【KYOJO-CUP開幕】女性同士の本気バトル。想像以上の激戦!

女性だけで争われる最新モータースポーツ”KYOJO-CUP”が富士スピードウェイで開幕。想像以上の激戦に、サーキットは興奮に包まれた。

KYOJO-CUP集合写真

KYOJO-CUP集合写真

吉田知弘

 今年から新たに始まった女性ドライバーだけのレースシリーズ「KYOJO-CUP」が5月14日(日)、富士スピードウェイで開幕。いきなりサイド・バイ・サイドの白熱したトップ争いなど、最初から最後まで目が離せないレースが繰り広げられた。

 このレースは、インタープロトシリーズを発足した関谷正徳氏のプロデュースで今年初めに発足がアナウンスされた。

 野球やサッカー、陸上、ゴルフなど多くのスポーツでは、男子と女子で競技が分けられている。しかしモータースポーツに関しては女性のみでの本格的なカテゴリーは今までなく、女性ドライバーも男性に混じって同じレースに参戦している。しかし、どうしても身体能力で違いがあり、イコールコンディションとは言えないところに着目した関谷氏が、今回女性ドライバーのみでのレースを立ち上げたのだ。

 記念すべき開幕戦には13人がエントリー。小山美姫、池島実紅などFIA-F4に参戦しているドライバーをはじめ、様々なカテゴリーで経験のある女性ドライバーたちが参戦。予選からハイレベルなタイムアタック合戦が繰り広げられていた。

コカ・コーラ・コーナーでのバトル
コカ・コーラ・コーナーでのバトル

Photo by: Tomohiro Yoshita

 決勝レースでは、いきなり3ワイドのバトルが繰り広げられるなど、各コーナーでバトルが展開され、白熱のレース展開となった。

 優勝したのは、ポールポジションからスタートした小山美姫。彼女はスタートで出遅れ一時は3番手に後退するも、予選同様のパフォーマンスを発揮してすぐに追い上げを開始。終盤には昨年FIA-F4でチームメイトだった今橋彩佳との一騎打ちを制し、ファイナルラップの1コーナーでトップを奪還。そのまま逃げ切り、記念すべき最初のKYOJO-CUPウィナーとなった。2位には今橋、3位には小泉亜衣が入った。

 レース前から「出るからには絶対に優勝」と宣言していた小山はしっかり有言実行のレースを披露。「スタートで(ライバルたちが)横にくるのは想定内だったので、落ち着いて対処しました。自分の方が速いというのは分かっていたので、冷静にいこうと思っていました。まずは有言実行を果たせたのでよかったです」と目標を達成し安堵の表情を浮かべた。

 一方、レース終盤までトップを死守しながらも最後の最後で2位に下がってしまった今橋は「スタートは良くて前に出られたのですが、トップで逃げていくレースをするというのが初めてだったので、全然余裕がなかったです。ブレーキをロックしてしまったり細かいミスをしている間に差を詰められ、最後は抜かれてしまいました。本当に悔しい…」と終始悔しさをにじませていた。

 また他のドライバーも初戦を終えて、様々な感想を持ったようだ。前日のN-ONE OWNER’S CUPで女性初の優勝を果たした高橋純子は、KYOJOでは8位フィニッシュ。「VITAに本格的に乗るのが初めてで、経験にもなりましたし勉強にもなりました。もっと乗りこなせるようになって、もっとバトルしたいですし上位で戦いたいです」とコメント。電子制御系は一切なく、ミッションも5速HパターンのVITA-01というマシンの難しさを痛感しながらも、次への目標を早くも掲げていた。

 今回は10位フィニッシュとなった藤島知子も「女子のレースというと友達感覚でエキシビジョンのような感じでやっているように思われがちですが、KYOJOはみんな真剣ですね。FIA-F4に出ている人もいるので、レベルが高いです。次はマシンももっと乗りこなせるようになって、もっと頑張りたいなと思います」と初戦を終えての感想を語った。

 正直、実際にレースが始まるまではどんな展開になるか予測がつかない部分もあった。にもかかわらず、想像以上の激戦にファンや関係者も興奮。シリーズをプロデュースした関谷氏は「内容の良いレースになって良かったと思います。これを見て“私もやってみたい!”という人がいれば大歓迎ですし、もっともっと台数が増えていけば面白くなると思います」と、今後もシリーズの発展に意欲をみせていた。

 次回は9月17日に第2戦が富士スピードウェイで開催予定。今後も彼女たちの活躍から目が離せない。

取材・執筆/吉田知弘

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