F1メカ解説|レッドブルが”超高速”モンツァの空力トレンドに逆らっても、イタリアGPを制することができた理由
超高速サーキットであるモンツァ。レッドブルはこのサーキットで行なわれたイタリアGPに、トレンドに反して大きなリヤウイングを搭載したマシンで挑んだ。そして勝利……その理由とは?
写真:: Giorgio Piola
ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】
Analysis provided by Giorgio Piola
F1イタリアGPの舞台であるモンツァ・サーキットは、現在のF1カレンダー屈指の超高速サーキットとも言える。そのため各チームは、ダウンフォースと空気抵抗を極力減らした空力パッケージを持ち込むのが常である。
しかしレッドブルはこの恒例に反し、比較的大きなリヤウイングでイタリアGPに挑んだ。当初は高速コースには不適当なのではないかとも考えられていたが、終わって見ればマックス・フェルスタッペンは、グリッド降格ペナルティを受けながらも完勝することになった。
Red Bull Racing RB18 beam wing comparison
Photo by: Giorgio Piola
レッドブルがイタリアGPで使ったリヤウイングは、アゼルバイジャンGPやベルギーGPでも使用されたもの。これらふたつのレース同様、レッドブルは2枚あるビームウイングも1枚外し、空気抵抗を削ってきた。
セルジオ・ペレスは、テストの一環として、後端部が削り取られ、全体的に薄くなったフラップを使うシーンもあった(メイン写真)。しかし2021年にもチームが悩まされたように、DRSを開いた際にフラップが異常振動してしまうトラブルが発生したため、この薄いフラップはすぐに使われなくなった。
結局レッドブルのリヤウイングは、他のチームのそれと比べれば巨大なモノであり、直線スピードを犠牲にすることになると思われた。しかしそんな懸念も杞憂に終わる。レッドブルは他よりも大きなリヤウイングを使っても、これまでのシーズン同様十分なまでの最高速を発揮したのだ。しかもダウンフォースをつけたことでマシンが路面にしっかりと押さえつけられ、大きなトラクションを確保……コーナー立ち上がりのパフォーマンスに繋がり、この部分でタイムを稼ぐことができた。
またチームは、2台揃ってパワーユニット交換によるグリッド降格ペナルティを受けることが決まっていたため、予選でのパフォーマンスよりも決勝パフォーマンス重視のセッティングを施した。これも優勝のためには大きかったと言えよう。
より大きなダウンフォースを発生するリヤウイングで走るということは、タイヤが横滑りすることを防ぎ、デグラデーション(タイヤの性能劣化)を小さくするということにも繋がる。その結果、最初のスティントを引き伸ばすことができた。また、DRSを開いた時の効果も、薄いリヤウイングを使うライバルよりも大きいということになった。そのため結果的には、予選でも力強いパフォーマンスを発揮することになったのだ。
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