【特集:オリンピックとモータースポーツ】夏季オリンピック競技に『モータースポーツ』が加わる日は来るのか?

7月23日に開会式が行なわれる東京オリンピック。今後、オリンピック競技として自動車レースを見られる日は来るのだろうか?

【特集:オリンピックとモータースポーツ】夏季オリンピック競技に『モータースポーツ』が加わる日は来るのか?

 7月23日の開会式を目前にして、既に様々な競技が実施されている東京オリンピック。しかしその競技の中に、モータースポーツは含まれていない。

 しかしながら、かつて夏季オリンピックで自動車レースが行なわれたことがあった。それは1900年のパリ大会。この大会では、クリケットや気球競技などのほか、綱引きや魚釣り、そして凧揚げなども、同年のパリ万博と並行する形でデモンストレーションとして行なわれている。ただ、それらの競技はこの大会が最後となった。

 その他、オリンピックとモータースポーツの関わりで言えば、1936年のベルリンオリンピック、そして1972年のミュンヘンオリンピックの際、”オリンピアラリー”と名付けられたラリーが行なわれた。このうち、1972年の大会で優勝したアルピーヌA110のコ・ドライバーを務めていたのは、現FIA会長のジャン・トッドである。

 また、記憶に新しいところでは、2006年のトリノオリンピックの際、ルカ・バドエルがドライブするフェラーリのF1マシンが開会式に登場。迫力の走行シーンを見せた。

FIAとIOCの関係

 2012年、ジャン・トッド会長の下、FIAは国際オリンピック委員会(IOC)により、国際競技連盟のひとつとして承認されることになった。その5年前、IOCは機械的な推進力を要するスポーツを「認めない」とした条項を削除していた。

 基本的に、FIAはIOCの言うことに耳を傾けることで、競技連盟の一員として名を連ねることができるようになった。FIAがオリンピック憲章に合意するための鍵は、アンチ・ドーピングの規格を規定すること、そして最も大切なのは、ドライバーたちの委員会を作ることだ。

 2012年のイギリスGPには、当時のIOC会長であるジャック・ロゲが来場した。しかしその際、ロゲ会長はF1がオリンピック競技になるという考えについては否定した。

「我々は同じような、卓越性を追求している」とロゲ会長は語った。

「F1から学べることはたくさんある。我々には多くの類似点があり、そのスポーツは綿密に準備された素晴らしい競争相手との戦いである」

「率直に申し上げて、我々のコンセプトは、アスリートのための競争である。機械のためのものではない。そのため、尊敬してはいるが、それらはオリンピックのプログラムには含まれないだろう」

 しかし近年のオリンピックでは、アスリート以外、つまり設備や道具が役割を果たす場面が多く見られる。例えば、ウルトラ・エアロダイナミック・トラック・バイク(競技用自転車)、ゴルフクラブ、テニスラケット、水着、言及されていないが、馬術の馬もその例のひとつである。

 そして今や、「オリンピックはプロの選手のものじゃない」という考え方もナンセンスになってしまった。つまりオリンピックは、(願わくばドーピングのない)スポーツをする人々のためのものだ。

 モータースポーツがオリンピック競技のひとつとして加わることには、多くの利点があるだろう。F1はなかなか今以上大きくなれるものではなく、その影響は少ないかもしれない。しかし、一般的なモータースポーツがオリンピックから得られるものは、たくさんあるだろう。

オリンピックでもモータースポーツは、ワンメイク?

 モータースポーツがオリンピックに加わるための方法のひとつは、"ワンメイク"カテゴリーにすることではないだろうか。

 まずはじめに、数十年前にオリンピックは"オフィシャルカー"を利用し始めた。例えば2016年のオリンピックのオフィシャルカーには、日産の『キックス』が採用され、日産はリオに4000台を供給した。東京オリンピックでも、トヨタが先進技術車と合わせてプリウスPHVなどを投入した。

 もっとも適切な考えとしては、ジョナサン・パーマーが開催した『フォーミュラ・パーマー・アウディ・シリーズ』と似たようなものを作ることだ。同一のマシン、エンジンを用いて、くじを引いて公平にエンジニアとメカニックを決め、マシンを走らせた。最近では女性によるフォーミュラ選手権『Wシリーズ』がそれに近いと言える。そしてそれらはF1とはまるで違う。

 また元F1ドライバーのフェリペ・マッサは、カートのオリンピック種目入りを目指して活動中。ワンメイクという意味では、さらに適切な考え方と言えるかもしれない。

 

Photo by: Alexander Trienitz

 次の問題は、誰がこのマシンをドライブすべきか、だ。イギリス代表はルイス・ハミルトンやランド・ノリス、もしくはジョージ・ラッセルということになるだろうか? もしもファンタジーの世界だったら、面白いシナリオを書くことができるだろう。

 国別対抗戦という枠で言えば、EFDAがFomula Opelのマシンを使って開催したネーションズカップも面白かった。長くは続かなかったが、「モータースポーツのワールドカップ」と呼ばれたA1GPもだ。そして最近では、FIAモータースポーツゲームスがそれにあたる。

 コンセプトがはっきりしており、IOCの構想の枠組みの中でそれを実行することが必要になる。

 開催地が問題だとは思わない。X-Gamesのイベントでは、ラリークロスカーのレースがスタジアム内で行なわれた。フォーミュラEの1戦目のレースは、北京の鳥の巣スタジアム(北京オリンピックのメイン会場)の周りで開催され、V8スーパーカーのレースはシドニーで行なわれた。かなり多くの公道レースの選択肢がある。また東京オリンピックでは、自転車ロードレースのゴール地点は東京から遠く離れた富士スピードウェイに設定されており、開催主要都市から離れたサーキットで競技を実施することも十分可能だ。

 東京オリンピックの開催に先駆けては、IOC主催のeスポーツ大会『オリンピックバーチャルシリーズ』が行なわれ、その種目の中にはレースゲームの『グランツーリスモ』が組み込まれた。リアルのモータースポーツがそれに追随することも、決して不可能ではないだろう。

 

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