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脱炭素へ究極の近道? 合成燃料eフューエル、レース投入&一般普及に向けた当面の課題は再エネ電気の価格か。プラント持つENEOSに聞く

カーボンニュートラルの実現に向けて開発が進められている、二酸化炭素と水素を原料とした合成燃料。近い将来日本のレースでも投入される可能性があるが、実証プラントを持つENEOSによると、すぐに大量生産に踏み切れる状態ではないという。

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写真:: Masahide Kamio

 先日スーパーフォーミュラは、2026年からの国産セルロースエタノール混合低炭素ガソリン(E10)採用に向けて、次世代グリーンCO2燃料技術研究組合(raBit)およびENEOSと協業することを発表した。既にスーパーGTでも海外製の100%非化石カーボンニュートラルフューエル(CNF)が使われるなど、近年の国内最高峰レースカテゴリーでは、燃料を通した環境対策の動きが活発となっている。

 そういった燃料のカーボンニュートラル化において、上記両カテゴリーが共に“最終目標”として掲げているのが、二酸化炭素(CO2)由来の炭素と水素を合成して作られるeフューエルと呼ばれる合成燃料を実用化することだ。

 スーパーGTのCNF、そしてスーパーフォーミュラで導入予定のE10ガソリンには、いずれも非可食バイオマス(食用には向かない植物など)が原料として活用されている。これらの燃料はエンジンで燃やすと二酸化炭素を大気中に排出することになるが、地上でCO2を吸収して成長した植物が原料であるため、理論的には大気中の炭素量が増えるわけではない(=カーボンニュートラル)。対して従来のガソリンなどの燃料は、地下から掘り起こしてきた石油が原料であるため、大気中の炭素量が増えてしまうのだ。

写真: Masahide Kamio

 ただバイオマスを原料としていても、大気中の炭素量増加をどれだけ抑えているのか、正確に測るのは難しいと指摘する声もある。正確な“カーボンニュートラル”を実現する上では、大気中などから回収してきたCO2から取り出した炭素と、水を電気分解(それもCO2を排出する火力発電で生み出した電力ではなく、風力・太陽光などの再生可能電力で)させて作る水素とを合成させて燃料を作るのが得策である。

 そんな合成燃料は、試験管レベルの量を製造する分にはそれほど難しくないとされるが、課題となるのは一般普及に向けて大量生産ができるかだ。その中で日本初の合成燃料製造実証プラントを稼働させているのがENEOSだ。

 昨年発表のリリースによると、この実証プラントの製造規模は1日あたり1バレル(159リットル)。そこで製造された合成燃料は、大阪・関西万博で運行する車両に使用されるなど、実験的な形ではあるが実用化もされている。ただ1日159リットルの製造量では、まだまだ用途は限定的と言える。

スーパーフォーミュラは来季、福島で製造したセルロースエタノールをENEOSが調合したE10燃料を使用する。右がENEOS藤山氏

スーパーフォーミュラは来季、福島で製造したセルロースエタノールをENEOSが調合したE10燃料を使用する。右がENEOS藤山氏

写真: Motorsport.com Japan

 レースカテゴリーへの採用、ひいては一般への普及の日は近いのか? スーパーフォーミュラの新燃料に関する発表会見に姿を見せたENEOSの常務執行役員、藤山優一郎氏に、合成燃料開発の“現在地”を聞いた。

「弊社は商業生産に比べるとまだ小さいですが、合成燃料が製造できる設備を作らせていただきました。ただ、まだまだレースにご提供できるような状態ではありません」

 そう語った藤山氏。少量であれば提供できるかもしれないが、再エネ電力のコストを抑えることが難しく、大量生産できる段階には至っていないという。

「もう少し大規模にやろうとした際に問題となるのは、電気がいつ安くなるかです」

「合成燃料は、水を電気分解して水素を作り、それとCO2(由来の炭素を)を合成させたものになります。再エネ電力が安くなってきて初めて(大量生産の)意味があるものですから、そのタイミングを見計らう必要があります。日本は再エネの普及がまだ遅いので、もう少しかかるかと思います」

「今持っている設備で作ったものをお出しする分には、量は少ないながらも、もしかしたらできるかもしれません。一方でたくさん作るには設備投資が必要で、そこには莫大なお金がかかります。リーズナブルな値段で買っていただけるような状態にならないと、設備投資にはなかなか踏み切れないですね」

 なお、経済産業省の資源エネルギー庁は次世代燃料の政策について、合成燃料は「2030年代前半までの商用化実現に向けた必要な取り組みを推進する」としている。ただ藤山氏は、世界的な潮流も含めてまだ見えない部分が多いと指摘。世界全体のCO2排出量における日本の割合は約3%ということを踏まえ、「やはり日本だけが頑張るのではなく、世界中が協力してCO2を減らしましょうという状況にならないといけませんね」と述べた。

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