F1 日本GP
セバスチャン・ベッテル、鈴鹿で“レース”に挑戦。生物多様性を啓発する“開幕戦”に日本を選んだのは「ここでたくさんの声援をもらってきたから」
『BUZZIN' CORNER』と呼ばれるプロジェクトを立ち上げ、鈴鹿サーキットの2コーナーに“Bee Hotel”を設置したセバスチャン・ベッテル。この取り組みを始めた理由や、日本でスタートさせた理由などについて語った。
戎井健一郎
編集: 2023/09/22 1:33
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セバスチャン・ベッテルが鈴鹿に帰ってきた。しかも“レース”をしに。しかし、それは昨年まで彼がやっていたような、自動車を使ったレースではない。
「『BUZZIN' CORNER』と呼ばれるこのプロジェクトは、生物多様性に関する“レース”だ」
そう語るベッテル。彼はF1日本GPの木曜日に、鈴鹿サーキットの2コーナーに各チームのドライバーと代表を集めた。そこにはハチを想起させる黄色と黒に塗られた縁石と、裏側に建てられたいくつもの小屋があった。ハチをはじめとする様々な生物が暮らせるスペース(Bee Hotel)を構えることで、近年損なわれつつある生物多様性に関する啓発をしようというのが、ベッテルの狙いだ。
ドライバーたちが木材のセッティングやペイントという最後の仕上げを行なったことで、無事完成となった小屋たち。その作業を見届けたベッテルは集まった報道陣に対し、このプロジェクトの狙いについてこう説明した。
「“buzz”を起こして、このトピック……特に生物多様性の損失についての認知を高めるためだ」
角田裕毅もペイントに協力
Photo by: Motorsport.com / Japan
“buzz”という単語は、ハチの羽音を示す単語というだけでなく、「ざわつく」などと言った意味もある。『BUZZIN' CORNER』というプロジェクト名は、ハチを使って啓発活動を行なうという意味ではピッタリのネーミングと言える。
彼はさらにこう続ける。
「生物多様性とは、動植物をはじめとするあらゆる生命体の多様さや、森林や砂漠、北極から熱帯雨林まで、様々なタイプの生態系の数のことだ」
「ではなぜ、黄色と黒なのか。ハチは素晴らしいアンバサダーだと思うからだ。その色、その模様を見たら、みんなすぐに(ハチを)思い付くよね。メッセージを伝えるために彼女たちを使ったんだ。縁石をその色に塗っただけではなくて、野生の昆虫、ミツバチに限らない野生のハチのための小屋を建てたんだ」
「小屋の下の方には、廃材や小屋を建てた時のあまり物があったりする。これは主に食料になる。日本のお寿司とは見た目が違うけどね(笑)。彼らはそれが好きなんだ。雨だけでなく、こうやって外敵からも身を守ったり出来るスペースがあれば、巣作りに励んで次の世代を待ち望むことができる。冬を超えることも出来る」
「コース上で出来ることは限られているけど、まず考え方を変えることから始めたい。それが僕たちも目指しているものだ」
そのプロジェクトをなぜ日本から始めたのか? そう問われたベッテルは、「日本が大好きだからだ」と即答した。鈴鹿サーキット、そして日本への愛着を公言してはばからないベッテルは日本にもファンが多い。まさに“鈴鹿を愛し、鈴鹿に愛された男だと言える。
Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images
「もちろん、ここに僕の裏庭があるわけじゃないし、遠く離れているから簡単じゃなかった。でもキャリアを通してこの場所でもらってきた本当にたくさんの声援は、僕にとって大きな意味を持つ。ここを出発点として、他の場所でも展開されていくのを期待している」
今後は鈴鹿サーキット以外でもこのプロジェクトを展開したいと語るベッテル。こういった取り組みは自分にとっての使命と感じるかについて聞かれると、次のように答えた。
「ある意味僕にとってというよりも、みんなにとっての使命であるべきだ」
「ミツバチや様々な虫たちがいなくなってしまうと、生物多様性が急速に失われている現状において大量絶滅が起こってしまう。まだ解明されていない種類の生物だってそうだ。そういったことが続くと僕たちはいずれこの惑星から姿を消すことになる。それは残念なことだ。だからそれは僕の使命ではなく、僕たち全員の使命であるべきだ」
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