ハーベストGPレース2:パワー優勝。ニューガーデン4位で王座争いは最終戦に持ち越し
ペンスキーのウィル・パワーは、最終スティントでコルトン・ハータ(アンドレッティ)から激しいプレッシャーをかけられたものの、なんとかこれを凌いでトップチェッカー。通算39勝目を挙げた。
写真:: Barry Cantrell / Motorsport Images
インディアナポリス・モータースピードウェイのロードコースで開催されたインディカー ・シリーズ第13戦ハーベストGPのレース2は、ポールポジションからスタートしたウィル・パワー(ペンスキー)が逃げ切って優勝。また、前日のレース1で優勝したジョセフ・ニューガーデン(ペンスキー)はこのレース2でも4位に入り、ランキング首位であるスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)との差を32ポイントにまで縮めることになった。
ポールポジションのパワーは力強いスタートを切り、首位のポジションを堅持した。コルトン・ハータ(アンドレッティ)はターン1でロックアップしたものの、チームメイトのアレクサンダー・ロッシやパトリシオ・オワード(アロー・マクラーレンSP)、アレックス・パロウ(デイル・コイン)らを抑え、2番手を守った。
ニューガーデンは最初ポジションを落としたが、3周目には10番手に浮上。これはライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ)がプライムタイヤを発熱させるのに苦労したからだ。ニューガーデンは、その後もマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ)らも抜き、ポジションを上げていった。
その後方には、前日のレース1でランキング上のリードを減らすことになったディクソンが控えていた。
なおこの日のレースは前日の85周よりも10周少ない75周に設定されていた。そのため各車とも、2ストップで走り切ることを目指していた。しかしこれを実現するためには、スタートから燃費を節約する必要があった。
そんな中でも、10周目頃からピットインするマシンが登場。ただ首位をいくパワーはペースをコントロールし、後続との差を最小限にしながら、周回を進めていった。
ディクソンのマシンのフロアには、ダメージが及んでいるように見えた。これは、バックストレートエンドのターン7で、ハンター-レイと接触した影響だと考えられた。ストラテジストのマイク・ハルは、影響はないと語ったが、それは信じがたかった。しかし幸運なことに、チームメイトのフェリックス・ローゼンクヴィストがサポート役を務める形となった。
ニューガーデンは着実に順位を上げ、21周目には5番手となっていた。一方で首位のパワーは、同じ頃には5.6秒のリードを築いていた。これは彼がペースを上げたわけではなく、2番手ハータが後続のロッシとオワードを抑えることに集中する必要があったからだ。
ロッシとオワード、そしてニューガーデンは26周目にピットイン。プライムタイヤに履き替えた。ディクソンも同様にピットストップしたが、トップ2のパワーとハータはピットインを1周先送りにした。
この結果、先にピットストップを行なったロッシは、タイヤを十分に暖めることができたため、ハータを抜くことに成功した。
ディクソンには不運が訪れた。サポート役を失うことになったのだ。ローゼンクヴィストは、チャーリー・キンボール(A.J.フォイト)と接触し、ポジションを下げることになってしまったのだ。
エリオ・カストロネベス(アロー・マクラーレンSP)やハンター-レイらは、早々に最初のピットストップを行なったため、3ストップ作戦を採らざるを得ず、ポジションを下げることになった。これによってディクソンは9番手に浮上。さらに37周目にはパロウも抜くことになった。
首位のパワーは、ロッシに対して4.5秒のリードを持っていたが、50周目を目前としたところで、両者の間隔は3秒以内に縮まった。
そして50周目、上位集団ではパジェノーが最初に2度目のピットストップを実施。 ニューガーデンは51周目にタイヤ交換を行ない、パワーも52周目にピットインした。
ピットストップの1周後、ニューガーデンはターン7でオワードをオーバーテイクし5番手に浮上。ハンター-レイが4番手を走っていたが、彼は3回目のピットストップをしなければならず、ニューガーデンはこの時点で実質的な4番手ということになった。
ロッシは最終スティントにプライマリータイヤを履いていた。一方パワーは中古のオプションタイヤを選択。これにより、パワー、ロッシ、ハータのトップ3が、1.8秒以内の僅差にひしめく大接戦となった。その後方10秒の位置にニューガーデンがいた。
ハータはターン1でチームメイトのロッシを抜いて2番手に浮上。周回遅れのカストロネベスとオーバーテイクしようとしていたパワーに次なる照準を合わせた。そして70周目、ハータは首位パワーの真後ろまで迫った。
ただ、レーシングラインを外れた位置には、大量のタイヤかすがあり、これがハータがオーバーテイクを成功させる妨げとなった。ハータは再三パワーにプレッシャーをかけたが、抜くまでには至らず、0.9秒及ばなかった。
結局パワーが優勝し、ハータが2位、ロッシはトップ2台から結局約5秒遅れの3位となった。ニューガーデンはオワードに詰め寄られたものの、ロッシから約3.3秒遅れの4位となった。
ただニューガーデンは、ランキング首位のディクソンとのポイント差を32ポイントに縮め、10月25日の最終戦セント・ピーターズバーグに挑むことになる。
なお佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン)は17番グリッドからのスタート。レース中のほとんどのシーンでバトルを演じたが、14位までポジションを上げるのが精一杯だった。
順位 | ドライバー | チーム | 周回数 | タイム | 差 | Mph |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ウィル パワー | Team Penske | 75 | 1:32'08.522 | 119.115 | |
2 | Colton Herta | Andretti Harding Steinbrenner Autosport | 75 | 1:32'09.416 | 0.893 | 119.096 |
3 | アレクサンダー ロッシ | アンドレッティ | 75 | 1:32'14.712 | 6.190 | 118.982 |
4 | ジョセフ ニューガーデン | Team Penske | 75 | 1:32'18.111 | 9.588 | 118.909 |
5 | パトリシオ オワード | Arrow McLaren SP | 75 | 1:32'18.599 | 10.077 | 118.898 |
6 | ジャック ハーベイ | マイケル・シャンク・レーシング | 75 | 1:32'26.511 | 17.988 | 118.729 |
7 | グラハム レイホール | Rahal Letterman Lanigan Racing | 75 | 1:32'27.028 | 18.505 | 118.718 |
8 | スコット ディクソン | Chip Ganassi Racing | 75 | 1:32'29.043 | 20.520 | 118.675 |
9 | アレックス パロウ | Dale Coyne Racing with Team Goh | 75 | 1:32'31.758 | 23.235 | 118.616 |
10 | シモン パジェノー | Team Penske | 75 | 1:32'43.960 | 35.437 | 118.356 |
11 | フェリックス ローゼンクヴィスト | Chip Ganassi Racing | 75 | 1:32'47.965 | 39.442 | 118.271 |
12 | サンティノ フェルッチ | Dale Coyne Racing with Vasser Sullivan | 75 | 1:32'48.804 | 40.281 | 118.253 |
13 | ジェームズ ヒンチクリフ | アンドレッティ | 75 | 1:33'01.235 | 52.712 | 117.990 |
14 | 佐藤 琢磨 | Rahal Letterman Lanigan Racing | 75 | 1:33'01.513 | 52.990 | 117.984 |
15 | マーカス エリクソン | Chip Ganassi Racing | 75 | 1:33'03.109 | 54.586 | 117.950 |
16 | ライアン ハンター-レイ | アンドレッティ | 75 | 1:33'03.897 | 55.374 | 117.934 |
17 | Rinus van Kalmthout | Ed Carpenter Racing | 75 | 1:33'08.283 | 59.760 | 117.841 |
18 | セバスチャン ブルデー | A.J. Foyt Enterprises | 75 | 1:33'19.491 | 1'10.968 | 117.605 |
19 | マックス チルトン | カーリン | 75 | 1:33'19.991 | 1'11.468 | 117.595 |
20 | コナー デイリー | Ed Carpenter Racing | 74 | 1:32'16.855 | 1 Lap | 117.350 |
21 | エリオ カストロネベス | Arrow McLaren SP | 74 | 1:32'17.357 | 1 Lap | 117.339 |
22 | マルコ アンドレッティ | Andretti Herta Autosport with Marco & Curb-Agajani | 74 | 1:32'37.365 | 1 Lap | 116.917 |
23 | チャーリー キンボール | A.J. Foyt Enterprises | 74 | 1:32'38.887 | 1 Lap | 116.885 |
24 | セージ カラム | Dreyer & Reinbold Racing | 74 | 1:32'43.252 | 1 Lap | 116.793 |
25 | Dalton Kellett | A.J. Foyt Enterprises | 73 | 1:32'24.461 | 2 Laps | 115.605 |
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