【コラム】東京フォーミュラEは”夜遊び”にはまだ足りない……しかし今後に期待。FE創設者「日本でのレースに投資する。ファンの皆さんのためにも」
フォーミュラEの共同創設者であるアルベルト・ロンゴは、東京E-Prixに今後積極的に投資していくと語った。
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写真:: FIA Formula E
フォーミュラEの東京E-Prixが行なわれてから1週間が経つ。日本初の公道ナイトレースとして行なわれたこの1戦を、皆さんはどのような形でご覧になられただろうか?
東京ビッグサイトを取り囲むように設定された2.582kmの東京E-Prixのコース。そしてその上には、ナイトレース用の照明トラスが張り巡らされ、そこに吊るされた照明によって、コースが煌々と照らされた。その光の中を駆け巡る色彩々のフォーミュラEマシンの、なんと美しいことか。こんなシーンを日本国内で見られるなんて、少し前までは想像もつかないことだった。
今回から東京E-Prixがナイトレース開催となったのは、東京都の求めもあったという。曰く、コロナ禍を経たことでおとなしくなってしまった東京の”ナイトライフ”を再び活性化する、その火付け役としての期待があったらしい。東京E-Prixのキービジュアルにも「夜遊びしよう。」というキャッチコピーが使われていた。
確かにコース上は煌びやかだった。しかし観戦エリアなどの演出は、まだまだ”夜遊び”とは程遠いものであったと言わざるを得ない。グランドスタンド裏には、いくつかキッチンカーなどは並んでいたものの、数えるほどしかなかった。消防法など法規的に難しい部分もあったのかもしれないが、もう少し賑やかさが欲しかったところだ。ファンビレッジは今年、”MATSURI”をテーマに展開されていたが、グランドスタンド裏にもお祭りの提灯を巡らせるなどすれば、また雰囲気も違ったであろう。
さらに最寄り駅から東京ビッグサイトまでの間には、フォーミュラE開催中を示すものは皆無だったように思う。サーキットに近づいている高揚感が湧き立つような仕掛けはなかった。
フォーミュラEとしては、この状況をどう考えているのか? 東京E-Prixの際、フォーミュラEの共同創設者兼チーフ・チャンピオンシップ・オフィサーのアルベルト・ロンゴに尋ねてみた。ちなみに東京E-Prixの主催者はフォーミュラEである。東京都でも、東京ビッグサイトでも、あるいは日本のプロモーターでもない。
「我々は1歩ずつ進んでいこうと考えている」
「許認可の問題もあるし、近隣の住民の皆様の理解を得たり、そういう細かいことが非常に大事になってくる。だから十分に時間を取って、綿密に計画を進めていくプロセスを大事にしている」
「なにしろ今年は、東京で初めてのナイトレースだ。色々な学びもあるだろう。それを生かして、来年以降はどんどんバージョンアップ、パワーアップしていきたいと思っている」
確かにそのことは一理ある。日本では長らく、公道で自動車レースを開催するのは関係者の悲願であった。しかし実現はせす。2年前に東京E-Prixが初開催される前には1例のみ、しかもレンタルカートでのレースが実現したのみだった。しかもフォーミュラEとしては、シーズン創設時からアプローチしていたのが東京だった。
ようやく実現した東京での公道レース。大事に、大事に育てていくのは、長く続けていくためにも必要不可欠なことであろう。
しかもフォーミュラEの来季の開催カレンダーを見れば、東京E-PrixがフォーミュラEになくてはならないレースになっているということに気付く。
フォーミュラEは2014年のシーズン立ち上げ以来、様々な都市で開催してきた。最初の1戦は中国の北京が舞台だったし、ロンドン、ベルリン、パリ、ニューヨーク、香港、ローマ、ソウル、メキシコシティ、サンパウロなど世界の名だたる都市も開催の舞台となった。
しかし2026-2027シーズンは、ロンドンや上海の名がついたE-Prixがあるものの、いずれもブランズハッチや上海国際サーキットが舞台。大都市の市街地サーキットで開催されるのは、サンパウロと東京くらいなものだ。しかも東京は、規模や人口もさることながら、様々な影響力を加味しても世界トップ5に入る都市であり、フォーミュラEとしても特に重要なE-Prixとなることは間違いない。しかもシーズン最終戦だ。
そういう意味では東京E-Prixを充実させることは、フォーミュラEにとっても必要不可欠であろう。ロンゴはこう語った。
「グローバルで考えても、東京E-PrixはフォーミュラEというチャンピオンシップにとって、大きなアセットであると思っている」
「東京、日本で開催するレースに対して、我々としても積極的に投資していきたいと思っている。ファンの皆さんのためにも、そうするつもりだ」
「来年どうするかというプランも、もう既に考え始めている。夜にコンサートをするとか、そういうことも計画としては上がってきている。そういうことによって東京のナイトライフを活性化させることに貢献したいし、それが収益源になればと思っている」
フォーミュラEも、もちろんモータースポーツである。しかし公共交通機関(電車・バス)で観戦に訪れることができる、日本では稀有なモータースポーツ・イベントである。そういう意味では、従来のモータースポーツ・イベントと同じである必要はない。もっと言えば、モータースポーツファンが楽しめるイベントではなく、モータースポーツを知らない人が楽しめるイベントであってもいいのかもしれない。
そのことがひいては、日本における新たなモータースポーツファンベースを形作るきっかけともなろう。
フォーミュラEが来季の東京E-Prixまでにどんな投資を行ない、東京E-Prixをどんなイベントに昇華させるのだろうか? 1年後、2年後……東京E-Prixが楽しみである。
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