”格好良いドライバー”の姿を、子供たちに見せていきたい……SF新プロジェクトにかける中嶋悟の想い
モータースポーツの将来を持続させていくための新プロジェクト『SUPER FORMULA NEXT 50』。この会見に登場した中嶋悟JRP会長は、”格好良い”レーシングドライバーたちの姿を、子供たちに見せていきたいと語った。
中嶋悟
JRP
スーパーフォーミュラを運営する日本レースプロモーション(JRP)は、未来に向けて持続可能なモータースポーツ業界を作り出すことを目的とし、『SUPER FORMULA NEXT 50』をスタートすることを発表した。
日本のトップフォーミュラ・シリーズは、1973年の全日本F2000選手権を皮切りに、F2、F3000、フォーミュラ・ニッポン、スーパーフォーミュラと名前を変えながらも続いてきた。そして2022年は50年という節目を迎えることになる。
そして次の50年を見据えたプロジェクトがこの『SUPER FORMULA NEXT 50』である。昨今では避けて通れない”カーボンニュートラル”に対応するための技術開発、そしてレースの魅力をさらにファンに伝えていくためのデジタルプラットフォームの整備……このふたつがプロジェクトの柱になるとされている。
会見に出席したJRPの中嶋悟会長は、次のように語った。
「私がこの業界に入った1973年は、第一次オイルショックの年……日本を大変な状況にした年でした。サーキットに足を運ぶ上でも必要な燃料やタイヤなどの消耗品が、世の中から減ってしまいました。チームにとっても自動車メーカーにとっても、おそらくとんでもない時代だったと思います」
中嶋会長は自身がレースを始めた頃の話をそう振り返った。
「そんなピンチがあったにも関わらず、この50年を過ごすことができたのは、自動車への、ファンも含めた全員の情熱があったからだと思います。諸先輩方が自動車レースを愛して活動してきたことが、この50年に繋がってきたのだと思います」
前述の通り、昨今ではカーボンニュートラルの重要性が各方面で声高に叫ばれている。欧州では、近い将来エンジンを搭載する自動車の販売を禁止することを決めた国もあり、日本でも多くの企業がカーボンニュートラルの実現に取り組んでいる。
「今は当時とは状況が大きく変わりました。50年前は(オイルショックで)燃やすモノがありませんでした。でも今は、燃やしちゃいけないという時代になってきています。カーボンニュートラルですね。この50年で両極端のことが起きたように感じます」
中嶋会長はそう語る。
「それを実現するためには、この業界に関わる全ての者が、危機感を持って対応しなければいけないと思います。ですのでトヨタさんとホンダさんにご相談を申し上げ、ハード面においてカーボンニュートラルを達成するために、来季からテストをやっていこうという賛同もいただくことができました」
「そんな具合で、来シーズン以降も活動していけることになりました」
そんな環境に優しいマシンで戦うシリーズを、多くのファンに届けるために、新たなデジタルプラットフォームを活用するという。
「お客様が一緒になって楽しんで、感動できる世界にならなければ、この業界は危ないのではないかという気がしています。そんな中でデジタル面を含め、あらゆる手段を使って発信しようということも、同時にスタートします。ハード面とソフト面をますます充実し、来シーズン以降も皆様にご覧いただきたいと思っています」
そのためには、ドライバーの魅力を高めていかなければならないと、中嶋会長は言う。
「マシンを扱うドライバー、エンジニア、メカニックの皆さんが世の中に見られるようにすることが重要だと思います。どのスポーツを見ても、例えばサッカーで良いことをすれば盛り上がるし、ラグビーのワールドカップで日本が頑張れば盛り上がる……そういうことがあると思います。レースでは、やはり主役はドライバーだと思います」
中嶋会長は、自身の幼少期の記憶を例に挙げ、”格好良いドライバー”を見せることで、今後レーシングドライバーを目指したいと思う子供たちを増やしていきたいと語った。
「僕がまだ中学生くらいの頃、自動車レーサーが格好良く見えたということがありました。日本人として最初にヨーロッパに挑んだ生沢徹さんが、日本GPに出場するために日本に凱旋帰国された際、羽田に到着した飛行機のタラップから、手を振りながら降りてくる写真を見た覚えがあります。それが僕が『レーサーって格好良いな』と初めて思った瞬間でした」
「(この日の会見に登場した)山本尚貴選手も、小林可夢偉選手も、少年の頃にそういう場面を見て今があるという風に想像します。彼らの場合はアイルトン・セナだったり、アラン・プロストだったり、あるいはもっと若い世代のドライバーかもしれませんが、そういう華々しいレーサーの姿を見て、憧れてこの世界に入ってきたんじゃないかと思います」
「業界全体で次のドライバー、格好良いドライバーを育てていくのが、我々の目標だと思います。そして子供たちがこの世界を目指したいと思うような格好良いドライバーの姿を、我々が持つ色々なツールで示していきたいと思います」
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