フォーミュラEのCEOに改めて尋ねる、フォーミュラEの価値「F1とFEは近付きつつあるが、将来的にも両立するのは可能だろう」

シリーズ創設10年目を迎えたフォーミュラE。一時は多くの自動車メーカーが参入したが、今はその数も減り、一部はF1へと流れていった。フォーミュラEに価値はあるのか?

Pascal Wehrlein, Porsche, Porsche 99X Electric Gen3, Sebastien Buemi, Envision Racing, Jaguar I-TYPE 6, Mitch Evans, Jaguar Racing, Jaguar I-TYPE 6, Nick Cassidy, Jaguar TCS Racing, Jaguar I-TYPE 6, Jake Hughes, McLaren, e-4ORCE 04, the rest of the field at the start

 日本で初めてのフォーミュラEのレースが、今年の3月30日に東京ビッグサイト周辺で行なわれる。東京ePrixである。

 フォーミュラEは2014年の9月に、中国の北京で初めてのレースが開催された。そして先日メキシコシティで開幕した今季は、通算10シーズン目ということになる。

 当初はF3レベルと言われるほどマシンのスピードは低く抑えられていたが、今では第三世代のマシンとなり、パワーも向上。かなりスピードも増した。そしてこの間、様々な自動車メーカーが参入し盛り上がりを見せたが、ここ数年の間にメルセデスやアウディなどが撤退。彼らはF1へと活動を集中させることを選んだ。

 フォーミュラEは、完全電動フォーミュラカーによるレースである。当初世界中が自動車のEV化を推進したことで、フォーミュラEは盛り上がりを見せた。しかし最近では、電動化への流れを緩和させ、エンジン車が存続する方向に動きを見せつつある。ゆえに、F1に参戦するメーカーが増えようとしている。

 現時点でのフォーミュラEの価値はどんなところにあるのか? 東京ePrixのPRイベントのために来日したジェフ・ドッズ氏に尋ねると、彼は次のように説明した。

「いくつかの国の政府は、完全にEVに移行することを決めた。しかし、それは不可能だという声も確かに存在する」

 そうドッズCEOは語った。

「ただ、我々がこのレースを始めた10年前には、世界でのEVの販売台数は30万台に過ぎなかった。しかし今では、年間1100万台のEVが売れている。毎年約20%ずつ伸びているんだ」

「各国の政府がEVの販売にもっと力を入れれば、必要なレベルのインフラも整備されると思う。そうでなければ、人々に不満や心配が生まれてしまうことになるだろう」

「今年は初めて上海でレースをするが、中国には今では35社ものEVメーカーが存在している。そしてEVを充電するためのインフラも整いつつある。イギリスの政府も、EVのインフラ整備にもっと投資すると発言しているんだ」

「それを踏まえると、フォーミュラEにはふたつの価値があると、私は考えている。ひとつは、使うコストが下がるEVを普及させることができるということ、そしてもうひとつは、地球に優しいクルマとアピールできるということだ」

 ただ前述のように、近年の自動車メーカーの動きを見ると、フォーミュラEからF1へという動きがあるのも事実だ。F1との違いをどう生み出していくのか? そう尋ねると、ドッズCEOは次のように説明した。

「私はF1が大好きだよ」

「フォーミュラEは最初の頃、市街地を中心にレースをしてきた。一方F1は、一部を除けばサーキットでレースをするモノだった。そしてもちろん、そもそも彼らはエンジン車で、我々はEVだった」

「10年経った今、F1は多くのレースを市街地で行なうようになった。我々も通常のサーキットでのレースを増やしている。メキシコシティはもちろん、イタリアではミサノで、中国では上海(国際サーキット)で今年のレースを開催する。そして我々は完全なEVのままだが、F1は完全にハイブリッドになった」

「だから、少しずつ近づいてきていると思うんだ」

 F1とフォーミュラEは、いずれひとつになるのではないか? そんな声も聞こえる。ドッズCEOは、現時点ではどうなるか分からないとしながらも、それぞれが独自に歩んでいける可能性が高いと考えているという。

「F1とフォーミュラEは両立できるのか? それともいずれひとつになるのかとよく聞かれる。その答えは”分からない”ということだ」

 ドッズCEOはそう語る。

「モータースポーツには多くのファンがいる。だから、ふたつのシリーズが存在しても問題ないと思う。ファン層も違うしね。F1のファン層は少し年齢が上で、男性が多い。一方でフォーミュラEは、年齢層が若く、しかも男女の数の差がそれほど大きくないんだ」

「将来的にはひとつになる日が来るのかもしれないが、それは分からない。でも、両立することは可能だと思う」

 

前の記事 フォーミュラEのドッズCEOが語る、3月30日初開催東京ePrixの魅力「マシンに合ったコースができた! 我々は日本でどうしてもレースがしたいのだ」
次の記事 フォーミュラE、バッテリー開発の自由化はいつか? ドッズCEO「F1のように、ひとりのドライバーが年間19勝もするような状態は避けたい」

最新ニュース

トヨタ、ハースF1との提携でさらなる”良いクルマづくり”目指す。「人づくりから始める決意をぜひとも応援いただきたい」

トヨタ、ハースF1との提携でさらなる”良いクルマづくり”目指す。「人づくりから始める決意をぜひとも応援いただきたい」

F1 F1
トヨタ、ハースF1との提携でさらなる”良いクルマづくり”目指す。「人づくりから始める決意をぜひとも応援いただきたい」
スーパーフォーミュラ”最後のラウンド”に臨むデ・フリーズ、今回もチームとみっちりミーティング交わすも「2戦目だから簡単ではないだろうね」

スーパーフォーミュラ”最後のラウンド”に臨むデ・フリーズ、今回もチームとみっちりミーティング交わすも「2戦目だから簡単ではないだろうね」

SF スーパーフォーミュラ
スーパーフォーミュラ”最後のラウンド”に臨むデ・フリーズ、今回もチームとみっちりミーティング交わすも「2戦目だから簡単ではないだろうね」
岩佐歩夢、スーパーフォーミュラ参戦1年目も残り4レース「抑えに入るような立ち位置じゃない……明日に向け、チャレンジしていきます!」

岩佐歩夢、スーパーフォーミュラ参戦1年目も残り4レース「抑えに入るような立ち位置じゃない……明日に向け、チャレンジしていきます!」

SF スーパーフォーミュラ
第6戦・第7戦:富士
岩佐歩夢、スーパーフォーミュラ参戦1年目も残り4レース「抑えに入るような立ち位置じゃない……明日に向け、チャレンジしていきます!」
ホンダ・レーシング渡辺康治社長、ハースと組んでF1に挑むトヨタにエール。キーワードは”人を育てる”こと「切磋琢磨して、頑張っていきましょう」

ホンダ・レーシング渡辺康治社長、ハースと組んでF1に挑むトヨタにエール。キーワードは”人を育てる”こと「切磋琢磨して、頑張っていきましょう」

F1 F1
ホンダ・レーシング渡辺康治社長、ハースと組んでF1に挑むトヨタにエール。キーワードは”人を育てる”こと「切磋琢磨して、頑張っていきましょう」

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

エディション

日本 日本