今季スーパーフォーミュラの重要ポイント『新タイヤ』、その素顔は開幕戦まで分からない? 極寒テストでは前評判と異なるフィードバック
2025年のスーパーフォーミュラでは再⽣可能原料⽐率が上げられた新たなタイヤが投入されるが、プレシーズンテストを終えてのフィードバックは前評判と異なっており、開幕に向けて各チームも頭を悩ませることになりそうだ。
写真:: Masahide Kamio
3月に開幕する2025年のスーパーフォーミュラにおいて、その勢力図を左右する要素と言われているのが、今季から新しくなるタイヤ。しかしその本当の素性に関しては、蓋を開けてみるまでは分からない状態と言える。
タイヤサプライヤーの横浜ゴムは今季、サステナブルな原料を活用したタイヤをさらに進化させ、再⽣可能原料・リサイクル原料の比率を33%から46%まで高めた(※ドライタイヤ、ウエットタイヤの平均値)。これは当初の目標値を大幅に上回っており、ヨコハマとしても比率を増やしながらもレーシングタイヤとしての特性や物性がしっかり確保されていることを確認した上での投入となった。
近藤真彦JRP会長のデモランでは、リサイクル原料比率60%のプロトタイプが用いられた
写真: Motorsport.com Japan
天然ゴムや自然由来の配合剤、リサイクル鉄やリサイクルゴムなど、環境負荷低減に貢献する素材がこれまで以上に多く使われている新タイヤ。ただ、その特性も従来とはやや変化することになった。聞くところにとよると、構造としてはより硬くなり、一方でコンパウンド(路面に接するトレッド面のゴム)が柔らかくなっているのだという。
横浜ゴムのモータースポーツタイヤ開発部の斉藤英司部長も、「概ねその理解で合っていると思います」と語る。
また斉藤部長は、再生・リサイクル可能原料の比率を上げることを最優先にしたタイヤ開発をしているわけではないと強調する。レーシングタイヤとして性能がアップするタイヤづくりを念頭に置いた上で比率アップにも取り組み、テストで様々な性能軸のタイヤからチョイスした結果、現在のモノになったという。
「その中で硬さが残ったというのはおっしゃる通りですが、性能として大きく劣化したというわけではありません。あくまでそういう特性だと思っていただければ」と斉藤部長は話した。
開発ドライバーたちが感じた印象
この新タイヤを開発ドライバーとして一足先に体験していたのが、ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPULの高星明誠とThreeBond Racingの塚越広大監督。彼らは共に、コンパウンドがソフトとなる分予選でのパフォーマンスは同等かそれ以上となる一方で、ロングランペースは厳しくなるのではないかという見立てだった。
都内で行なわれたシーズンキックオフイベント後の囲み取材で高星にタイヤについて問うと、彼は「正直には言いづらいですね……(苦笑)」と歯を見せながらも、次のように語っていた。
「もしかしたら(新タイヤ投入で)今の序列のまま大きく開いていくかもしれないし、序列が入れ替わってしまうかもしれないし、そこは各チームに走ってもらわないと分かりません。ただフィーリングは結構変わっていると感じました」
高星明誠
写真: JRP
「一発(予選アタック)のところはコンパウンドなどから来るグリップが助けてくれるとは思いますが、ロングランでは色々な要素が響いてきちゃうのではないかと思うので、そういう部分も注目して見ていただきたいです」
そして塚越監督の意見も、概ね高星と同じであった。
「予選のパフォーマンスに関してはおそらく去年と同等、もしくはコースによってはタイムが上がるんじゃないかなと思っています。レース(ペース)に関しては、正直少し難しくなるんじゃないかなと思います」
「そういう点では、戦略的な要素でレースが結構面白くなるかもしれません」
極寒のテストでのドライバーたちの感触
そんな中で2月18日からは鈴鹿サーキットでシーズン前唯一となるテストがスタート。しかしこの時三重県には猛烈な寒波が襲来したこともあり、初日午前はしばらく雪解けのウエット路面で、2日目は雪により全セッションキャンセル。消化不良のテストとなってしまった。その短い走行機会でドライバーから聞かれたコメントは、少々意外なものだった。
「とにかくタイムが落ちないなという印象で。トラックインプルーブ(路面コンディションの向上)の方がよっぽど大きく、走ってもタイムの落ちがほぼないように感じました」
そう語るのはPONOS NAKAJIMA RACINGの佐藤蓮。逆に新品タイヤを投入した際のタイムの上がり幅はコンマ5秒ほどと予想よりも小さく、そこにも驚いていた。
牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)も同じく、「タイムの落ちは少ないのかなと。ユーズドタイヤでも割とタイムが出ているイメージがあります。逆に一発のタイムの上がり幅は去年と比べたら少ないんじゃないか」との感想だった。ただ、上記のふたりを含むほとんどのドライバーはロングランができないままテストを終えており、この感想はショートランでの感想であることには留意しておく必要がある。
写真: Masahide Kamio
また牧野は、昨年末のテスト同様にタイヤウォーマーを使ってアタックに向かったにもかかわらず、昨年よりウォームアップが悪いように感じたのが心配だと語ったが、今回は非常に寒いコンディションだったこともあり、比較は難しいとする声もある。
ThreeBond Racingの一瀬俊浩エンジニアも、タイヤの真の特性は開幕戦が終わるまで分からないのではと語った。
「タイヤに関しては、正直まだ分からないです。コンディションと(低温から来る)ダウンフォース(の増加)に誤魔化されている印象で、見たいと思っているタイヤ単体の要素が見えていません」
「その大事なところは結局、開幕戦の決勝までいかないと見えないのかもしれません」
今季のスーパーフォーミュラは2レース制の大会が増加し、レースフォーマットも若干変更された。2レース制の大会の土曜日の1レース目だけピットウインドウが設けられるが、それ以外はピットウインドウが撤廃。新タイヤのライフ次第では、1周目からタイヤ交換に向かうドライバーが出てくるかもしれないが、果たしてどうなるか。
ヨコハマの斉藤部長も、ワンメイクタイヤを供給する身として、新しいタイヤを各チームがどのように使いこなすのかについては非常に楽しみにしていると話す。
「レースフォーマットに対してタイヤがどう使われていくかに関しては、心配されるのではなく、楽しみにしていただければと思っています」
「チームのドライバーさんやエンジニアがどのようにセッティングし、どういう戦略を立てていくのか……どうしていこうか悩まれると思いますが、そこがスーパーフォーミュラの一番の面白みになるんじゃないかと思います」
「サプライヤーとしても、どうやって使われるのだろうというのはある意味楽しみです。開幕戦なんかは、びっくりするものがたくさん見られるかもしれません」
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