プジョー、LMH車両のパワートレイン詳細を発表。V6ツインターボエンジンを採用
プジョーは2022年のWEC(世界耐久選手権)に挑むLMH(ル・マン・ハイパーカー)車両に搭載するパワートレインが、2.6L V6ツインターボエンジンとなることを明らかにした。


2022年シーズンからWEC(世界耐久選手権)に復帰し、2011年以来11年ぶりにル・マン24時間レースを戦うこととなるプジョー。彼らは同選手権で使用するLMH(ル・マン・ハイパーカー)車両のパワートレインの詳細を発表した。
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発表によると、プジョーは2.6L V6ツインターボエンジンを採用するとのこと。プジョーのWECパワートレイン責任者を務めるフランソワ・クードランは次のように語った。
「プジョー・ハイブリッド4と呼ばれる500kWのパワートレイン構造は、FIA WECの新しいレギュレーションについて非常に詳細に検討した結果のものだ」
「我々は当初シングルターボを検討していたが、それだとエンジンの重心が目標に達しなかった。ツインターボのV6ブロックは、技術、重量、付属品とのパッケージング、信頼性やパフォーマンスなどあらゆる面で最高の妥協点を与えてくれた」
4輪駆動のプジョーLMHマシンに搭載される165kgの内燃エンジンには680馬力(500kW)以上のパワーがあり、7速シーケンシャルギヤボックスを介して後輪の駆動を司る。一方フロントアクスルに搭載されるモーター・ジェネレーター・ユニットはパリ郊外のモータースポーツ本部で開発されたもので、272馬力(200kW)というパワーを前輪に供給する。
なお、このハイブリッドパワートレインによってもたらされるパワーは一度に680馬力を超えてはならない。ただしモーター・ジェネレーター・ユニットがストレートエンドでエネルギーを回生している時は700馬力まで許可される。
クードランはさらにこう続ける。
「このモーター・ジェネレーター・ユニットには、軽量かつ高効率の1速トランスミッションが備えられており、さらにバッテリーのパワーをモーターへと送るために最新のインバーターが搭載されている」
「パワートレインのエネルギー管理システムの戦略により、バッテリーに溜まったエネルギーの全てを瞬時に使用する力を持っている」
またクードランは、プジョーの親会社であるPSAグループ傘下のDSブランドがWRC(世界耐久選手権)やフォーミュラEで培った経験が、このLMHマシンのソフトウェア開発に活かされていると説明した。
プジョーの900Vの高密度バッテリーは、潤滑油パートナーであるトタルの子会社、サフトと共同で開発されている。
サフトの最高技術責任者であるカメン・ネシェフはこう述べた。
「重要なのは、バッテリーに蓄えられたエネルギーの使用方法を最適化することだ」
「それを達成するためには、充電時間が短く大容量の蓄電セルを組み合わせて、最大の電力をできる限り迅速に供給するようなパッケージを形成する必要がある」
このバッテリーはLMHの規則に従い、モノコック内のカーボン製ケーシングに収められることになる。
プジョーはLMHプロジェクトにおける空力パートナーがリジェ・オートモーティブとなることを既に発表しており、2021年末に車両のテストを開始する予定であるが、パワートレインはそれに先立ち2021年前半にベンチテストが始められる予定だ。
なおプジョーは、WECの2022年シーズンのどの段階で参戦を開始するのかについてはまだ決定していない。
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