レースレポート
WEC スパ6時間

トヨタ7号車、”スパウェザー”で大荒れのレース制す。僚友8号車はハイブリッドトラブル|WEC第2戦スパ決勝

WEC第2戦、スパ6時間レースの決勝が行なわれ、トヨタの7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス組)がレースを制した。

#7 Toyota Gazoo Racing Toyota GR0110 Hybrid Hypercar of Mike Conway, Kamui Kobayashi, Jose Maria Lopez

 FIA世界耐久選手権(WEC)の第2戦、スパ6時間レースの決勝レースが行なわれ、トヨタGR010 HYBRIDの7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス組)が優勝した。

 予選では、グリッケンハウスの708号車が初のポールポジションを獲得。アルピーヌ36号車がフロントロウに並び、トヨタの2台はその後ろからのレースとなった。

 6時間のレースがスタートすると、トヨタの8号車が4番手から一気に2番手に浮上。7号車もアルピーヌ36号車をパスし、ポールポジションのグリッケンハウス708号車を追う体制を整えた。

 ただ、改修でグラベルとなったターン1(ラ・ソース)のランオフエリアに捕まった車両があったことで、いきなりセーフティカー(SC)が出動した。

 しばらくはグリッケンハウス708号車がレースをリードする展開が続いたが、ペース自体はトヨタ2台の方が良いようで、トヨタ8号車がケメルストレートで708号車をパス。レース開始から35分のところで、首位を奪った。7号車も、その周のバスストップ・シケインで708号車が他クラスのマシンに詰まったタイミングを見逃さず、ズバッとオーバーテイク。トヨタがワンツー体制を構築した。

 レース開始から1時間が経つころには、コースの一部で雨粒が落ち始める。そんな中で、7号車の目の前でLMP2クラスのマシンがクラッシュ。2度目のSC出動、さらに赤旗が掲示されてレースが一旦中断されることになった。

 この中断の間に本格的な雨雲が到来。各車が停まったメインストレートこそ雨はほとんど降っていなかったものの、オールージュなど場所によってはかなり強く雨が降っていることもあって、レース再開に向けてタイヤ交換が許可された。ただ、まだドライコンディションのエリアも多く、スリックタイヤを履くマシンがほとんどだった。

 残り時間4時間35分頃、SC先導でレース再開となったものの、首位の8号車は動き出すことができない。なんとか走り出した8号車だったが、その後は止まったり、動き出したりを繰り返したが、結局はコースサイドにマシンを止め、まさかのリタイアとなってしまった。ハイブリッド関係のトラブルが起きたようで、ドライブしていたセバスチャン・ブエミは感電防止のため、マシンからジャンプして降車。悔しさを爆発させた。

 一方SC走行中にも関わらず、スリックタイヤを履いていたマシンにはスピンが続発。グリッケンハウス708号車もスピンを喫し、ポジションを落とした。

 雨は一気に強まり、各車が続々とピットイン。ウエットタイヤへの交換を決断した。ここでハイパーカークラスの3台もピットインし、LMP2クラスのマシンが総合トップに浮上。またトヨタ7号車は、アルピーヌ36号車の先行も許した。

 コンディションが悪化の一途を辿ったことで、SCが解除されることなくレースは残り4時間を前に再度赤旗中断。雨が小康状態となった約30分後に、ようやく再開された。

 トヨタ7号車は、ペースが苦しいアルピーヌ36号車にあっという間に接近。ターン1のインに飛び込むと、あっさりクラス首位に浮上した。ただ総合トップを走るLMP2クラスのWRT31号車はタイヤ選択がバッチリ決まっているのか、ウエットコンディションの中で格上の7号車をも引き離していった。

 その後、再び雨が強まり、スピン車両が続出。動けなくなった車両回収のためにフルコースイエロー(FCY)が出されるも、それが解除された途端にクラッシュが起き、SC出動。波乱が途切れることなく続き、3度目の赤旗が出された。

 結局、バトルが再開されたのは残り2時間ほどのタイミング。雨雲が切れ、青空も再び顔を見せるようなコンディションになってくると、小林可夢偉がドライブするトヨタ7号車が31号車に一気に接近し、ようやく総合トップを奪還した。

 雨が止んだことで、走行ラインは急速に乾いていった。スリックタイヤへの履き替えを迷うようなタイミングで、グラベルにハマった車両回収のためFCYが出されると、各車が続々とピットになだれ込んだ。

 ここでグリッケンハウス708号車はスリックタイヤを装着したが、すぐに再ピットイン。どうやらコミュニケーションミスがあったようで、浅溝のインターミディエイトタイヤに履き替え、ポジションを落とした。

 その後も走行ラインのみが乾いているような難しい路面でスピンする車両も多かったが、トヨタ7号車はアルピーヌ36号車を振り切りトップチェッカー。コンディションが目まぐるしく変わる難しいレースを制した。

 昨年スパで優勝したトヨタ8号車の周回数は162ラップだったが、今回のトヨタ7号車は103周でのフィニッシュとなった。

 LMP2クラスは、雨の中で一時総合首位も快走したWRT31号車がクラス優勝。LM-GTE Proクラスは、ポルシェ92号車との激戦をフェラーリ51号車が制し、LM-GTE Amクラスはデンプシー・プロトン・レーシングの77号車ポルシェが勝利した。

 Dステーション・レーシングの777号車アストンマーチン(星野敏/藤井誠暢/チャーリー・ファグ)は、一時クラス2番手を走ったが、接触によるスピンもあり、クラス7位でのフィニッシュとなった。

 
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