田に対して17点というビハインドは、追う立場からすると嫌な点差だろう。シーズンを圧倒的な強さでリードしていた昨年、一昨年のように、後半戦のレースを“ダメージリミテーション”な走りで堅実にフィニッシュするだけでは、宮田には届かない可能性がある。つまり、“優勝狙い”のレースも間違いなく必要になってくるはずだ。今後の4レースで王者がどのようなアプローチを見せるかにも注目だ。

坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)

 

Photo by: Masahide Kamio

 スーパーフォーミュラ参戦2年目の2020年に2勝を挙げてシリーズ3位となった坪井も、過去2シーズンは苦戦。しかし、レーシングドライバーとして円熟の時を迎えたか、今季はついにタイトルコンテンダーのひとりとなった。

 その速さや才能には定評のあった坪井にとって、昨年から大きく改善したと言われるのが予選Q1からQ2にかけてのアジャスト。Q1で上位に入ってもQ2では今ひとつタイムが伸びなかった昨年と違い、今季はQ2でもしっかりと上位のタイムを出し、決勝で中団グリッドに埋もれるケースがなくなった。これがここまで5レースで3度の表彰台というリザルトの一因になっているだろう。

 とはいえやはり、ここから追い上げるためには優勝が欲しいところ。ただ坪井としても、富士(第6戦)、鈴鹿(第8戦、第9戦)でのレースに向けては、前半の富士戦、鈴鹿戦で確かな手応えを掴んでおり、「富士、鈴鹿に関しては、オートポリス、SUGOと比べるとかなり印象は良いので、チャンスはあると思っている」と自信を覗かせる。タイトルのためには1レースも落とせないと言っても過言ではない状況の中で、さらに一皮剝けることができるか?

 

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