トライアル世界選手権2024が日本・もてぎから開幕! 世界王者でホンダ監督の藤波貴久「“行けた!”という興奮の多さがトライアルの魅力」
5月18~19日にモビリティリゾートもてぎでトライアル世界選手権の日本GPが開催される。レプソル・ホンダチームを率いる藤波貴久監督にトライアル競技の魅力や、引退後の監督業について訊いた。
トライアル世界選手権の日本GPが、5月18~19日にかけてモビリティリゾートもてぎで開催される。参戦するホンダにとっての母国戦である日本GPを前に、監督としてチームを率いる藤波貴久に話を訊いた。
藤波貴久といえば、日本人で唯一となるトライアル世界選手権におけるチャンピオン経験者。2021年に26年間の世界選手権参戦を終えた藤波は、その翌シーズンから、レプソル・ホンダのチーム監督に就任……2024年シーズンも引き続きチームを率いて連覇を目指している。
トライアル世界選手権の2024年シーズンは5月の日本GPが開幕戦となっており、藤波監督そしてホンダにとってはいきなりの母国戦ということになる。
ホンダは現在、トライアルにおいて前人未到の記録を積み上げている。2007年から所属するトニー・ボウが、現在17連覇を達成しており、今シーズンは18連覇目を目指しているのだ(屋内競技であるXトライアル世界選手権でも17連覇中)。
そんなまさに“常勝”チームでライダーから間髪入れずに監督へと転身した藤波監督だが、この2年間はどんな気持ちだったのか? 改めてその点について語ってもらった。
「1年目はやはり凄く(プレッシャーが)ありましたよね」
“監督”というポスト就任後について藤波監督はそう語る。
Takahisa Fujinami, 藤波貴久監督
写真: HRC
「やっぱり僕も、今までライダーとしてやってきたところから、本当に監督ができるのかなって。ひとりひとりやることが全然違うので、『本当にあいつできるのかな?』と皆思っていて、それでも『3年ぐらいやらせてみてやれよ』っていう感じだったと思うんですよね」
「僕自身も1年目からすごくプレッシャーもありました。でもおかげさまでトニーが連覇してくれました。昨年はライバルと争う場面も結構あったんですけど、また盛り返して圧倒的な強さに持ち上がってきてくれました」
「一番最初は本当に半年ぐらい”あっぷあっぷ”だったんです。いろんな意味で、パソコン仕事だったりとか。申請をしないといけないし、ミーティングが増えたりだとかで、何もわからない手探りの状態がずっと続いてたんですけど、半年ぐらいでようやく自分のやり方を見つけられました。今は充実していますし、本当に2年前までライダーしてたのかなっていうぐらいな感覚です」
ただ藤波監督は、現役時代のキャリア終盤には既に監督として歩むことを想定していたという。
「ホンダさんと話している中で『(将来的に自分が)監督になるんだろうな』と思っていたので、現役を退く2年ぐらい前から『僕が監督だったらこうするだろうな』ということを考えていたんです」
「そうして考えていたので、(就任当初は)デスクワーク面であっぷあっぷしていましたけど、それ以外のトコロは結構それ(思い描いていたこと)をやれているという感じです」
そう語る藤波監督だが、やはりトライアル世界チャンピオンとしてのキャリアを持つ“元ライダー”であるというポイントは、チームを監督する上で効果があるようだ。
トニー・ボウ、そしてガブリエル・マルセリの2人に対し、“フジガス”監督はライダーとしてのキャリアの効果をこう語った。
「今(アドバイスなどを)言われたくないだろうな、今言われても『クソッ』と思うだろうな、というのも分かるんですが、その上で言うべき時は言わないとじゃないですか。でも、相手も今までの監督よりも話を聞いてくれるんですよ」
「僕が経験者だから、ある程度分かってくれているんですね。そういう意味では、監督にうってつけだったかもしれないですね」
ロードレースファンに伝えたいトライアル競技の魅力・見どころ
一方で、モータースポーツファンの中でもトライアル競技にはあまり詳しくないという方もいるだろう。ロードレースとは別ジャンルとなってくるトライアルだが、その魅力について藤波監督に聞いた。
トライアルは一般的なモータースポーツとは異なり、タイムを競うモノではない。どれだけスムーズに競技区間を走り、減点を受けずに走りきれるかを競う形であり、『上手さ』をより強調した競技となっている。
藤波監督は、トライアル観戦を始めてみようという人に向けての観戦ポイントは、次々と出走していくライダーの走りが、後ろになるほど上手くなっていく部分にあると語った。
「トライアルでは下位の選手から(出走していき)最後の方に上手い選手がどんどん走っていきます。ロードレースでいうとコーナーで突っ込んでいくライダーがオーバーテイクをしていくところが(見どころとして)ありますが、それが(トライアルでは)毎セクション見れる感じなんです」
「同じタイミングでは走っていないんですけど、進めていないライダーの次(のライダー)が行けた、また次(のライダー)も行けた、今度は失敗しちゃった……と。そして最後のライダーが来たら、もう全てドンピシャに上がっていくわけです。ロードで言うと『うわ、抜いた!』という感覚が(トライアルでの)『行けた!』という感覚なんです」
「誰も行けてないところにトニー・ボウだけは来て『行けた! うわー!』っていう感覚ですね。トライアルだと、1個のコースをずっと見てるだけで、そういう(ロードレースのオーバーテイクシーンのような)感動が生まれるので、そこが魅力でもあるのかなと思います。それが12セクションあるので、そういう興奮は他のモータースポーツよりも多いと思います」
トライアル世界選手権日本GPは5月18~19日にモビリティリゾートもてぎで行なわれる。観戦チケットは公式オンラインショップのMobilityStationで販売中となっている。
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