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ミシュラン本国の幹部が語る、日本のスーパーGT。今季限りで活動休止のGT500は「真のレースでとても楽しいのだが……」

ミシュラン・モータースポーツのダイレクターであるマシュー・ボナルデルは、今季限りで活動を休止するスーパーGTのGT500クラスはコンペティションとしては楽しいものだとしつつも、そこで得た技術をWECのようなカテゴリーで活かすことが難しくなっていると考えている。

#23 MOTUL AUTECH Z

 2023年シーズンをもってスーパーGTのGT500クラスにおけるタイヤ供給活動を休止するミシュラン。ミシュラン・モータースポーツのダイレクターであるマシュー・ボナルデルが、その理由などについて語った。

 ミシュランの活動休止理由については以前、日本ミシュランタイヤの小田島広明モータースポーツダイレクターがmotorsport.com日本版の独占インタビューで語ったように、近年の情勢変化が関係している。

 ミシュランは日本のスーパーGTをタイヤ開発の前線基地として、その技術や知見をWEC(世界耐久選手権)などの他カテゴリーに転用してきた。近年、スーパーGTやWECはそれぞれ、環境に配慮したサステナブルな方針を打ち出しているが、両カテゴリーのレースとしての性質にもこれまで以上に開きが出てしまっており、スーパーGTで得たものをWECに活用しづらくなっているのだ。

 これについてミシュラン本国の幹部であるボナルデルが、改めて自らの口で説明した。

「私はGT500に情熱を持っている。2009年に日産と共に(GT500に)カムバックする決断をしたひとりが私だ」と語るボナルデル。さらにこう続ける。

「まず、我々はブランドの認知度を高めるためにここに来たのではない。例えば中国の方がマーケットとしての規模は大きく、日本はミシュランにとって最も強力なマーケットではない。GT500の価値はやはり、同じマシンで他のタイヤメーカーと競い、どうすれば速く走れるかを学べるということだった。様々なタイプのタイヤを開発して、他のメーカーと競い合うという点では素晴らしい場所だ」

「ただ……日本はやや孤立している。GT500で学んだことを活かせる主な場所はWECだった。しかしLMP1がハイパーカーに変わり、コントロールタイヤ(ワンメイク)になった。そして単に最速を目指すのではなく、より持続可能な素材を導入しようとしており、技術的な方向性も変わってきている」

 

Photo by: JEP / Motorsport Images

「では、GT500はどこまで我々の支えになるのだろうか? その答えは分からない。以前は素晴らしい実験場だったのだが……」

「例えば私がハンターだとして、殺した動物を食べないのであれば、なぜ狩りをするのか? ということだ。ブリヂストンやヨコハマに勝つためだけにお金を使うのは......楽しいのだが、その価値については下がっていると言わざるをえない。耐久レースに直接使えることを学べるわけでもないのだ」

「GT500はとても素晴らしく、真のレース、真の競争であり、私としても(活動休止は)寂しく思う。WECでは(最高峰クラスの全車がミシュランタイヤを履く中で)誰が優勝するかをただ見つめるだけだ」

「日本でハイパーカーのタイヤ競争があるなら(参戦の)意義がある。しかし、クラス1車両のスプリントレースで、ハイブリッドでもない……(WECとの)繋がりが薄い」

 ミシュランは“休止”という言葉を用いているように、今後のスーパーGTのレギュレーション次第では復帰の可能性も一切否定していない。特にWECに匹敵するほどタイヤの耐久性が求められるようになれば、魅力的だという。

「我々は一歩引いている状態で、先ほど言ったような繋がりが再び確立されるのであれば、将来的には喜んで戻ってくるつもりだ。それは将来、レギュレーションがどのように進化するかにかかっている」

「もしレース全体を通して同じタイヤを使うようになれば、我々にとっては興味深い。そうすれば突如として耐久性の話になってくる。(スーパーGTでは)今のところ、タイヤは1スティントで交換する。これは我々が開発しているテクノロジーとは違う」

「まあ、(車両が)クラス1からハイパーカーになってくれるのが一番シンプルで良いんだがね(笑)」

 また、ミシュランは近年、GT500クラスで日産陣営4台のうち2台に供給するのみにとどまっている。これについては不満かと問われたボナルデルは、最低限複数台に供給し、なおかつ同じマシンで違うメーカーのタイヤを履くチームと競い合えていることに満足していると答えた。

「もし1台供給だった場合、タイヤが良くてもマシンが……ということもあるが、台数を増やせばタイヤのパフォーマンスと車両のパフォーマンスを切り離して考えることができる。タイトルのためにも、供給の台数は増やしたいところだ」

 

Photo by: Masahide Kamio

「ただ重要なのは、我々は勝利のためにここに来ているのではなく、学ぶために来ているのだ。違うブランドのタイヤを履く同じマシンが走っていればそれで良かった。もちろん日産はミシュランでホンダやトヨタに対抗したいと考えていたかもしれないが、我々の目標はあくまで、ブリヂストンを履く日産、ヨコハマを履く日産に勝つこと。日産が勝つに越したことはないが、我々としては8位フィニッシュでも、同じマシンを使う競合他社(のタイヤメーカー)の前なら満足だ」

「ではそのタイヤがトヨタやホンダでも機能することを証明する必要があるか? そうは思わない。我々は(トヨタやホンダと)ビジネスとして長期的な関係を築く方法は見出せなかった。ただいつでも扉は開かれている。トヨタにはWECでタイヤを供給しているし、ホンダもヨーロッパの市販車におけるベストパートナーだ。ただ投資を正当化させる何かが必要というだけだ」

 なおミシュランはGT300クラスでの活動を継続することが明らかになっているが、現状1台となっている供給台数は増やしたいと考えているという。

「もっと多くのマシンに供給する形でGT300クラスに残りたい。GT300はGT3車両が使われるので世界的な繋がりがある。ただもっと多くのマシンに供給したい」

 

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