ヤマハ、フォーミュラE挑戦5戦目で早くも初表彰台。母国戦“東京E-Prix”に向け弾み「我々には伸び代しかない……どんどんレベルが上がっています」
フォーミュラEで初めての表彰台を獲得したヤマハ。まだまだ伸び代が残っていると、同社のフォーミュラEパワートレイン開発を担うふたりは言う。
Podium: second place Lucas di Grassi, Lola Yamaha ABT Formula E Team
写真:: Andreas Beil
先日行なわれたフォーミュラEのマイアミE-Prixで、ローラ・ヤマハ・アプトのルーカス・ディ・グラッシが2位に入った。今シーズン(2024-2025シーズン)からフォーミュラEに参戦しているヤマハにとっては、これが嬉しい初入賞、初表彰台となった。
ヤマハがローラと共同開発したパワートレインを使うアプトはシーズン開幕から苦戦。なかなか上位に顔を出すことができていなかった。しかしマイアミでは、ディ・グラッシが予選7番手と好位置を記録。決勝でも好ペースで先頭集団を走り、6番手でチェッカーを受けた。
ただレース終盤に赤旗が出たことにより、アタックモードを使いきれないチームが数多くいた。このマイアミE-Prixでは、合計8分のアタックモードを使い切った上でチェッカーを受けねばならなかったが、レース終盤にクラッシュが起きて赤旗中断。再開後は残り4周のレースになることとなった。
ただこの4周では、レース後半に6分間のアタックモードを使って追い上げようとしていたチームは、それを使い切ることができない。一方で4分間残していたチームならば使い切ることができる……まさに絶妙な残り周回数であった。
ローラ・ヤマハ・アプトはレース終盤に赤旗が出る可能性も見越して、アタックモードを4分ずつ2回に分けて使うことを選んでいた。そのためディ・グラッシは、残り4分だったアタックモードをきっちりと使い切ることに成功し、6番手でチェッカーを受けた。そして彼よりも上位でフィニッシュしたマシンのうち、アタックモードを使いきれなかった4台がペナルティを受けたことで、2位表彰台を手にしたわけだ。
Lucas di Grassi, Lola Yamaha ABT Formula E Team
写真: Andrew Ferraro / Motorsport Images
■開幕からここまで、向上したパフォーマンス
「率直に言って、感動したというのが正直な話です。ルーカスは最終的に6番手でチェッカーを受けたんですが、他のチームがペナルティを受けることは分かっていましたので、最終結果が出る前から、ピットの中では盛り上がって、抱き合って喜んでいるという感じでした」
そう語るのは、ヤマハのフォーミュラE開発グループリーダーである梅田泰宜だ。梅田グループリーダーはフォーミュラEに毎戦帯同。開発を担いつつ、現地でその戦いを率いている。
「ここに至るまで、結構長い時間、ローラさんなどと一緒に開発を進めてきました。感動して、少し涙が溢れました。本当にすごく感動しました」
一方で、ヤマハのフォーミュラEプロジェクトを統括する原隆フォーミュラE開発統括は、表彰台は「想定外」だったと語る。
「正直ちょっと想定外というか、かなり早すぎたという感じもあります。でも、すごく嬉しかったですね」
「ただその反面、チームとしては発展途上ではないかと思っているので、ここから先、上位と対等に渡り合えるところまで持っていきたいと思います。すごく嬉しい反面、まだまだこれからだなというところはありますね」
その原氏は開幕戦サンパウロE-Prixを終えた段階で、「ソフトウェアや制御も含めた作り込みが課題」と語っていた。今回の好結果は、そのあたりが進歩したからなのか?
「サンパウロではトラブルが多かったし、その次のメキシコシティでも結果が出ませんでした。しかしジェッダ戦のレース2くらいから、解決策が見えてきたかなという感じがしています」
「その後テストも行なって、かなりレベルが上がって、今回の予選の好結果につながりました。やっぱり予選がうまくいくと、次につながっていきます。そしてソフトウェアやエネルギーマネジメントを色々と試した結果、今回はそれがうまくハマって、非常に良い結果になったんじゃないかと思います」
また梅田氏もここまでのパフォーマンス向上について、次のように語った。
「テストでの目的は、レース中のパフォーマンス向上でした。まだ参戦1年目なのでやるべきことが山ほどありますが、予選よりも決勝のパフォーマンス向上に特に力を入れてやってきたんです」
「今回の結果は、マシンのパフォーマンス向上の成果が大きいかなと思っています」
Zane Maloney, Lola Yamaha ABT Formula E Team
写真: Simon Galloway / Motorsport Images
フォーミュラEのパフォーマンス差を決定付けるモノとは?
フォーミュラEの車体はワンメイク。パワートレインの出力の上限も定められている。では何がパフォーマンスを分ける要因となるのか?
「基本的にはハードウェアの変更はできません。できるのは、車両の足回りのセッティングくらいだと思います。そのセッティングと、ソフトウェアのセッティングをテストで最適化し、マシンのパッケージとして一番良いところに寄せていった……そんなイメージです」
そう梅田氏は説明する。
「駆動力をいかに無駄なくタイヤに伝えるか……それが課題でした。ルーカス(ディ・グラッシ)がよく言っていたのは、コーナーからの立ち上がりで、トラクションがかかるのがワンテンポ遅れるということでした。そこで遅れてしまうと、加速で長くエネルギーを使ってしまうことになり、悪循環につながります。加速時にタイヤが路面をしっかりと掴み、使うエネルギーをしっかりと伝える……ソフトウェアと足回りのセッティングで、それを実現するようにしました」
原氏は、フォーミュラEの技術開発は、エンジン車の技術開発よりも細かい部分での違いがモノを言うと説明する。
「フォーミュラEには、レギュレーションで開発できない部分がいっぱいありますから、開発できる部分での精度を研ぎ澄ます……そんなイメージだと思います。そこで差を出すので、究極のエネルギーマネジメント、究極の戦略という部分が重要だと思います」
この後フォーミュラEは、F1と同じコースで行なわれるモナコE-Prixを経て、5月には2年目の開催となる東京E-Prixを迎える。ヤマハにとっては初めての母国レースだ。
「前回良い結果が出たので、チームのモチベーションも高くなっています。これをモナコでも良い方向に働かせて、また表彰台とまでは難しいかもしれないですけどしっかりポイントを獲って、東京に向けて弾みをつけたいです」
そう梅田氏が語れば、原氏も次のように続けた。
「最大限を発揮してほしいですね。私は頑張れと言うだけですが」
「特に東京は、社内の関係者も来場しますから、なんとか良い結果を出してほしいと思っています。我々には改善シロしかないと思っていますから、どんどんレベルが上がっています」
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