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赤旗終了後、優勝チームの確定で揺れるスーパーGT第3戦。関係者からは「みんなが納得、満足できるレース」を求める声

赤旗終了というイレギュラーなレース展開となったことで、暫定リザルトに関しての抗議、控訴が起こったスーパーGT第3戦鈴鹿。これを受けて、見る者全てが納得するようなレースを目指して欲しいとする声が挙がっている。

Red flag

写真:: Masahide Kamio

 終盤に起きた大きなクラッシュにより、赤旗が提示されてそのままレース終了となったスーパーGT第3戦鈴鹿。このイレギュラーな展開が、未だ正式リザルトが確定しないという事態を引き起こした。

 事故が起きたのは、先頭車両が59周目に入っていたタイミング。シケイン手前で23号車MOTUL AUTECH Zと87号車Bamboo Airways ランボルギーニ GT3が大破する大きなアクシデントが発生したのだった。87号車の松浦孝亮は自力で脱出したが、モノコック以外がバラバラという衝撃的なクラッシュとなった23号車の松田次生はマシンから救出され、ドクターヘリで病院へと搬送された。

 搬送される松田に意識があること、大きな外傷がないことが確認され、ファンや関係者一同がひとまず胸を撫で下ろした一方で、このアクシデントをもって赤旗のままレース終了となることが決まったサーキットでは、レースの最終結果の発表に時間を要した。レース中2回の給油が義務付けられていた今回の鈴鹿戦。この時点でのGT500クラスのトップは、唯一2度目の給油を実施していない3号車Niterra MOTUL Zだった。

 この3号車の扱いがどうなるのか。情報が錯綜する中、レース終了宣言から数十分ほどが経過して暫定のリザルトが発表された。結果は中断前のリザルトがそのまま適用され、3号車が優勝というものだった。

暫定表彰式で優勝トロフィーを受け取る3号車のドライバー

暫定表彰式で優勝トロフィーを受け取る3号車のドライバー

Photo by: Masahide Kamio

 このような決定が下された大きな要因は、レースが途中終了となった際に給油義務を消化していない車両の処遇について、レギュレーションに明記されていないからだ。

 昨年の第2戦、富士450kmレースでも大きなアクシデントが発生してレースが途中終了となったことは記憶に新しいが、その際は2回の給油義務が撤廃された。このケースは当初のレース距離の75%未満でレース終了となっており、ハーフポイントとなる状況。服部尚貴レースディレクターは当時、「ハーフポイントというのは、ちゃんとレースができなかったということでもある。それも踏まえて、2回という義務をキャンセルしました」と説明していた。

 ただ今回は77周のうち、58周を完了した時点での順位が最終結果に採用されている。今大会の特別規則書には、不可抗力によるレース中止の場合にフルポイントの基準となるレース距離75%を満たす周回数は57周と明記されており、いわゆる“レースが成立した”状況であった。服部レースディレクターは昨年、「フルポイント=ちゃんとレースが成立したということなので、基本的には75%がラインになる。レース距離75%を満たしていたら、2回入っていない車両に対してペナルティが出ていたと思います」とも説明していた。

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 このような経緯を考えると、3号車にペナルティが出てもおかしくはない状況ではあったが、規則の上ではその判断は依然として審査委員会の判断に都度委ねられることとなっている。

 昨年の第2戦富士の後、同年残りの450kmレースに向けてプロモーターのGTアソシエイション(GTA)が発行したブルテンには、当初の周回数を満たさずにレースが終了もしくは中止となった場合の対応について「ピットイン義務等の適用は、国際競技規則第11条9項(審査委員会の権限)に基づき、競技会審査委員会により見直される場合がある」と記されていた。

 今回もその例に漏れず、審査委員会での協議によって3号車優勝という暫定結果が出されたが、これに対しては10台9チームから抗議が提出されることになった。そして審議が行なわれた結果、この抗議は「正当」と認められ、3号車には2回の給油義務を消化できなかった分、ピットイン+給油相当時間である60秒を競技結果に加算するという「暫定リザルト改訂版」が出された。これにより3号車は4位に落ち、優勝は19号車WedsSport ADVAN GR Supraとなった。

未だ暫定結果ではあるが、19号車の優勝にリザルトが改訂されている

未だ暫定結果ではあるが、19号車の優勝にリザルトが改訂されている

Photo by: Masahide Kamio

 3号車陣営はこの結果について抗議を提出するも、これは却下に。ただ彼らは控訴の意思を表明したため、控訴結果が確定するまでリザルトは留保。正式な結果が確定するには時間がかかりそうな状況となっている。

 motorsport.comはレース後、抗議を提出したばかりだったTGR TEAM WedsSport BANDOHの坂東正敬監督に話を聞いた。同チームの19号車はこの時点では2位。3号車の処遇如何では優勝となる位置だっただけに、納得のいかない感情があっても当然と言えたが、坂東監督はそれ以上に、給油義務について明確にしたい部分があったからこそ、それを質問するという意味合いもこの抗議にはあったと語った。

「ピットイン(給油)2回の義務化という部分で、何が義務で、どうなったら義務違反なのかが聞きたいなと思いました」

「今回の場合だと、赤旗による終了ではありますが、レースが“終了”しているんじゃないかというのが僕の見解です。義務違反、義務未消化(の定義)というところが分からないから、それを抗議……というよりも質問したという形です」

 また今回は、レギュレーションに明記がない事象について審査委員会が協議を行ない、チーム関係者との話し合いも行なったこともあり、暫定順位の確定にあたってもレースを観戦するファンにとってやきもきする時間があったことだろう。坂東監督は、ファンを含めて全ての人たちが納得できるようなものを作り上げて欲しいと語った。

「僕は裁定が出たら、その裁定に従います。ただ、ファンの方がいてこそ成り立つのがレースですから。ファンの方たち、関係者の方たちが納得できる文章などがあれば、僕たちも『そうですね』と言えると思います」

 また19号車に次ぐ順位でフィニッシュしていた36号車au TOM'S GR Supraに関しては、3号車と直接選手権首位を争っている立場。3号車の順位如何で、自分たちがシリーズ争いをリードできるかどうかが懸かっていた。そんな中で、給油義務未消化の3号車が優勝として発表され、3位で暫定表彰式に臨んだ36号車の坪井翔は、やるせない表情を浮かべていた。

 坪井としても、今回のような給油義務未消化のケースに対しては、仮にレギュレーションに明記がなかったとしても、審査委員会には状況を鑑みて適切な判断をして欲しいと話していた。

「今回(レギュレーションに)明記されていないからということで、本来ピットストップしないといけない部分が無しになりましたが、それで順位やポイントランキングも大きく変わりますし、納得がいかない部分はありますね」

「たとえルールに書いていなかったとしても、審査委員会の皆さんにはケースバイケースで協議をして、ペナルティやタイム加算等の判断をしていただきたいです。ピットのロスタイムなども算出できますからね。見ているお客さんにとっても、これが満足いただけるレース内容だったのかと言われるとクエスチョンな部分もあるのかなと思います」

 また1号車MARELLI IMPUL Zのベルトラン・バゲットは、こういった状況下におけるルールが定まっていないことは問題だと語った。

「問題なのは、こういった状況におけるルールが何も書かれていなかったことだ。一方で、ルールでは(2回の)ピットストップが必要だと書かれている。これは非常に複雑だ」

「僕は3号車に対して何か恨みがあるわけではない。彼らは赤旗が振られた時にトップだっただけだから、何も悪くないと思う。ただルールは変更する必要があるし、こういったことが今後は起こらないようにしないとね。2回のピットストップが義務付けられている中、1台だけ1回しかピットインしていないチームが勝つのは正しいとは思えないからね」

 サーキットやTVで観戦・視聴するファンの全てが納得、満足するレースを作り上げることは、様々なイレギュラーが起こる以上簡単なことではないだろう。そしてそのイレギュラーが生じた際の対応について都度都度の判断とすることは柔軟性を持たせられる反面、判断次第では今回のように「納得がいかない人たち」を増やしてしまう可能性があると言える。この一件を受けてシリーズ側と各エントラントの間ではどのような議論が行なわれていくのか、今後も注視したい。

 
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