”王者”として鈴鹿に凱旋。フェルスタッペンがF1に刻んだ最初の一歩、2014年の日本GP
タイトル連覇を目指して日本GPに臨むマックス・フェルスタッペン。彼がF1の公式セッションデビューを果たしたのは、2014年の日本GPだった。
Max Verstappen, Toro Rosso
Sutton Images
レッドブルのマックス・フェルスタッペンが、タイトル連覇を目前にしている。日本GPで優勝+ファステストラップを獲得すれば、5レースを残して自力で戴冠を決められるという、まさに圧倒的といった状態だ。
日本のファンにとっては、”Honda製パワーユニット”を背負ってルイス・ハミルトン(メルセデス)と激しいタイトル争いを繰り広げていた昨年フェルスタッペンを日本GPで応援できなかっただけに、今年の日本GPでは何としてもフェルスタッペンを応援したいというファンも多いのではないだろうか。
フェルスタッペンにとっても、鈴鹿は特別な思い出が残るコース。日本GPを前にした取材で、「鈴鹿にまた戻ってこれて嬉しい。鈴鹿は初めてのフリー走行を走った場所だからね」と語ったように、彼が若干17歳にして、F1公式セッションデビューを飾った地だからだ。
2014年、当時16歳のフェルスタッペンは4輪レースデビューを飾ったばかりだったが、ヨーロッパF3で6連勝をマーク(最終的に10勝でランキング3位)。この活躍に早速F1チームからも関心を寄せられ、レッドブルとメルセデスが獲得に興味を示した。
メルセデスはF1直下のGP2(現F2)で経験を積ませ、何度かF1のフリー走行を走らせようと考えていた。だがレッドブルはなんと彼にトロロッソからのF1デビューを確約。フェルスタッペンは2014年8月にレッドブル育成ドライバーとなったのだ。
その後、フェルスタッペンはオランダのロッテルダムでF1マシンでのデモ走行を実施(バリアにクラッシュするというミスも……)、9月にはイタリアのアドリア・インターナショナル・レースウェイで2年落ちのF1マシンを使い、スーパーライセンス獲得に必要な300kmの走行をこなした。
そしてこの年のシンガポールGPで、アルファタウリのフランツ・トスト代表が日本GPのFP1でフェルスタッペンを走らせる予定だと明かした。当時のコメントは以下の通りだ。
「彼は問題なく396kmを走り、みんなは彼のパフォーマンスに本当に感動していた」
「彼が鈴鹿の金曜フリー走行に向けてスーパーライセンスを取得できるかどうかは、FIAの手にかかっている。我々は一歩一歩彼を準備し、彼が2015年の我々のために正しいドライバーであると確信している」
幸いにして、FIAからのライセンス発行の許可が下り、フェルスタッペンの日本GP出走が実現した。わずか17歳と3日でのF1公式セッションデビュー。2015年にスーパーライセンス発給の条件が厳しくなり、最初のレースに参加する時点で18歳以上であることが条件となったため、この記録が更新されることはしばらくないだろう。
多くの注目を浴びる中、フェルスタッペンは22周を走った。というよりも、マシンから白煙が上がり、フェルスタッペンはマシンを止めざるを得なかったのだ。
最終的な結果は12番手。圧倒的な強さでシーズンを支配していたメルセデス勢からは2.5秒以上離されたものの、10番手だったレギュラードライバーのダニール・クビアトと比べて0.443秒差。テクニカルな鈴鹿で、F1初走行だった彼の走りに、強烈な印象を受けた方も多いのではなかろうか。
彼の当時のコメントを今になって振り返ってみると、只者ではないような雰囲気を感じるが、それは彼が王者となることを知っているからだろうか……
「今日一番重要だったのは、鈴鹿という難しいサーキットでマシンに乗って経験を積むことだった」
そうF1初セッションを終えた彼は語っている。
「エンジンパワーには驚いたよ。今乗っているF3と比べてクルマは大きいし、走行中に考えなければならないことが多い。難しいクルマなので自信を持って走れるようになるまで数周かかった」
「もちろん全く限界には程遠かった。ばかなことをしないように、ひたすら慎重に走ったよ。重要なのはたくさん周回することだった。周回を重ね、コースに慣れることを目指した。ここは簡単なコースじゃないからね。でも自分のタイムには満足できた。一番大変だったのはこのマシンに慣れることだったんだ。(テストで使用した)2012年のクルマとは大きく違うからね。でもすべてうまくいったと思う」
「僕ら若い世代はこの手のもの(複雑なPU)には慣れている。プレイステーションでよく遊ぶし、(ゲームでも)ボタンがたくさんあってそこで感触をつかめるんだ」
「来年の準備のため今年のうちに金曜フリー走行で走る機会をくれたレッドブルとスクーデリア・トロロッソに感謝したい。すでにチームに溶け込んでいるし、一緒に働く仲間のことも大好きだ。今回、F1マシンに乗るということがどういうことなのか分かった。さらに学習するのが楽しみだ」
そんなフェルスタッペンが、もはや押しも押されぬトップドライバーのひとりとして鈴鹿に帰ってくる。思い出の鈴鹿で2冠目を手にできるかは分からないが、多くのファンから声援を受けることは間違いないだろう。
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