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モータースポーツのそもそも論(2);より高効率のエンジンを目指して

モータースポーツに限らず、人々の生活に身近な存在の”エンジン”。そもそも、どんな構造になっていて、どんな役割を果たしているのだろうか?

ホンダ 新里智則氏

写真:: Motorsport.com / Japan

 モータースポーツ好きだけに限らず、車を所有している人にとっても、エンジンは身近な存在だ。しかしガソリンを使って動力を生み出すことは分かっていても、その仕組みまで知らない方も意外と多いのではないだろうか?

 motorsport.comはエンジンのスペシャリストに、改めてエンジンがどんな働きをしているのか、どんな開発が行なわれているのかを取材した。

 今回話を伺ったのは、ホンダのエンジン開発部門の新里智則氏。1984年の入社から、ホンダでCIVICなどのエンジン開発に携わってきたエキスパートだ。

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 現代のエンジンにおいて、熱効率は重要なキーワードだ。熱効率とは、燃料が持つエネルギーのうち、どれだけの割合を“仕事”として取り出すことができたかを示す。

 本来ならば、燃料のエネルギーを100パーセント全て使い切りたい。しかしレシプロエンジンでは、ピストンが下がり切った時点(下死点位置)で残っている圧力・熱エネルギーは排気バルブを開いて捨てなければならないため、熱効率は50パーセント程度が限界なのだという。

「ピストンが下がってくる膨張行程で動力を取り出すんですが、ピストンが下死点まで下がると、それ以上は下がれないので後はピストンが上がるしかありません。まだ中はすごく熱いし圧力も高く、エネルギーはいっぱい残っているんです。でもしょうがないので排気バルブを開いてエネルギーを捨ててしまいます。往復ピストン機関の宿命みたいなものですね」

 そう新里研究員は説明する。

 熱効率を上げるためには様々なアプローチが採られている。捨ててしまった熱を回収するのも手段のひとつだ。ターボチャージャーを回して空気を圧縮するエネルギーとして排気を活用したり、ターボ内のタービンの軸を発電装置に直結して電気エネルギーに変換したり(F1で使われているMGU-Hがこれだ)するのもこの領域に当たる。

 新里氏は、その中でもエンジン自体の理論的な熱効率を底上げすることが基本だと語った。つまり、前述したようにノッキングを改善することができれば、圧縮比を上げることができ、より大きなエネルギーを取り出すことができる。

 ホンダは1973年にCVCCと呼ばれる低公害エンジンをCIVICに搭載。当時世界一厳しく、パスすることは不可能とまで言われた米国のマスキー法という排気ガス規制を最初にクリアしたエンジンとなった。当時はリーン燃焼(希薄燃焼)させることで排出ガス中の有害物質を少なくしたのだ。

CVCCの仕組み

CVCCの仕組み

Photo by: Honda

 これは副燃焼室に主燃焼室より濃い混合気を導入し、点火プラグで確実に着火。その燃焼火炎で、主燃焼室の希薄した混合気を燃焼させるという手法だった。

 現在、当時の技術が全く違う目的から再注目され、ホンダはi-CVCCと呼ばれる副室燃焼技術の開発を進めている。これは副燃焼室のジェット噴流によって急速に混合気を燃焼させることで、ノッキングを低減することができるという。

 また、新里氏はハイブリッドシステムもエンジンの熱効率向上に寄与していると話した。

 ハイブリッドシステムはブレーキング時に熱として捨てているエネルギーを電気エネルギーに変換して再利用する他、エンジンが不得意な低回転域や最大パワー時にモーターによるアシストを行なうことができる。

 さらに、エンジン出力を熱効率的に理想的な状態に調整したりもしているという。例えば、車のアクセルをわずかしか踏まずにクルーズ走行している時、エンジンは必ずしも熱効率としては理想的な状態ではないことがある。そこでハイブリッド車両では、よりトルクの高い理想的な状態でエンジンを回し、走行に必要ないエネルギーを充電に活かすといった調整ができるのだ。(次回に続く)

 

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