スーパーGT
EG33型ベースのエンジン搭載するスバルGT300、昨年型マシンから既に“6気筒ナイズ”……心臓入れ替えた今季型こそ完成系だ
2026年シーズンから、水平対向6気筒エンジンを搭載したBRZでスーパーGTを戦う。その狙いを小澤正弘総監督に聞いた。
戎井健一郎
編集: 2026/01/09 9:20
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写真:: Masahide Kamio
以前から注目を集めていたスバルのスーパーGT・GT300車両の新エンジンがついにあらわとなった。BRZの新たな心臓部は6気筒エンジン。4気筒のEJ20エンジンの後継機がなぜ6気筒となったのか? 開発を率いるSTIの小澤正弘総監督に尋ねた。
スバルは長年、WRC(世界ラリー選手権)でも活躍した名機EJ20をスーパーGTでも使い続けてきた。しかしGT300車両が年々ハイパワー化していく中、そこに追随するために2LシングルターボのEJ20エンジンにかなり無理をさせていたという。その結果エンジンの各所に負荷がかかったこともあり、近年のスバルはトラブルが頻発。昨年は、優勝のチャンスが最終ラップにエンジンブローで潰えたこともあった。
ただ、その間スバルは手をこまねいているわけではなかった。既に新エンジンの計画を着々と進めていたのだ。具体的な開発期間は明かされていないが、数年間の開発を経て送り出される6気筒エンジンは2026年シーズンについに日の目をみる。
新エンジンのベースとなるのは、EG33型。1991年〜1996年に販売されていたアルシオーネSVXに搭載されていた、水平対向6気筒エンジンだ。これをレース用にチューニングし、3Lツインターボに仕上げている。
型式としてはEJ20同様に古いエンジンとなるが、排気量がアップし、なおかつ気筒数が増えることはエンジンへの負担を大きく軽減し、信頼性アップにつながるはずだ。
小澤総監督は、スバルが現在ニュルブルクリンク24時間レースで使用しているFA24型のような、EJ20よりも排気量の多い4気筒エンジンを採用することも検討されたというが、高負荷環境に耐えるために6気筒化を決断したと説明した。
「当然、FA24とかをベースにしたもので、単純な排気量アップを図ることも検討されました」
「ただ、今のEJ20で一番厳しいのが耐久性の部分で、そこは結局1気筒1気筒の仕事量の問題になってきます。単純に排気量を増やせばブースト圧も下がるという面もあるとはいえ、(気筒数が変わらないと)1気筒あたりのコンロッドやクランクが支える力は減らないんです」
「そんな中で、マルチシリンダー化した方がはるかに負荷を下げられる……どちらにせよ4発(4気筒)にこだわっていると先が厳しいということが見えていたので、6発化に踏み切ろうと思いました」
また小澤総監督は、6気筒エンジンを採用することでのその他のメリット、デメリットについて次のように語る。
「その他のメリットとしては、滑らかなトラクション性能になったり、トラクションコントロールのような制御をより精密にできたりします。マルチシリンダー化は色々楽な面が多いです」
※左が2026年マシン
「一番のデメリットは、重量ですね。その辺に関しては、同じ系統の車両でV8などさらに重たいエンジンを積んでいるチームもあるので、乗り越えられないものじゃないと思っています。ただ今までのように、フロントが軽くて、とにかくブレーキングで強く踏み込みながら鋭い旋回をしていく……という面は若干弱まります」
また4気筒エンジンから6気筒エンジンに載せ替える上では、車体面でも少なからず適応が必要と言える。しかしそれは2025年の時点で大方対処が済んでいるのだという。
というのも、彼らは2025年シーズンに新車を投入。サスペンションジオメトリに変更を加え、ボンネット付近のエアフローも、直線的にリヤウイングへと多く流れるコンセプトから、車体側面に空気を流すコンセプトに変更していた。これらの変更は、6気筒エンジン化を見越してのものだった。
「(6気筒エンジン化により)バルクヘッド位置を前に出さないといけないので、そうなるとサスペンションのジオメトリなど、一式変わってきます。だからその辺を(25年型マシンの時点で)見越していました」と小澤総監督。
「(車体の変更とエンジン換装を)同時にやってしまうと、エンジンが悪いのかクルマが悪かったのか、その辺の評価もできないですから」
「先にクルマを作って、6気筒エンジンが入る箱で昨年走り、今年満を持して(6気筒エンジンを)載せるという段階を踏みました」
「エアロに関しては、インタークーラーが2個になったことでボンネット内の空気の流し方が変わっていたりと、風の流れは全体的には変えてあるのですが、パッと見て大きく変わらない印象ですよね。それも、2025年の段階でこのレイアウトになることを見越して、サイドフロー(重視)にしていたということがあります」
来る6気筒エンジン搭載に向けて、昨年の段階から下準備を進めてきていたスバル。待望の新エンジンが乗る今季こそ、昨年導入された新個体のBRZは“完成系”になるということだろう。
「昨年はトラブルはありましたが、走りだけで見るとクルマの性能としてはちゃんと我々の想定通りでした。そこに本来載せようと思っていたエンジンが載れば、最強の組み合わせになるんじゃないかと」
そう期待感を寄せる小澤総監督。現在新エンジンは最終調整の段階にある。今季こそトラブルフリーでチームの持つポテンシャルを最大限発揮し、5年ぶりのチャンピオン獲得なるか。
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