女性唯一の”ダカール勝者”クラインシュミットが、クプラからエクストリームEに電撃参戦!

2001年のダカール・ラリー勝者であるユタ・クラインシュミットが、セネガルで行なわれたエクストリームEの第2戦に、クローディア・ハートゲンの代役としてアプト・クプラより参戦。本レースの話題のひとつとなった。

女性唯一の”ダカール勝者”クラインシュミットが、クプラからエクストリームEに電撃参戦!

 現在58歳のユタ・クラインシュミットは、2001年のダカール・ラリーで、アンドレアス・シュルツと組んで優勝。この勝利は、世界で最も過酷と言われるラリーで唯一の女性ドライバーによる優勝である。彼女は2007年まで競技を続けたが、一旦引退。その後2016年には、MINIのゼブラ・バギー・プロジェクトの一環として復帰を果たした。

 そのクラインシュミットは、今季から発足した全電動SUVによるシリーズ”エクストリームE”の予備ドライバーのひとりとして名を連ねている。このシリーズは、男女ペアによる走行が義務付けられているため、それぞれひとりずつのリザーブドライバーがスタンバイしているのだ。

 金曜日のシェイクダウンとフリー走行で、アプト・クプラのドライバーであるクローディア・ハートゲンがウイルス性の胃腸炎に見舞われたため、クラインシュミットはレーシングスーツを着込み、それ以後アプト・クプラのドライブを担当することになった。

 チームのテントに訪れた彼女の最初の言葉は、「準備ができました。データとテレメトリーを見せて」という内容だった。エンジニアリングにも精通しているクラインシュミットは、クプラが走らせるエクストリームEマシン”オデッセイ21”を理解することに全力を注いだ。このオデッセイ21は、限られたセットアップの変更しか行なうことができない。

 そして最初の走行セッションで、彼女は周囲を驚かせることになった。予選1回目のセカンドドライバーによるアタックで、最速タイムと3番手タイムを記録して見せたのだ。チームメイトのマティアス・エクストロームも好調な走りを披露した結果、土曜日に2回行なわれた予選で、クプラを準決勝1に3番手で進出することになった。

 クラインシュミットは、エンジニアと共にデータを確認すること、そしてシートポジションを調整して、このエクストリームEで義務付けられているレース中のドライバー交代をできるだけスムーズにすることを行なった。逆を言えば、これ以外に彼女ができることは、時間的な制約によりほとんど何もなかった。

Jutta Kleinschmidt/Mattias Ekstrom, ABT CUPRA XE

Jutta Kleinschmidt/Mattias Ekstrom, ABT CUPRA XE

Photo by: Charly Lopez / Motorsport Images

 それでも彼女は、エクストロームと共にセッションの合間の空き時間を使い、乗り換えの練習を繰り返した。そして、レギュレーションで規定されている45秒以内にそれが完了できるよう、改善していった。

 クラインシュミットがダカールラリーに優勝した時、舞台はまだアフリカ大陸だった。しかも当時のフィニッシュ地点はセネガル……そう、今回のエクストリームEの現場から、わずか100m程度しか離れていないところで、彼女は偉業を成し遂げたのだ。

「素晴らしいことでした。想像できるでしょう?」

 クラインシュミットはそうmotorsport.comに対して語った。

「私はここにいて、ここは私にとってとても、とても特別な場所なんです。ここから約100m離れたところに、私が2001年にダカールラリーで優勝した場所があります。新しいテクノロジー、電気自動車、そして多くのスターとともに、このような国際的な選手権に再び参加できるのは、素晴らしいことです」

「予選1回目でマシンに乗る前は、すごく緊張していました。それまで、テストすらしたことがなかったからです。クルマに乗り込み、予選で最高の状態を発揮すべく進んでいくのは、すごく緊張することでした。でも、そんな状況に再び戻ってこられたのは、すごく楽しいことでもありました」

「ロース・レイク(ラック・ローズ)を再び見ることができたのは驚きでした。すごく長い年月が経ったのに、あの日の午後の気分を思い出させてくれたんです。あの日は、私の人生の中でも特に重要な瞬間でした。それによって、私の人生も変わったんです。その勝利により、私はFIAのクロスカントリー委員会で働くことができています。素晴らしいことです」

Jutta Kleinschmidt ABT CUPRA XE

Jutta Kleinschmidt ABT CUPRA XE

Photo by: Colin McMaster / Motorsport Images

 前述の通り、エクストリームEは各チームとも女性ドライバーひとりと男性ドライバーひとりのコンビで戦わなければならず、多様性を追求している。クラインシュミットは、これはモータースポーツが前に進んでいくための道であると語る。

「このシリーズは、新しい技術をもたらし、環境に良いというメッセージを発信し、そしてメーカーにとって素晴らしい実験の場となっています。そういう大会に参加できるのは、またとないチャンスでした」

「また各チームは女性と男性のドライバーの組み合わせであり、それは素晴らしいことであると同時に、独自の視点を与えています。女性ドライバーたちは様々な選手権を経てやってきており、ここでの経験を、レースのキャリアをさらに成長させるために活かすことができるのは、素晴らしいことです」

 アプト・クプラは、準決勝1でまずエクストロームが走行。リードを築いたが、クラインシュミットが乗り込むと無線にトラブルが発生し、序盤のリードは露と消えた。結局その準決勝1で3番手フィニッシュ……クラインシュミットの”夢のカムバック”は幕を閉じた。

Jutta Kleinschmidt/Mattias Ekstrom, ABT CUPRA XE

Jutta Kleinschmidt/Mattias Ekstrom, ABT CUPRA XE

Photo by: Sam Bloxham / Motorsport Images

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