F1分析|予選ペース推移で振り返る2022年のF1。やっぱりフェラーリはデグラデーションが大きかった? 上昇率最大はアストンマーチン
新レギュレーション下で行なわれた2022年のF1。結果的にはレッドブルが圧倒的な強さを見せたが、予選ペースではフェラーリが終盤まで肉薄。一方下位では、アストンマーチンが脅威的な開発力をみせた。
2022年のF1は、レッドブルとフェラーリのまさに一騎打ちの展開。ただ最終的には、レッドブルが22戦中17勝を挙げる圧倒的な強さを見せ、ドライバーズとコンストラクターズのタイトル2冠を達成した。
しかし予選のパフォーマンスの推移を見てみると、やはりこれほどの差がつくべきではなかったというように思えてしまう。
フェラーリは今季、予選で圧倒的な強さを見せた。特に開幕から第8戦アゼルバイジャンGPまでは、第4戦エミリア・ロマーニャGPを除いてフェラーリが最速。ただフェラーリはこの間、わずか2勝しか挙げることができず、逆にレッドブルが5勝を挙げた。
前半戦の時点では、フェラーリが明らかに最速のマシンだった。しかし第4戦エミリア・ロマーニャGPあたりから、レッドブルに対してデグラデーションの面で苦しむようになった。このエミリア・ロマーニャGPは予選でもレッドブルが速かったが、続くマイアミGP、スペインGPはシャルル・ルクレール(フェラーリ)がポールポジションを獲得するも、決勝で逆転を許すという展開となった。アゼルバイジャンGPも、戦略が異なっていたため見逃されがちだが、やはりフェラーリはレースペースの面で苦しんだ。そしてモナコでは戦略ミス……開幕3戦を終えた段階では、フェラーリが圧倒的に強いと思われたが、レッドブルとの優劣が一気に逆転した格好だ。
その後のシーズンはレッドブルがリードを広げるばかり……ポイント獲得数だけを見ればその通りだが、実はフェラーリはシーズン終盤までレッドブルに肉薄していた。これは、下記のグラフを見るとよくわかる。
2022年F1マシン 予選パフォーマンス推移
Photo by: Motorsport.com / Japan
カナダとイギリスはマシンパフォーマンスの面でレッドブルに差をつけられたが、その後は僅差。フランス、ハンガリー、オランダ、イタリア、シンガポールでは、純粋な速さでは実はフェラーリの方が先行していたのだ。
フェラーリのシニア・パフォーマンスエンジニアであるジョック・クレアはシーズン終了後に次のように語っていた。
「我々が苦労したのは、絶対的なペースだと思う。今年のはじめの12〜13レースは、ふたりのドライバーはレッドブルと真っ向勝負することができていた」
「その後レッドブルは、差を0.2秒ほど引き離した。つまり我々は、ポールポジションを確保できないようになったんだ。そして、我々は少し追いかける展開になった」
「我々よりも速いマシンとレースしようとしていた。そしてそれは、タイヤのデグラデーションに現れてしまうのではないかと恐れていた」
予選ペースの推移を見れば、このクレアの発言には疑問が残る。少なくともシンガポールまでは、最速のマシンを持っていたはずであり、「ポールポジションを確保できないようになり、追いかける展開になった」という主張とは矛盾する。
クレアは今季のフェラーリのマシンF1-75が「デグラデーションに苦しんだ」というのは誤解だとしているが、やはりどう考えても、基本的にF1-75はデグラデーションが激しいマシンだったと指摘していいだろう。
なおシーズン終盤のメキシコ、ブラジルでフェラーリはレッドブルに大きな差をつけられたが、これはスパークプラグに対するダメージが大きかったことから、出力を下げて走ることを強いられたためだったと言われている。
ただスパークプラグに関する問題が解決された最終戦アブダビGPでは、予選も決勝レースもレッドブルに先行されたが、フェラーリは速さを取り戻し、その上デグラデーションもかなり低く抑えられていた。そういう意味では、来季に期待が持てる最終戦だったと言えるだろう。
さて上位2チーム以外にも目を向けてみよう。
今季開幕時点ではポーパシングに苦しみ、その後はバウンシングにも悩まされたメルセデスはシーズン終盤にかけてパフォーマンスを大きく上げた印象がある。実際、サンパウロGPではジョージ・ラッセルが勝利を手にしている。しかし実際には、開幕戦と最終戦のトップとの予選パフォーマンス差は、実はほとんど同じだった。
ただ、決勝のレースペースも加味したパフォーマンス推移(下記グラフ)をみると、シーズン後半になるにつれ、レッドブルやフェラーリとの差を詰めているのが分かる。
2022年F1マシン パフォーマンス推移
Photo by: Motorsport.com / Japan
つまりメルセデスは、シーズンの序盤数戦は苦しんだものの、中盤戦以降はレースペースがかなり優れていたということを意味している。絶対的なペースが改善できれば、来季は安定して上位を争うポジションに返り咲くのは間違いないだろう。
ただ全10チームの中で最も印象的な前進を遂げたのは、実はアストンマーチンだった。アストンマーチンは、シーズン序盤はウイリアムズと絶対的なペースで最下位を争う立場だった。しかし”グリーン・レッドブル”と揶揄された大幅アップデートを投入するなどした結果、純粋なペースも上昇。最終戦では中団グループトップのアルピーヌやマクラーレンと遜色ない速さを発揮した。当初は首位から2.53%の遅れだったものが、最終的には1.06%遅れにまで縮めたのだ。これは1周1分30秒のサーキットならば、約1.3秒速くなったということを意味する。当然トップのマシンも速くなっているはずなので、実際にはそれ以上ペースアップしているということだ。
今季のアストンマーチンは、シーズンを通じてレースペースは秀逸だった。もし来季もこの前進傾向が継続すれば、かなり面白いポジションを争えるチームになるかもしれない。
一方でパフォーマンスが落ちていった傾向にあるのは、アルファロメオやハースだった。アルファロメオは開幕戦で4番手、ハースは5番手と、アルピーヌやマクラーレンよりも速かった。しかし最終戦では、ハースが8番手、アルファロメオが9番手まで下落。これはシーズン中にアップデートがそれほど効果を発揮しなかったということだろう。
束の間の休息を経て、F1は2023年シーズンへと向かっていく。2月ともなれば、各チームの新車が発表され、その流れが加速していくはずである。
ただ休息とはいえ、チームはその新車開発の最終段階に入っている。休む暇などないかもしれない。
記事をシェアもしくは保存
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。


Top Comments