【スーパーGT】GT500最速の1台もタイトルには届かず。8号車ARTAのチーフエンジニア「今季は“許されざるミス”があった」
8号車ARTA NSX-GTのチーフエンジニアを務めるライアン・ディングルは、今シーズンは多くの問題が起き、そのいくつかは「このレベルのレースでは許されないようなもの」だったと振り返った。
写真:: Masahide Kamio
2021年シーズンのスーパーGTも、11月末の富士戦をもって閉幕。劇的な幕切れとなったGT500クラスを振り返り、“最速のマシン”を挙げるならば、8号車ARTA NSX-GTの名前を挙げる者も多いのではないだろうか。
8号車は開幕戦岡山を7位で終わるも、第2戦富士ではフロントロウからスタートし、決勝でも終盤まで首位を走行した。しかし、黄旗追い越し違反によるドライブスルーペナルティを受けてしまい、勝利を逃した。
また第5戦SUGOでは今季初のポールポジションを獲得し、長らく首位を快走したものの、ピット作業違反により痛恨のドライブスルーペナルティ。またしても勝機を逸した。
背水の陣で臨んだ第6戦オートポリスを制した8号車は、第7戦もてぎでも勝利を飾り、一転して自力タイトルの可能性を残して最終戦富士を迎えた。しかしピット作業中にドアが外れるハプニングなどもあり、タイムロス。6位でチェッカーを受けた。
シーズンの半数のレースで優勝争いに絡んでみせた8号車の野尻智紀、福住仁嶺組だったが、最終的には36号車au TOM'S GR Supraの関口雄飛、坪井翔組から4点差のランキング2位でシーズンを終えた。
Tomoki Nojiri, Nirei Fukuzumi, #8 ARTA NSX-GT
Photo by: Masahide Kamio
8号車のチーフエンジニアを務めるライアン・ディングルはスープラ勢にトップ5を独占された最終戦を振り返り、今回の富士戦は8号車が優勝争いを展開した第2戦よりも気温が低く、空気の密度が濃かったため、空気抵抗の影響をより大きく受けてしまった結果、ストレートスピードに分があるスープラ勢に差をつけられてしまったと分析した。
またディングルは、ピット作業中にドアが外れた一件についても説明した。
「基本的には、福住選手がマシンから降りる際、立ち上がるタイミングで背中をドアにぶつけてしまい、ドアがペグから外れてしまったということのようです。こういうことが起こらないように、ドアにはピンがあるはずなのですが、それがなかったのです」
8号車は前述のように、シーズンの大半で優勝を争えるポテンシャルを見せながらも、ペナルティなどでポイントを取りこぼしたレースが多かった。これについてディングルはこう語った。
「今年は本当に多くの問題が起きました。それはこのレベルのレースでは許されないような根本的なものから、『流れの悪い時はとことんうまくいかない』と思わされるようなものまでありました。こういったことは、実際に起こるまで予測は難しいです。今回もドアの組み立て方を変えたりした訳ではありません」
タイトルを逃した野尻は最終戦を終えて「これが今の力だと思う」とコメントしていたが、ディングルもこれに同意してこう続けた。
「プレッシャーがかかる中、皆が全力を尽くしてピット時間を短縮しようとする時に、こういったことが起こってしまいます」
「でも野尻選手が言うように、これが今の僕たちのレベルです。もっと強くなる必要があります」
「今年の1号車(STANLEY NSX-GT)のように、チャンピオンにふさわしいと思われるような形で最終戦に臨まないといけません。開幕から安定した成績を残したいですが、まだそのレベルには到達していません。ただそれは励みになりますし、僕たちには(タイトル争いができる)力があることも分かりました」
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